罪と罰 下 (岩波文庫 赤 613-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003261378

作品紹介・あらすじ

ルージンの卑劣な工作により窮地に立たされたソーニャを弁護したラスコーリニコフは、その後ついに彼女に罪の告白を…。贖罪をうながすソーニャに、彼はつぶやく。「もしかすると、ぼくはまだ人間で、しらみではないのかもしれない…」(全三冊完結)。

感想・レビュー・書評

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  • 最後の方は一気に読んでしまった。外国文学の、あるいは古い作品のあの独特の劇のような語り口は正直得意では無いのだが、主人公の行く末を早く見届けたくて手が止まらなかった。
    罪への意識、というものはかくなるものなのか。

  • ドストエフスキーを読まずして読書家は語れないという思いから、約3000円近くかけて購入したが、購入してからおよそ1年が過ぎてしまった。今回一念発起して読んだが、もっと早く読みたかったという思いが強い。ロシア文学というものを人生で初めて味わい、そのユニークさに触れたことで、人の罪、犯罪とは何なのかを深く考えさせられる内容に自分の精神的成長を感じる。ドストエフスキーの集大成はカラマーゾフの兄弟らしいので、いつか挑戦したい。

  • 特に後半は正体不明の胸さわぎが止まらなかった

  • 高校生の時に読むことに挫折してはや何十年。
    読み終えたことに満足してしまい、なんて書いていいのやら。
    過去に、いや今もこの本についていろいろ書いている人たちがいるので、高尚な感想はその方たちにお任せします。
    読み終えた時に真っ先に思ったのは、宗教をベースにした恋愛小説?って思った。

  • とうとう読了、やりました!

    1月中旬に「罪と罰を読まない」から、じゃ読んでみようと一念発起して2月から読書スタート。途中他の本を読みつつ。

    でも、最後まで読めたのには面白さがあったから。これにつきるかな。
    江川卓先生の訳が読みやすいです。

    主人公ラスコーリコフは20代前半。容姿端麗、大学でも優秀な設定。だが極貧のため学生生活が継続出来なくなる頃から彼の生活が負のスパイラルに。彼の書いた論文の内容が正にラスコーのその後の起こした事件とその後の彼の思想そのものなんです。その内容は、英雄と言われる人物は世を導くために殺人も厭わないし(戦争とか)、それで罰せられることはない。それを正当化しており、つまり、この世のためにならぬ虫螻のような人を殺して何が悪いのだという思想なんですよ。これが最後まで、流刑後にもその思想は変わらないという。
    論文の内容が過激なので、最初はいやちょっと待って!と思いましたが、そこについては読者のみなさんはよく考えて欲しい。自分の正義を貫くためには、犠牲を伴うのは当たり前なのだろうか、、、とウクライナ侵攻が1年も続く今思います。

    救いは、最後にラスコーは突如ソーニャへの真の愛に目覚める所かな。

    下巻は上よりも、中よりも、ファイナルに向かって加速度的に面白さが増します。個人的にはスヴィドリガイロフの章が圧巻だったかなと思いますねぇ。

  • 就活をしながらダラダラと読み終わった。
    あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。


    罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。

    彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあった。

    極貧の中で精神を病み、流行思想にかぶれた彼はついに強盗殺人を実行し、偶然にも成功させてしまう。

    彼は罪を贖うことで恐怖や孤独から解放されたいと感じ、自分が犯人であることを仄めかすような行動を取り始める。

    しかし、彼は自分の理論の正しさを示すため、そして「人間」であろうとするために何度もその欲求に抗う。

    かつて優秀な学生だった彼は、ナポレオンのように非凡な「人間」は、全人類の利益のために「しらみ」たちを殺しても、良心の呵責を感じない権利を持つと考えていたのだった。

    だが、彼の目論見は外れた。
    罪を犯してから少し経った頃、彼は自首をする。

    牢獄の中で彼は、良心の壁を踏み越えることができなかったことや、自殺よりも自首を選んだことに苦しめられる。

    生きながらえたところで、未だ理論を諦め切れない彼にとって、殺人は罪ではなく一種の試みであり、優秀で傲慢な彼は今後の「しらみ」の人生に意味を見出すことはまだできなかった。

    しかし、、、


    ロシア文学は長くて退屈なイメージがあったが、なかなか面白かった。
    今後もドストエフスキーは読み進めていきたいと思う。

    贖罪は思考の産物ではなく愛から生まれてくる。
    人生に意味をもたらすものは無上の愛である。
    人生に意味を見出すことで人は罪を悔いることができるのだ。

  • 殺人を犯した人間の心理描写は卓越している。が、いくら精神的に病んでいるとはいえ、知性ある者だけにたかが金貸しばばあの金で人生を好転させようとする筋立ては、現実味に欠ける。

  • ドストエフスキー初心者で、こんなに分厚い本ではありながらも、まず、この物語がロシア人にとってだけじゃなく、圧倒的に面白く、普遍的で誰がどこで、どんなふうに読んでもかけがえのないものであえることをのぞんで第一ページを開いた。

     ロシア人のみならず全人類にとって共通の思いとなって語り合わずにはいられない文学ならば平和につながるはずだからだ。どこの国の誰であれ、この文学作品を失ってはいけない認識があれば・・・と。

     果たして罪と罰は古めかしい物語ではなかった。現代人が冒す犯罪と同じように本人には筋が通った反抗であったとしても利己的で自分勝手な論理により実行された。途中、最近はやりの幻想的な描写に紛れ込み、主人公以外の人物が自首したり、主人公は実は犯行は冒してない、二重構造でもあるのかと思わせながら、そのような狂信的な宗教も登場したり、エピローグでは人類を破滅に追い込む疫病の描写があったりととても予言的でもあった。ぜんぜん古くない。

     神仏への信仰の以前に自分の犯した罪に対し、贖うべきとの観念が生まれたのか、殺人は自らのなかで是としたはずなのにその行為の途轍もなさに耐えきれなくなり自首する。ここのところは、引き合いに出すのはなんだけど、自らの欲望を是として関係を持った瀬戸内寂聴がその恋人と別れるために仏門へ入ると同様の行為に思える。誰に強制されるからでなく、自らが自らを許せなくなる。
     この物語の中で知りながら自首を進め沈黙を通す予審判事はその実、彼の心の中の良心のささやき、あるいは心の中に芽吹いた神のささやきにも感じると、これってファンタジー?とも思えてくるのだ。

     注目していたのはラスコーリニコフが物語以前に婚約していた女性が主人公の心に何を与えていたのか、ソーニャに出会う前の愛情生活はどうだったのか詳細がわからない謎。スヴィドリガイロフの自殺は淫蕩の果ての行き詰まりなのか、望んでも手に入らなかった愛の悲劇なのか。スヴィドロガイロフとラスコーリニコフの「愛」が対照的だった。

    うーむ。何度か読まねばわからないなー。読んでわかるものでもなさそうだけど、

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