吾輩は猫である (岩波文庫 緑 10-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003101018

感想・レビュー・書評

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  •  吾輩は猫である。名前はまだない。

     この有名な書き出しは知っていても、読んだことはなかった。伊集院静さんの『ミチクサ先生』を読んで、この小説をどうしても読みたくなった。
     思ったよりもずっと分厚かったけれど(岩波文庫515ページ)、漱石のユーモア、風刺を交えた文章に引き込まれた。電車で読んでいる最中に、面白くて思わず吹き出してしまうことも。例えば、「ダムダム弾」をめぐる攻防。
     あくびを「鯨の遠吠のよう」と書いているのも面白い。

     日常を「猫」の目から見た物語ですが、人と人とのやりとりが面白かった。しかし、あのような結末になるとは思いもしませんでした。そういうことになるとの予想はつくものの、まさか本当にそうなるとは思わず、でも、その結末もユーモアがありました。

  • ピア・サポーターズNさんのおすすめ本です。
    「『サザエさん』のような日常のわちゃわちゃ感。猫視点という斬新なアイデア。
    落語のようなテンポの良い会話。
    「こころ」=夏目だと思っている人に読んでほしい!
    明るくくだらない夏目のデビュー作!!」

    最新の所在はOPACを確認してください。
    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00041512

  • 毎晩スタバで少しずつ、3ヶ月以上かかってやっと読み終えました。

    (私にとっては2021年の読書10冊目)
    (読もうと思ったキッカケは、内田百閒先生が心酔していたから)
    (夏目漱石の作品なので、岩波を選んだ)

    全体の印象としては、登場人物ご一同さ、皆さん饒舌というか、多弁で、まぁよく語ること語ること。
    そのおかげで、だいぶ語彙が増えた気がします。

    明治38年(1905年)から翌年にかけて書かれた作品だから、勝ったばかりの日露戦争に関連して色々な単語が出てきます。
    (旅順が落ちたので市中は大変な景気だとか、征露2年目とか、乃木希典、バルチック艦隊、東郷平八郎とか)

    特に印象に残ったのは、禅語とか仏教用語が、登場人物の口からいっぱい出てくること。
    そして、ネコの飼い主、苦沙弥(クシャミ)先生の口からは、古代ギリシャの哲人とか学者さん達の名前やエピソードが、次々と出てくる。
    漢籍(中国から入ってきた古典作品)の数々からの引用も多くて、夏目漱石の博学さに驚きました。

    ゲーテのファウストやウェルテル、熊坂長範、楠木正成、ナポレオン、アレクサンドロス大王、その辺は大丈夫。
    だけど、ニーチェとか漢籍とか、さらには落語からも引用してるみたいで、その辺は本当にいちいち1つ1つググっていったので、ものすごく時間がかかった。
    ただただひたすら、Wikipediaと日本国語大辞典で調べまくりの3ヶ月間だった気がする。

    10代の多感な思春期にこの作品を読んで衝撃を受けたという、内田百閒先生や芥川龍之介。
    彼らの頭脳と感受性、どちらもマジですげぇわ。

    次に何を読むか、なんだけど……
    漢籍の数々をこの年齢から次々と読破して行くのはハードルが高い一方で、禅語はちょっとかじってみたいなぁと。
    でも、友達がいない私には、禅語とか仏教に詳しい知り合いもいない。

    漢籍と禅語をある程度おさえておくと、小津映画も理解が速くなりそうな気がする。
    色々な本を読めば読むほど、あちこちで引用されてますよね。
    本来なら、古事記や日本書記、イリアスやオデュッセイアや、旧約聖書や新約聖書と同じレベルで、まず最初にそっちを読んでおくべきなんだろうな。

    今までろくすっぽ読書してこなかった人生を反省させられた1冊となりました。

  • 請求記号 913.6-NAT(上野文庫)
    https://opac.iuhw.ac.jp/Otawara/opac/Holding_list/detail?rgtn=096019
    「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という冒頭部分はあまりにも有名ですが、実際に読みだしてみると洒脱な落語気分が漂う前半に比べて、後半は相当にマニアック。苦沙弥先生の書斎に集まった面々がとにかく好き勝手な人生論を延々と述べ合う展開になります。個性を優先する社会の行きつく先は、自分に共感できるのは自分一人になってしまい愛も芸術も存在し得ない。稲作社会の伝統が受け継がれ空気を読み合う日本の人間関係の在り方も、悪い面ばかりではないのかもしれません。「呑気と見える人々も、心の底を叩いてみると、どこか悲しい音がする。」

  • ラストにやられました。
    波があるようで波がない。猫視点の日常です。
    どう終わるのだろうと思って読んでいたら、驚きました。

    猫が可愛いです。猫が悟りを開いている感じです。

    少し分厚いので、薄い本が好きな人は少し読むのが大変かもしれません。

    ちなみに、私が初めて読んだ文学作品でもあります。

  • 言わずと知れた名著。読んでみたかった作品。
    思いの外コメディ寄りというか、登場人物のやり取りに結構くすりと笑えた。
    個人主義に関する件などは、どことなく今と通ずるところを感じた。
    ただ、主人の女性観など、時代を感じる部分は当然あった。

    個人的には「こころ」の方が好み。

  • 誰もが知る超名作。人間の営みや世の真理に隠された明暗を純然たる猫の視点から解き明かすという甚だ興味深い作風。諧謔性の暴力ともいえるほどの極めてユーモラスな文体にはついつい笑みがこぼれてしまう。圧倒的会話量を以ってして迫真性を突きつけ、凄まじい熱量を感じた。細部に渡るディティールで稀代の滑稽味とリアリティを紡ぎ出す漱石のメソッドには感服の念が絶えない。日本随一の文豪の源流を肌で感じ、ますます敬愛が深まった。

  • 若い時に何度か読んだのでエピソードそのものはだいたい覚えているのだが、言い回しとか例えとか、文のスピード感などといったディテールが面白く、味わい深い。
    また、この最近の岩波文庫版はとても読みやすい。漢字の開きも、雰囲気を壊さない程度にとどめてあるし、読みの難しいものにはほぼ必ずルビがふってある。注も多めかつ簡潔で気になったものだけちょっと見て理解して先に進める。
    昔、新潮文庫で読んでいて億劫になって挫折してしまったことがあったのだが、問題はこの読みやすさ、だったと思う。新潮文庫の、漢字はほぼ開かず原文どおりという方針はとてもいいのだが、字が小さく行間がつまっていて圧迫感があって読んで入り込むまでに時間がかかるのと、注がちょっと少な目で気になった言葉がわからないとそこでつっかえてしまって途中で止めがち、ということが問題だったのではないかと今にして思う。新潮文庫さん、ぜひ漢字はそのままにして、読みやすいスタイルと注の充実した新版へのリニューアルをお願いします!

  • 初めてまともに夏目漱石を読んだかも。
    結構読みにくかったなぁ。
    でもこれは猫が語り手となっているところが持ち味なのだろう。
    確かに猫が軍隊を作るみたいな妄想のところは面白かった。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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