代表的日本人 (岩波文庫 青 119-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003311936

感想・レビュー・書評

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  • 日本の歴史的名著の一つ。日本を代表する5人の偉人について、若干の著者の解釈や西洋との比較を交えながら描かれている。強い志や人間としての徳を持った人が歴史上で成し遂げてきたことを知ることができ、また、どんな考え方をしてどのように実行してきたかを知ることができ、勉強にもなる。その中には、事をなす前にまずは徳を持つことの大切さ、人に尽くす、世の中のために尽くすという信念を持って成し遂げてきた経緯を読むことができることから、弱い自分の心の戒めとして何度も読み返す価値のある本だと思った。

    二宮尊徳の、最初に道徳があり、事業はその後にあるのである、後者を前者に先立ててはならない、という言葉は印象的であった。また、上杉鷹山の変革は、人の心や行動を改めて藩を立て直していったこと、医療や教育などさまざまな取り組みを行っていたこと、それを19歳に藩主となって若くして成し遂げていったことに強く尊敬を持つ。

  • 内村鑑三先生が5人の代表的日本人を題材に日本人の道徳観を説いた本。外国人向けに日本の思想を紹介した内容であり、偏ったバイアスがないのが良く、日本人が客観的に日本を学ぶのに優れた本である。

    以下、中江藤樹より備忘しておきたい一文。
    ・“学者”とは、徳によって与えられる名であって、学識によるものではない。学識は学才であって、生まれつきその才能をもつ人が、学者になることは困難ではない。しかし、いかに学識に秀でていても、徳を欠くなら学者ではない。学識があるだけではただの人である。無学の人でも徳を具えた人は、ただの人ではない。学識はないが学者である。

  • 5人のうち、気になる所から読んでみてもいいかもしれません。
    私が1番印象に残ったのは、二宮尊徳。正直二宮金次郎像のイメージしかなかった私ですが、この本で彼の精神や生き方を学び、像への見方が変わりました。笑

  • 新渡戸稲造の「武士道」、岡倉天心の「茶の本」と並ぶ内村鑑三が書いた、日本の文化や人物を西欧に紹介する著書。内村鑑三が書いた

    西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人について描かれている。

  • 内村鑑三先生が奔流のように押し寄せる西欧文化の中で、どのような日本人として生きるべきかを模索した書です。

  • うろ覚えだが…ケネディ大統領が尊敬する日本人は誰か、と聞かれて「上杉鷹山です」と答えた、というエピソードがあったらしい。

    …上杉鷹山って誰だ?そんなマイナーな人をよく知っているもんだ、さすが大統領は違うと、日本人記者は感心したという。おそらく、ケネディさんはこの本を読んだのだろう。この本は元々内村鑑三が英語で書いた本だからだ。

    もっとも、日本人である私にも理解できない部分があり、時代的な差異を感じる。もしかしたら、これを読んだ外国人の方の経験を追体験できたのかもしれない。

    この本で紹介されているのは、先の上杉鷹山のほか、西郷隆盛、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5名。それぞれのエピソードが語られる中で、日本人の美徳について語った書物だ。

    印象的なのは、結構挑発的な点。外国人に対する劣等感みたいなものを感じる。まぁ、それは現代でも同じか。

    また、登場人物が大なり小なり「天」をはじめ何かしらの超越的なものに依拠しているのも印象的だった。何かを成し遂げる時、理屈が邪魔になることはある。彼らには、そういったストッパーはなかったのだと思う。それが大きな功績を成し遂げる一因だったのだろう。

    逆に世間体は気にしていた感じがある。気にしなかったのは日蓮上人くらいか。日本人的なもの、と言えば世間的なところ、という風に陰絵的な感じでこの本を読むことも可能かもしれない。

    ちょっとダラダラと読んだのは反省。何かしらの視点で持って批評的に読むべき本な感じがした。例えば、当時の日本人的な意識とか、外国人にどう思われたい、とか。

    この本自体の評価は難しい。書き手の意識する時代も読み手の対象も違うからだ。大学の頃に読むように言われて10年以上積読状態だったが、何かしらの意図を持って読むという観点からは大人になってから読んでもいいと思う。

  • キリスト教徒の観点を織り交ぜて、鎖国を続けてきた日本の個性を、欧米社会に対して説明、紹介した著作。当時の内村鑑三の問題意識を想像しながら著作を読み進めつつ、一方で代表的日本人として取り上げられた各々の生き様に思いを馳せながら読了。

  • ・日本PR本の古典。

    【書誌情報】
    原題:Representative Men of Japan(keiseisha [警醒社] 1908年).
    (※『Japan and Japanese』1894年の改訂版)
    著者:内村 鑑三(1861-1930) キリスト教思想家・文学者・伝道者・聖書学者。
    訳者:鈴木 範久(1935-) 宗教史(近代日本キリスト教など)
    出版社:岩波書店
    通し番号:青119-3
    ジャンル:岩波文庫 > 青(日本思想)
         日本十進分類 > 歴史/地理
    刊行日:1995/07/17
    ISBN 9784003311936
    Cコード:0123
    体裁:文庫・208頁

     内村鑑三は,「代表的日本人」として西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人をあげ,その生涯を叙述する.日清戦争の始まった一八九四年に書かれた本書は岡倉天心『茶の本』,新渡戸稲造『武士道』と共に,日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作である.読みやすい新訳.
    [https://www.iwanami.co.jp/book/b246037.html]

    【目次】
    凡例 [003]
    目次 [005-008]

    一 西郷隆盛──新日本の創設者
      1 一八六八年の日本の維新
      2 誕生、教育、啓示
      3 維新革命における役割
      4 朝鮮問題
      5 謀反人としての西郷
      6 生活と人生観

    二 上杉鷹山──封建領主
      1 封建制
      2 人と事業
      3 行政改革
      4 産業改革
      5 社会および道徳の改革
      6 人となり

    三 二宮尊徳──農民聖者
      1 今世紀初頭の日本農業
      2 少年時代
      3 能力の試練
      4 個人的援助
      5 公共事業一般

    四 中江藤樹──村の先生
      1 昔の日本の教育
      2 少年時代と自覚
      3 母親崇拝
      4 近江の聖人
      5 内面の人

    五 日蓮上人――仏僧 
      1 日本の仏教 
      2 生誕と出家 
      3 暗黒の内と外 
      4 宣言 
      5 ひとり世に抗す
      6 剣難と流罪 
      7 最後の日々 
      8 人物評 

    『日本及び日本人』序文(著者 日本の京都にて 黄海海戦勝利の翌日) [179-180]
    『代表的日本人』ドイツ語訳版後記(一九〇七年五月二日 東京にて 内村鑑三) [181-184]

    訳注 [185-194]
    解説 [195-208]
      一 原本について
      二 『代表的日本人』の執筆事情
      三 資料と内容について
      四 反響
      五 訳文について 

  • 20220625読了
    こんな現代に読めてよかった
    情報社会いいこともあるけど物事の本質を大事にしたい

  • 内村鑑三が英語で日本の文化・思想を西洋社会に紹介した名著
    西郷隆盛、上杉鷹山,二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人が記されている。

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著者プロフィール

1861年生まれ、1930年没。思想家。父は高崎藩士。札幌農学校卒業後、農商務省等を経て米国へ留学。帰国後の明治23年(1890)第一高等中学校嘱託教員となる。24年教育勅語奉戴式で拝礼を拒んだ行為が不敬事件として非難され退職。以後著述を中心に活動した。33年『聖書之研究』を創刊し、聖書研究を柱に既存の教派によらない無教会主義を唱える。日露戦争時には非戦論を主張した。主な著作は『代表的日本人』、『余は如何にして基督信徒となりし乎』など。
佐藤優
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。現在は、執筆活動に取り組む。著書に『国家の罠』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。おもな著書に『国家論』(NHKブックス)、『私のマルクス』(文藝春秋)、『世界史の極意』『大国の掟』『国語ゼミ』(NHK出版新書)など。『十五の夏』(幻冬舎)で梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞。ほかにも著書多数。

「2021年 『人生、何を成したかよりどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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