カレワラ 下―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-2)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003274521

作品紹介・あらすじ

鍛冶のイルマリネンは、婚礼の儀式を全て終えて花嫁を伴って帰還した。一方、婚礼の宴に招かれなかったむら気のレンミンカイネンは憤り、復讐を決意し、死の危険が待つポホヨラへと向かう。イルマリネンの妻の死を契機に、カレワラは、クライマックスのサンポ(ポホヨラの秘宝、天の柱の象徴)奪回へと一気に展開する。

感想・レビュー・書評

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  • 引き続いて下巻。こちらは巻末に固有名詞の小事典が掲載
    されている。こういう作りの本は手元に置いておきたく
    なるね(笑)。

    元々様々に伝承されてきたバラバラの詩歌を集めてひとつの
    物語に編集補作した作品であるためか、下巻となると少ない
    キャラクターを使い回している感が強くなるのが難点か。
    だが、フィンランドの神話世界、十分堪能いたしました。

    ハロルド・シェイ4巻へ。

  • 19世紀初頭に採集・編纂されたフィンランドの民族叙事詩『カレワラ(Kalevara)』の日本語訳。フィンランド各地にて歌い継がれてきた民族歌謡を集成し後のフィンランド独立運動の象徴にもなったこの一大叙事詩を、詳細な解説と共に全訳する。上下巻の下巻となる本書では、第25章から第50章まで(鍛冶イルマリネンの帰還から英雄ワイナミョイネンの退去まで)を収録する。
    本書は、フィンランドの叙事詩『カレワラ』の邦訳である。下巻となる本書では叙事詩の後半部分を全訳するほか、人名などの固有名詞の解説を巻末に収録する。
    『カレワラ』にて歌われるのは、老賢者たる英雄ワイナミョイネンを初めとするカレワラの勇士たちの物語である。美男子レンミンカイネンの冒険、鍛冶イルマリネンと魔境ポホヨラの娘との結婚、勇士クッレルボの悲劇、そして富を生み出す宝器サンポを巡るカレワラとポホヨラの戦争――。天地開闢より始まる詩歌の長き糸は、処女マリヤッタより生まれる「新たなカレリアの王」の誕生とワイナミョイネンの退去を以て完結する。
    さて『カレワラ』の内容についての感想であるが、個人的に他の神話叙事詩と比べてどこかコミカルで楽天的な雰囲気を感じさせられたというのが正直な所である。登場する度に騒動を巻き起こす"むら気な"レンミンカイネンはもとより、主役たるワイナミョイネンも「老人の身で若い娘に言い寄っては袖にされる」「ポホヨラへ行くことを渋る鍛冶イルマリネンを無理矢理竜巻で吹き飛ばしてポホヨラに送る」など、奔放な振る舞いをすることが多い。彼らが巻き起こす破天荒な活劇は、ある意味『カレワラ』の特徴とも思えた(或いはだからこそ、全てを失って破滅するクッレルボの悲劇的な末路や再来を予告しながらも海の彼方へと去っていくワイナミョイネンの姿などが印象的に映るのかもしれない)。

  • 原書名:Kalevala

    編者:エリアス・リョンロート(Lönnrot, Elias, 1802-1884、フィンランド、著作家)
    訳者:小泉保(1926-2009、静岡県、言語学者)

  • フィンランドの歴史を考えると、よくここまで古い伝承が残っていたものだと感心します。この叙事詩がロシアから独立するその気運が高まった時期にまとめられ、人々の支えになったという経緯は、アジアの一国として独り立ちすべく記紀を編纂した日本にやや近いものを感じます。やはり独自の歴史や文化は、民族の心の拠り所なのでしょう。神話的ですが、カレワラにおいて明確に神と呼べる存在はウッコくらいで、人間のようであり、妖精にも思える不思議なキャラクター達が行き交う世界観。フィンランドという国の空気に、少しだけ触れた気がします。

  • 最初読んでいても難解も慣れてくるとフィンランドの情景や人が浮かぶようだ。

  • 読みやすくて面白い。文章も、日本語化のむずかしい言い回しだけれどなかなか軽快で。登場人物のキャラクターが非常におもしろい伝説集。

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