- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003320716
感想・レビュー・書評
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これを手にとって、ぱらりとめくった時、「あー、これ、一度中身見て、最初の数ページで思ってたのと違うと思って何度か本棚に戻した本や」と気づいた。
孫子は、戦いの極意を通して、人の心理なども描き出すと言われることもあり、近年ではビジネス文書の欄に並んだりすることもある。でも読んでみた感じ、ビジネス文書になる可能性は低いのではないかと思ってしまった。それほど深く、心理を探っていないから。
白文、読み下し文、現代語訳の3段構成になっている。初めてなので全部に目を通していたら、読破にすごく時間がかかってしまった。それで集中してとれる時間が少なく、理解が浅いこともあるかもしれないので、今、現代語訳のみを読み直している。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言われれば当たり前と思えることも、まとまって改まって言われるとなるほどと思える。争いごとの基本は今も昔も変わらないと言うことか。人に進歩がない、とも言えるかな。
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「孫子」は13篇にわたる中国最古の兵法書といわれる。著者は孫武とも孫臏(そんひん)とも言われるが、二千年以上経った現代においても参考になるのだという。訳注を著した金谷治先生の解説によれば、全篇を通じて内容的な特色を3つ挙げている。
まず第一に、それが好戦的なものでないということ。「戦わずして人の兵を屈するは善の善なり」としている。
第二に、その立場の現実主義的なこと。
第三の特色は、戦争に際して主導性を把握することの重要さが繰り返し強調されていること。「善く戦う者は、人を致して人を致されず」という。
私が読むには「実戦」について多く語られていると思う。これを一般の生活やビジネスに応用するのは、私にはいささか難しいように思える。しかし実際にビジネスに広く応用されているそうだ。中国ではその昔范蠡(はんれい)という人物は商売に応用して成功し富豪となりその名を轟かせたという。世の賢人たちはそこをどう解説しているのか「孫子」を解説したビジネス書を読んでみるのも面白いかもしれない。
武田信玄の軍旗に書かれたとして有名な「風林火山」は軍争篇第七に登場する。「故に其の疾(はや)きことは風の如く、其の徐(しずか)なることは林の如く、侵掠(しんりゃく)することは火の如く、知り難きことは陰の如く、動かざることは山の如く、動くことは雷の震(ふる)うが如くにして…」と二句の順序を改めて転倒している。押韻や意味の上からもそれがよいのだそうだ。山本勘助らが武田の軍旗を作った頃は別の伝わり方をしていたのだろうし、そのおかげで「風林火山」が生まれたともいえる。
最後に附録として「史記」から孫子伝を紹介している。呉の国で呉王の前で女を相手に兵法の訓練をした孫武は、指示通りに動かなかった呉王の愛姫を斬り殺し見せしめとしたエピソードはあまりにも有名だ。
あまり長くない13篇であるが、いちいち納得させられるものがあるのは現代に通じるということの証であろう。 -
孫子の兵法は、聞いたことがあるが、
どのような内容で、どのような文の構成になっているのか?を知りたくて、より、難しそうな方を選択しました。
結果的に、岩波文庫を選択しました。
率直な感想は、とても奥が深いと感じました。
単に、戦い方のことについてのみ書かれているのかと思っていましたが、それはとても浅い理解であることに気づきました。
ぜひ、読むべき価値のある内容だと感じます。 -
会社経営者やコンサルの人たちに『孫子』が好まれるという話は前々からよく聞いてはいたが、今回最後まで通読してみて、なるほどねえ、確かにこういう本は好かれるだろうなと納得した。それは、兵法書でありながら組織論や戦略論として応用できそうなところが多々あるからである。ただ、ここが中国の古典らしいところで、こういう時にはこうせよとは書いてあっても、なぜそうなるのか、では具体的にどのように実施すれば良いのかという記述に乏しいので、耳触りの良い標語としてわかった気になるレベルを越えて実際に実務に活用しようと思えば、読む者、実行する者の理解力と思考力、応用力が試されることになろう。
このように、ビジネス書としてもよく読まれる『孫子』であるが本書はやはり兵法書。私は当初、戦うときの算段や兵の動かし方、攻め方、守り方などがガッチガチに書かれているものだと思い込んでいた。つまり、勝つための諸策目白押しだと想像したのである。ところが、実際に読み進めてみると、例えば「凡そ用兵の法は、国を全うすることを上となし、国を破ることはこれに次ぐ。軍を全うするを上と為し、軍を破るはこれに次ぐ(中略)是の故に百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり。」(謀攻篇)なんて書いてあって、正直に言って拍子抜けした。戦法の本じゃないのか、と。だが、よくよく考えてみると「戦わずして勝つ」とか「勝利の軍はまず勝利を得てから戦争をする」というのは、戦いや生きていく上での奥義であるということに思い当たった。私はかつてあるお寺の高僧の方から、「弓で的を射るとき(すなわち何か目標を立ててそれを達成しようとするとき)、的を狙うから、私(弓の引き手)と的の間に距離ができるの。的に当たってから弓を引けばいいじゃない?そういう境地があるのよ。できてから仕事をするという境地があるの。」と教えていただいたことがあるが、通ずるものがあるように思う。
ビジネスのみならず、生きていく上においても知恵と示唆を与えてくれる本書。これからも折に触れて紐解きたい一冊だ。
最後に。
本書には「兵の情は速を主とす。」(九地篇)、すなわち戦争の実情は迅速が第一だ、スピード勝負だと書いてある。翻って、ロシアとウクライナの戦争は2022年2月24日開戦で、現在(2024.1)で2年弱。いまだに多くの犠牲を生み、当時国もいよいよ疲弊し、ウクライナの背後で甘い蜜を吸おうと目論んだNATO諸国もその甲斐なくむしろ面倒臭くなっている現状、孫子(孫武か孫臏)が生きていたら、下手くそな戦争と言われるに違いない。 -
アナロジーが求められる
再読必須 -
高校生の頃古文と漢文の勉強を疎かにしていたツケが回ってきた…
本作はとても有名な兵法書の古典だが、その普遍性が評価されており現代社会でも通用すると言う事だったので読んでみた。地形や火攻めのところなどはそのまま戦い方についてが記されているが、確かに他の部分では普遍性のある内容も多く面白かった。
作中もっとも印象に残っているのは次の文。
「善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故に能く勝敗の政を為す。」戦争が上手いものは良い政治を行い、ルールを守る。そして思うままに勝敗を決められるようにすると言うことだ。仕事をする上で大切にしたい考え方だと思った。
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とにかく漢文が難しい。いつかまた読もう。
事前準備、情報収集、予備知識!
いざ戦いとなったら、臨機応変!
とにかく勝てない戦はしないこと!
兵法書ではあるが、好戦的ではないところ、現代に生きる人の人生の教訓にもなりうる内容(普遍性か?)であるところ、とても興味深い。