歌の本 上 改訳 (岩波文庫 赤 418-1)

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  • / ISBN・EAN: 9784003241813

感想・レビュー・書評

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  • 愛とは、人間という謎に満ちた独特の存在が不思議に融けあうこと。▼自分自身を超えることが生の原点であり創生である。ノヴァーリス『青い花』1802

    恋に昨日と明日は存在しない。恋は今日という日だけを求める。▼ 世界が木っ端みじんになったとしても、その残骸の破片から炎となって恋の想いは燃え上がる。ハイネ『歌の本』1827

    愛は立ち込める霧に包まれた一つの星だ。ハイネ『新詩集』

    恋に狂うと言うのは意味が重複している。恋はそれ自体狂気である。ハイネ『シェークスピアの女たち』

    学費は安くないが、経験は素晴らしい学校だ。ハイネ
    ※革命詩人。マルクス主義。

    主が人間に将来のことまで分かるようにしてくださる日まで、待て、しかし希望せよ。アレクサンドル・デュマ『モンテ・クリスト伯』1845
    ※旧約聖書「ヨブ記」からの影響?

    世界をただ一人の人物に縮減し、神にまで拡大する。これが愛である。▼いたるところにこれほどの悲惨さがあるのを見ると、私は神はお金がないのではないかと思う。▼子供の苦しみは母の心を動かし、若い男の苦しみは若い娘の心を動かすが、老人の苦しみはだれからも顧みられない。ヴィクトル・ユゴー『レ=ミゼラブル』1862
    ※力量が足りないのではない。意志が足りないのだ。▼四十歳は青年の老年期であり、五十歳は老年の青年期である。ユゴー
    ※ルイ・ナポに抵抗して亡命。普仏戦争1870

    陽を好むすべてのものは戸外にあり、空は朝の始まりに歓喜し、草は雨滴に輝く。荒野では野兎が喜々として駆けめぐり、その足でもって水を含む大地から靄もやを蹴り上げる。靄は陽を浴びて駆けめぐる、野兎の行くところどこであれ。ワーズワース『抒情歌謡集』1798 湖水地方

    バイロン『チャイルド=ハロルドの遍歴』
    ※ギリシア独立戦争で戦死。

    佳き古き時代。すべての歳月は古くなるとよくなる。バイロン『黄金時代』

    逆境は真理への第一歩である。バイロン『ドン・ジュアン』

    永遠にめぐりくる春よ、あなたは三つの宝を忘れずに届けてくれる。年ごとに咲くライラックの花と、西の空に沈むあの星と、そして愛するあの人の想い出を。ウォルト・ホイットマン『草の葉』※庶民の生活や感情。

    寒さに震えた者ほど、太陽を暖かく感じる。人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さを知る。ウォルト・ホイットマン

    男は一週間もすれば忘れてしまう一言のために、命ばかりか良心までも犠牲にする。プーシキン『大尉の娘』

    不仕合せな妻がただひとり、昼も夜も彼女に価(あたい)しない夫を思って憂うる家庭より悪いものはありません。そういう家庭ではわびしげな夫が、妻の値打ちは認めながら、運命を呪いつつ、いつも眉根(まゆね)を寄せ、黙りこくり、ぷりぷりして、冷ややかな、嫉妬深い気持でいるのが常です。僕はそういう男です。プーシキン『オネーギン』

    ****************
    ロマン主義。人間の個性と感情。歴史と民俗文化。

  • [ 内容 ]
    <上>
    激動の時代を熱烈に生きて戦った詩人ハイネ(一七九七―一八五六)。
    祖国ドイツでの彼の評価はめまぐるしく変わり、ナチス支配の時代には完全に抹殺されさえしたが、その秀麗な抒情と卓抜な批判精神は、国境を越え時代を越えて数多くの読者を持った。
    一八二七年刊の『歌の本』は、青春時代の抒情詩の集大成で、シューマンらの作曲で愛唱されている。

    <下>
    激動の時代を熱烈に生きて戦った詩人ハイネ(一七九七―一八五六)。
    祖国ドイツでの彼の評価はめまぐるしく変わり、ナチス支配の時代には完全に抹殺されさえしたが、その秀麗な抒情と卓抜な批判精神は、国境を越え時代を越えて数多くの読者を持った。
    一八二七年刊の『歌の本』は、青春時代の抒情詩の集大成で、シューマンらの作曲で愛唱されている。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 大学でドイツ語を履修しているのは、これをドイツ語で読みたいから。

    マルクス・メンデルスゾーン・ベルリオーズ・ショパン・ヴァーグナー・小デュマ・ユーゴーとかと親交を持ち(特にマルクス)
    ナチスには排斥されてしまったりと、話のネタが尽きないハインリッヒ・ハイネ

    寝る前に1つ詩を読んで、頭の中でその詩の世界を想像しながら寝るといい夢が見られます(笑)
    このサービスのカテゴライズには読んだか、読んでいる途中か選ぶ欄があるね。
    きっとこの本はずっと「いま読んでいる」のままだと思うよ。

  • 「なにが騒がす」
    なにが騒がす 狂うこの血を
    なにが灼くのか 燃える心を
    煮えたち 泡だち 沸き立つ心
    はげしい炎が胸やきつくす

    血は荒れ 沸きたち 泡だつばかり
    そうだ 悪夢にうなされたからだ
    暗い夜の子がやってきたのだ
    おれを、息せき連れだしたのだ

    以下、元恋人の結婚式の風景
    たった一度の失恋でよくこれだけ詩をひねり出せたものだな

    「深夜、ヘリンの」
    深夜 ヘリンの家を出て
    もの狂おしくさすらった
    墓場へぼくが来かかると
    こっそり墓がさしまねく

    楽士の墓石がさしまねく
    月の光がゆらめいた
    「きみ いま行くよ」と囁いて
    霧の姿が浮かび出た

    ……

    わたしは歌を うたっていたが
    きれいな歌も 終わりとなった
    心臓が胸で 裂けてしまえば
    歌は古巣へ いっちまう

    「さて おれは 呪いで」
    あのひとを 愛して いけないなら
    このおれの いっさいは どこにある

    「朝 めざめては」
    朝 めざめてはたずねる
    いとしいひとはくるかしら
    ゆうべ 伏してはかなしむ
    きてはくれない 今日もまた

    なやみを胸にいだいて
    ねもやらず夜をすごす
    昼もゆめみごこちに
    あてどなくさまよい歩く

    「うるわしい わが悩みの」
    うるわしい わが悩みのゆりかご
    きよらかな わが恋の墓標
    うつくしい町よ もうお別れだ
    さらばと わたしは おまえに告げる

    さらば 神聖な あそこの閾よ
    恋しい人の 通うところよ
    さらば 神聖な あそこの場所よ
    ふたりがはじめて 出会ったところよ

    もしも あなたを 見なかったなら
    おお うるわしの 心の女王よ
    けっして わたしも これほどまでに
    いまは惨めに ならなかったろう

    あなたの心を かきうごかして
    愛してくれなど 願わなかった
    ただやすらかに 暮らしたかった
    あなたの息の 通うところで

    けれども あなたは わたしを追いやり
    にがい言葉を 口にするのだ
    わたしの五官は 狂わんばかり
    心は病んで 傷ついている

    からだは衰え ちからも失せて
    杖にすがって とぼとぼ行くのだ
    はるか異国の つめたい墓に
    疲れた頭を よこたえるまで

  • 『地獄の季節』より好き

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