流刑の神々・精霊物語 (岩波文庫 赤 418-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003241868

感想・レビュー・書評

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  • キリスト教の布教とともに追いやられてしまったギリシアの神々の末路を描いた『流刑の神々』と他1編が収録されたエッセー。哀愁漂うこの2話にはたっぷり心揺らされたが、それも己の遺伝子に組み込まれた古きよき魂とも言うべき信仰が根幹なので、それを言葉にするのはなかなか難しい。

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  • 流刑の神々,精霊物語 (岩波文庫 赤 418-6)
    (和書)2013年10月28日 21:34
    1980 岩波書店 ハインリッヒ・ハイネ, 小澤 俊夫


    今日は帰りに本屋で柄谷行人さんの『柳田国男論』を予約してきた。

    その参考書として探していた本です。読めて良かった。

  • キリスト教の布教とともに追い詰められる古代の神々や精霊。一神教の厳しい非寛容さに神話時代の明け透けなほどの鷹揚さが際立って感じられます。
    本文よりも解説での日本との比較の方が興味深く読めました。

  • (01)
    批評精神が詩や物語に向かい、歴史の柔らかい部分を解きほぐしている。悪魔や妖精、ギリシアの神々が広闊に語られ、キリスト教にあった狭隘な精神に批判が加えられている。
    ドイツの心情がフランスと対置され、ドイツ精神にみられる、例えばグリム兄弟が採集した民俗的な成果を引用しながら、柔らかい歴史の輪郭を描いている。その輪郭にはややナショナルな動機も感じられるが、そのような辛気臭さが気にしなければ、著者によって再編された詩や物語を愉しむこともできるだろう。
    悪魔的なものの由来や、それらへの憧憬についての理解も深めてくれる。悪魔はなぜ孤独なのだろうか、神話時代を経て近代を乗り越えた孤独な神は世界のどこかにいるのだろうかという問いにも、本書はある程度応えてくれているようにも思う。

  • 白島への霊魂渡しはいつもこうやっておこなわれる。あるとき船頭はこんな特別な場面に出くわしたことがある。あの目に見えない検閲官が名簿を読みあげている最中に突然読むことをやめて叫んだ、「ピッター・ヤンゼンはいったいどこだ?これはピッター・ヤンゼンではないじゃないか。」すると上品な声がしくしく泣くような調子で答えた、「わたしゃピッター・ヤンゼンのミーケだけどね、主人の名前で登録しておいただよ。」(144,145頁)
    ミーケはネコ?

  •  現代の「流刑の神々」・「精霊」はどこにいるのか、と思いながら読みました。社会・文化・政治・経済等を乱される・脅かされるのを防ぐために、古来からその時代に合わない・合わせない、適合しない・されない人々に異端者の烙印を押しているのだと思います。文学ではこういった人々に救済の光を当てています。時間の洗礼を受けても残る文学作品は、いつの時代の人々に読まれても共感できる普遍性があり、それを押し潰す力を逆にくるみこむ耐久性を持っていると思います。
     中心ではなく周辺にいる人々が共感できる普遍性と、周辺にいる人々を圧迫する力をくるみこむ耐久性を持つ文学作品。これらが文学は女性と子どもが読むモノとされる一つの理由の様な気がします。両者は共に社会システムにあまり参加できないと思います。作品中に出てきた「こびと」という精霊が、人間たちに嫌な事をされたら逃げていく事、普段は身を隠して生活している事、嫌な事をされない限り、人間達に幸福をもたらす事は、「こびと」を女性・子どもに置き換えてもある程度適用できそうだと思いました。

  • 本編そのものより、解説にある、柳田国男がこれに接点があったという事実が興味深いと思った。

    キリスト教の非寛容で抹殺された古代の神々の話、って
    それなりに数もあるし、凡人たるワタクシはなんとなく夢物語と読んじゃったんですが、これを彼岸の火事とせずに、
    (当時の)日本の現状に引き比べ、自説に敷衍して取り込むあたり、巨人の巨人たるところ。

    つーか、そもそも柳田と我が身を比べるか、という。

  • キリスト教に追放された神々のその後を描いているエッセー。信仰について考えさせられる作品でした。

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