分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000614665

感想・レビュー・書評

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  • よく調査された労作だとは思うが、何か時系列でまとめただけでメリハリがあまりなく、読み終わった後の納得感があまりなかった。

  • 東2法経図・6F開架:KW/2021//K

  • 正体不明のウイルスに対処する以上、泥棒を見て縄をなうように見えることがあるのは、ある程度仕方がない。日本にも適材はいて、適所に配置されていたことが分かった。押谷仁氏(東北大学)が担当者のために作成した内部文書に「疲れると判断力が鈍るのでちゃんと寝て、ちゃんと食べて、ちゃんと休むのが必要。…(中略)…二四時間オペレーションルームに詰めるというようなことは最悪」と記したことに感心した。休業要請の一方で補償がないのは、台風や地震と同じ自然災害として扱われているからかもしれないと想像していたが、新型インフルエンザ等対策特別措置法の「立て付けとしては、ある意味台風で店を閉めるといった自然災害と同じことで、事業者が飲み込むべきリスクという考え方が根底にあった。」という齋藤智也氏(国立保健医療科学院)の説明を読むと、そのとおりだったようだ。無理があるような気がするが、私権の制限と組み合わせない補償は、法的には難しいのかもしれない。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の構成員の中には、訴えられたり脅迫を受けたりした人もいたと知って、理不尽な話だと思った。2021年4月6日第1刷発行。定価(本体1800円+税)。2021年5月16日付け読売新聞書評欄。

  • ふむ

  • 新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の発足から廃止まで、約5ヶ月間を追ったノンフィクション。招集されたチームの微妙な立ち位置や劣悪な作業環境など、政府の本気度を疑う。厚労省の役人や政治家の態度は想定内だったが、きちんと話を聴ける人がいたことに希望をもてた。たった1年半ほどのことなのに、どれだけ日本が、世界が変わってしまったかに驚く。収束したとしても終わりではない。このウィルスとは長い付き合いになりそうである。

  • コロナ対策専門家会議の発足から解散までを追ったノンフィクション。メンバーの中でも微妙に立ち位置が違うのが興味深いですね。

  • アドバイザリーボードが発足して専門家が集まり、未知のウイルスへの対策に奮闘する緊迫感、そして発足から2週間あまりで、専門家会議独自の「見解」で具体的な対策を発表した。発表までの厚労省、内閣官房とのやり取り、なんとしてでも市民に呼びかけたい、感染爆発を防ぎたいという専門家の強い気持ちが伝わってきた。しかし、これを境に、「専門家会議」のイメージは実態を離れて一人歩きを始める。

    出過ぎてはいけない、言いたいことを伝えるためには、官僚や政治家と対立してはいけない、理不尽な要求や扱いにも我慢しなければならない、頭が下がる以外の何物でもない。

    安倍首相、最近では菅首相が、何かと専門家会議に責任を負わせるような印象操作、何度も繰り返されたように感じる。それでも、それぞれの信念で責任を全うしようと働く専門家の方々を忘れないようにしよう。

    解散発表ですら、専門家会議からの発表は、西村大臣が同じタイミングで先んじて発表、見栄とプライド?、主導権をアピール?くだらない。

    冒頭で専門家会議メンバーの押谷さんのコメント
    「日本は何度もチャンスがあった。それを幾度も逃してしまった。」
    「この感染症がパンデミックになったのは、人間の傲慢さが背景にある。」人と自然が距離を失い、効率化を追求し、足元を見ないままのグローバリズム。
    「(新型コロナの)苦しみに耐えるだけで終わってほしくありません。これが社会が変わることができる、最後のチャンスだと思っています。」「まだ日本は戻ることができる、分水嶺に立っている。」

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著者プロフィール

河合 香織(かわい・かおり):1974年生まれ。ノンフィクション作家。2004年、障害者の性と愛の問題を取り上げた『セックスボランティア』が話題を呼ぶ。09年、『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞、19年に『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』で大宅壮一賞および新潮ドキュメント賞をW受賞。ほか著書に『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』『帰りたくない 少女沖縄連れ去り事件』(『誘拐逃避行――少女沖縄「連れ去り」事件』改題)、『絶望に効くブックカフェ』がある。

「2023年 『母は死ねない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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