- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003121214
感想・レビュー・書評
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名作である。静かな反戦の物語である。
この春、小豆島の岬の分教場に行ったばかりなので、ジーンと胸に来る。
・走っていくその後ろ姿には、無心に明日へ伸びようとする懸命さが感じられる。その可憐な後ろ姿の行く手に待ち受けているものが、戦争でしかないとすれば、人は何のために子を産み、愛し、育てるのだろう詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022年8月ドラマ化
摂南大学図書館OPACへ⇒
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教育の根幹。学生時代に読んで感化されたのを覚えている。
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終戦から7年ほど経過した1952年、女流作家・壺井栄によって書かれました。
「瀬戸内海べりの一寒村」を舞台に、島の岬の分教場に赴任してきた女性教師と、同年に小学校に入学してきたお少年少女たちのふれあいが描かれた作品となります。
終戦から年月が経ったとは言え、まだ敗戦の空気は色濃く、文壇でも第一次、第二次戦後派の文学者たちが登場し、あの戦争の意味について振り返る風潮があった中、本作は発表されました。
個人的には二十四の瞳は、同時期に書かれた文学作品と同列に語るには異質な感じを受けます。
本作は現代も、文学というよりも一娯楽小説として読まれている気がしていて、他の文学小説に比較すると手に取る人の層が異なっている気がするためです。
戦争を挟んだ時間の流れにより引き裂かれ、また、長い年月の末、戻ってきたことによる女教師の感情の坩堝の描写が美しく、"感動の作品"だと思いますが、本作の主題は太平洋戦争への疑問や戦争の生んだ悲劇であり、本作を文学作品として読む場合、そこに目を向ける必要があると思います。
1928年、女学校を卒業した「大石久子」は、島の岬の分教場に赴任します。
子どもや島の人々との穏やかな日々が描かれますが、ある日、大石先生は子供の作った落とし穴にはまり、足に大怪我を負い通勤ができなくなってしまいます。
その後、完治したのですが、大石は、そのまま元々約束していた本校への転勤が決まり、子どもたちと再会することを約束して分教場を去ります。
数年後、5年生になり、分教場から本校へ通うことになった子どもたちと再会、再び、少し大きくなった子どもたちとの日々が始まりますが、戦争の色濃くなっていく世相の中、子どもたちや島の人々、大石の生活にも影を落とし始める展開です。
壺井栄の夫、壺井繁治氏はプロレタリアの詩人として著名です。
壺井栄自身も、プロレタリア文学運動を行っており、その活動によりプロレタリア文学家たちと交流がありました。
その縁で交流の会った佐多稲子より、作風から未来を担う子供のための文学(児童文学)を書くことを勧められ、文壇デビューした経緯があります。
本作の中でも、そんな彼女の思想が現れる部分が多くあります。
例えば、彼女の教職中、近くの小学校の教師が、受け持ちの子供に反戦教育を吹き込んだということで警察にひっぱられる事件が発生します。
その後、大石は、生徒たちに"あか"や"プロレタリア"、"資本家"という言葉を知っているか質問をするのですが、その授業が元で校長から注意を受け、『消しがたいかげりをだんだんこくして』いきます。
また、戦争が激化する中で、受け持ちの生徒の中でも兵隊を志望する子供が出てきます。
国家総動員で対処すべき渦中においても、大石はそれに疑問を持ち、兵隊を志望する子供を複雑な目で見ます。
やがて敗戦し、戦時中に生まれた息子の船で分教場に戻ってきた大石は、目の前の新しい子供たちを見て涙します。
その彼女の頭の中には、まずあの戦争があって、そして目の前に広がっている未来そのものがある、この感情は、戦争を経験しない私には計り知れないものがあるのだろうと思います。
戦争をテーマにした名著だと思います。
若干偏った思想を感じる部分もあるのですが、イデオロギーは抜きにしても楽しめる作品です。
単純に"戦争は悲惨だ"、"戦争反対"と唱えるのではなく、戦争体験をした作者の著作からはもっと深い想いを感じることができると思います。 -
中村香先生がおすすめしてた本
子どもと向き合う教師という仕事の素敵さと戦争の無惨さを感じた作品。 -
ピア・サポーターズYさんのおすすめ本です。
「二十四の瞳は、瀬戸内の村に赴任した若い女性教師と、12人の子供たち昭和初期から戦後までの物語です。この本は数年前にドラマで放送されました。この本には太平洋戦争が出てきます。その戦争では教え子が徴兵検査を受けたところを先生が見て悲しんでいる場面や、教え子が戦死してしまった場面など悲しくなる場面が多いですが、子供たちが先生と歌を歌ったりと楽しい学校の様子も描かれています。この本の主人公は先生ですので、将来先生になりたい方にぜひ読んでいたただ行きたい本です。」
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