- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003105122
感想・レビュー・書評
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十二の鳥が、王様の前に進み出て物語を語るという十二の短編集。日本、中国、イスラエルと国境の無い鳥たちの語る物語の場所も様々。
戦前から戦後までの長きに渡って書き綴られたにも関わらず、社会情勢の変化を感じさせず「ぶれ」がない。
「鳥には国境など無い」「移動は自由」な鳥たちの物語が戦局厳しい折に書かれていたというのはすごいなと思う。
解説を読むと発表されたのは戦後なのかも知れない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「銀の匙」で有名な作家中勘助が、
12羽の鳥達が王の御前で言上する物語、
という趣向で書いた短編集。
雁は漢の蘇武と李陵の物語、
鳩はキリストの悲劇を語り、
鵜は讃州志度の浦(香川県)の海女の伝説など、
とそれぞれ個性豊か。
磨き抜かれた美しい言葉で描かれた文章に、
鳥の世界と人間の世界、
二つの世界で繰り広げされてきた事を
まるでその場にいて自分の目で
見つめてきたかのような豊かな表現。
語り手の鳥達の多くに、
「私どもとてそんな事は致しませんが、
人間というものは・・・。」の言葉を口にさせ、
人間が持つ善の部分、「情」だけでなく、
醜さ、残酷さなどを語らせる、
まさしく大人のための童話といえよう。 -
そのつぎは雁の番だった。 …
この書き出しから始まる、鳥たちが語るお伽噺。
言葉ひとつひとつ、ゆっくり味わうと、目の前に豊かな情景が浮かびあがります。登場人物の指先の動きまでも感じることができる。
経験が多くなるほど、味わいの増す小説ではないでしょうか。
また、数年いや十数年経った時、再読して、今とは違った感慨を味わってみたいと思いました。 -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003105125
── 中 勘助《鳥の物語 1949‥‥ 山根書店 19830117 岩波文庫》河盛 好蔵・解説
http://booklog.jp/entry?keyword=%E4%B8%AD+%E5%8B%98%E5%8A%A9%E3%80%80%E9%B3%A5%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E&service_id=1&index=All
…… じん‐かん【人間】人の住んでいる世界。世間。にんげん。
…… 老人に身をやつしまして暫く―に住んでおりました。(goo辞書)
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/113598/m0u/
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雁や鶴や白鳥など、十二種の鳥が集まって、王様の御前で話をするという物語。一つ一つの話がとても魅力的な、まさに「大人の童話」です。
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美しい文章。平明な童話風の話。どれも素敵だが鳩の話が一番気に入った。預言者ヨハネが旧約聖書の話を語った後のクールな鳩。
もともと鳩のために語るはずであった彼はいつしか自分のために語っていた。彼は嬉しそうに、楽しそうに、ほくほくと語った。相手が少し迷惑してるのも知らずに夢中になって語り続けた。おとぎ話だな と鳩は思った。
イエスの教えは鳩の言葉の受け売りだな、と思いながらもイエスの運命に痛みを感じて憐れむ鳩。
イエスは私ども鳩の心をそのまま自分の胸に入れた奇特な人でございました
他の話もどれも素晴らしい。 -
鵜と白鳥が特に好き
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近いほうの図書館。
励まし合って読書会課題本。
(11.07.02) -
珠のように美しいという帯の文句通り。鳥たちに語ってもらいましょう。天子のこと、その鳴き声のわけを。