二十四の瞳 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003121214

感想・レビュー・書評

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  • 壺井榮の代表作のひとつ。小豆島が舞台となっており、映画化も複数回されている。初回の木下監督、高峯秀子の大石先生が個人的に好き。母の実家付近もロケ地となり、撮影途中に自宅の便所を借りにきたことが母の語り草となっている。

  • 元々学校現場にいたので、大石先生の立場に立ったときの葛藤は昨今の教育現場を踏まえても、わりと共感できました。
    というのも、誰の方に向いて授業を行っているのかな、と最近の学校教育でも感じることが多いのです。
    本来は、大石先生みたく生徒たちの「瞳」に向けた授業をしなければならないし、それが教育なのではないかと改めて考えることができました。

    初めて読みましたが、もっと早く読んでおけば良かったなと思いました。

  • 牧歌的な島の風景やなごやかな小学校生活の中に、家庭ごとの貧しさや時代の暗い影が描かれる。小学校低学年のこどもたちが大人になる過程で幾人かが身売りされたり兵隊にとられたりする。そして新任の教師時代に違和感を抱いた「老朽」の教師が岬へ赴任することについて、時を経て主人公が同じ境遇になる。教師と生徒を問わず、戦争によって生活の変化が等しく訪れることが強調される。

    解説を読む限り、反戦平和のメッセージがかなり強い作品であるとのことだが、あまりそのように感じなかった。ただ、アカ狩りのシーンは無理矢理に挿入された感じがする。全体的に類型的な人物が多い。今でいうキャラクター小説か。だから時代を超えて読みやすいだろう。面白いかどうかは別にして。

  • 置かれた環境で、必死にもがく子どもたちに心打たれます。
    現代を生きる私達の働く意味をも考えさせられました。貧しい一寒村が舞台となっていますが、家庭事情によって幼き頃から仕事を手伝い働く姿、貧しくても活き活きとしている姿、ぶつかり合いながらも団結していく姿、いつの時も子どもたちは大切なことを気づかせてくれる、かけがえのない存在であることに変わりはありません。
    国のために生き国のために死ぬことが名誉であるとされ、反戦を口にすれば牢獄へ。自分の考えを持つことが許されなかった時代。
    これは二度と繰り返してはいけない過ちですが、間違いに気づき正していく姿勢を持ち続けること、これは現代にも通ずるものがあります。
    そして、子どものような女先生、大切なものを見失わない強さにとても惹かれました。

  • 時代に翻弄されながらも懸命に明るく生きる子供達の様子に心打たれました。数十年ぶりに読みましたがやはり名作ですね。

  • 映画も何度も見たし本を読むのも何回目かわからないくらいの日本の名作

  • 小学生の頃に読んだ際には衝撃的なラストシーンばかりが印象に残っていたが、改めて読むとかなり前半のうちから切ない展開が続く。そして、ただでさえ悲惨な場面をもう一段悲惨にするような追いうちの描写が多いのも本作の特徴。
    次の世代を担う子どもたちへの希望は描かれているものの、大石先生や大人になった教え子たちに関していえば、とにかく救いのない物語だと感じた。

    また今回読んでみて、戦争の只中を描く第8章と第9章が特に印象深かった。地の文にさえ作者の反戦の思いが率直かつ痛烈に込められており、その母として、女性としての嘆きに年齢を重ねた大石先生の心境が重なって現れる。
    大石先生は教師としてのプロフェッショナルではなく、また特別に強くも賢くもない一人の女性にすぎない。しかし、そうであるからこそ、彼女の素朴な怒りは何世代にもわたって多くの人の胸をうつのだろうと思う。

    「こんな、かわいい やつどもを、どうして ころして よいものか わあっ わあっ。」(P211)
    「名誉の戦死など、しなさんな。生きてもどってくるのよ。」(P212)

  • 15年くらい前に小豆島へ旅行に行った際に、「二十四の瞳」という本があるのを知り、読もう読もうと思っていてやっと手に取った。

    戦争前後の先生の存在価値って偉大だったんだなと改めて実感。文章が古くなく読み易かった。
    大石先生は、先生という言葉がしっくりくる。

  • 小豆島へ旅行に行く前、急ぎ1日で読了。
    悪くはないが、もっと淡々としていた方が好き。

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著者プロフィール

1899年、香川県小豆島生まれ。1938年、処女作である「大根の葉」を発表後、「母のない子と子のない母」など、数多くの作品を執筆。1952年に発表された「二十四の瞳」は映画化され、小豆島の名を全国に知らしめた。1967年、気管支ぜんそくのため67歳で死亡

「2007年 『二十四の瞳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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