君主論 (岩波文庫 白 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003400319

感想・レビュー・書評

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  • 中世ヨーロッパにおける政治生体や様々なリーダーの栄枯盛衰を俯瞰的に分析し、リーダー(君主)とはかくあるべき
    というものを記している。特に、憎悪と軽蔑は避けるよう努めるべきであるが恐れられことは必要である、助言は必要なときに自ら得れば良く、それ以外に進言される助言は不要であるといった内容が心に残った。リーダーの多くの資質について述べられているが、とどのつまり社会情勢や自分や他社の能力や性格をつぶさに分析し、臨機応変に対応する必要があるということだと理解した。今から500年前に記された書物ではあるが、現在の組織にも十二分に適用できる内容となっている。

  • ヨーロッパ政治思想史の参考文献として読まねばならず。
    重~いページをめくったら、その日のうちに最終ページをとじました。

    政治家の言っていることがこんなによく分かるなんて!と政治に通じた気を起こすところだったが、マキアヴェッリの分かりやすいレトリックのお蔭なよう。

    人間など所詮自分のことしか考えていない、という前提に則った所論の展開は説得力十分で筋道の通った裏のない言葉はとても気持ちがよい。

    女の子が電車の中で読むにはあまりに可愛気のない本ではあるが、イタリアでは学生の必読図書だそうで、世紀を越えて読まれるだけの価値が大いに感じられた。

  • 5年ほど前に読んだ時と比べてかなり理解して読むことができたと思う。とは言え自分に思考的な進歩があったかと言えばそうではなく「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を先に読んだのが大きい。あの本は君主論の導入本としてはこれ以上なく最適だと思う。

    本編は「運命」と「力量」が君主にとって最も大事な要素である事を説明し、「運命」とはどのような影響を及ぼすか、「力量」とはどのように形成されていくかを歴史の実例(主に古代ギリシャ・ローマや中世イタリア)を元に紐解いていく。君主が助言を聴くのはあくまで君主側のタイミングであり、判断は君主に委ねられると言う部分はその通りだと思った。あととにかく舐められたら負けということか。

    理想は理想だが、この本の内容を上手く使いこなせた時管理職として上手くいくのかもしれないーと月並みなことも考えたりもした。

  • 「君主は必要に応じて悪人にもならねばならぬが、その悪を行うときは全て一気に行い、その後は善人に戻るようにすること」という言葉が印象に残りました。また、君主が自らの利益や安全を守るためには必要に応じて人を裏切り、反逆者を排除しなければならないということも、深く考えさせられました。


    マキャヴェッリが16世紀初頭に書いた政治論の古典。君主としての成功のために、強さ、知恵、権力の行使を重要視する。その手段は道徳的に正しいとは限らないが、目的に合わせた選択をすることが必要とされる。個人の意見にとらわれず、国家を導くために必要な判断をすることが求められる。そのためには、一定の「虚心坦懐」と「愛されることよりも恐れられること」が必要であると説く。政治家やリーダーにとっての一助になる本だが、倫理的な観点から批判されることもあると思う。

    権力者に必要な思想と行動についての指南書であることは間違いないと思うのだが。

  • 君主とはどうあるべきか。必ずしも聖人君子のように振る舞うのではなく、時に非道に、時にケチになるのもヒエラルキーの上位に立つ時には必要な資質であると理解した。
    人々からあえて嫌われることもいとはない、リーダーはどの時代でも寂しい側面があるものなのだと思う。

  • 序盤の政体論や軍制論はいまいちだったが、15章からの君主の資質に関する話は面白かった。
    チェーザレ・ボルジアに強く影響を受けた内容なのでチェーザレ・ボルジアについての本を読んでから本書を読むとより分かりやすい。

  • 不道徳教育講座に近い感覚を覚える。
    目的に照らし合わせた時に最も効果的な手段を考えるべし!というメッセージと受け取った。
    ただ、時代背景と君主という立場を認識しないとならない。誰でもどの場面でも活用できる代物ではない。
    例えば、「慕われるより恐れられた方が良い」は本当にミドルリーダーに必要かと言われれば怪しい。トップなら必要な気はするが。
    現代の一般論に流されがちな人は対局の意見として取り入れても良いと思う。

  •  君主を社長に読みかえて読んでみた。君主論は上に立つ人にとっていい本だと思うけど部下にこれを薦めたいとは思わない。

    君主がみずからの地位を保持したければ、善からぬ者にもなり得るわざを身につけ、必要に応じてそれを使ったり使わなかったりすることだ。
    →手を汚すことも必要だと解釈した。ただこれはやりたくはない。

    気前の良さとけちについて
    →権力の座に着くまでは他人の所有物を惜しみなく与える者との評判を取るように行動し、権力の座に着いたら倹約を旨とし自分のものや社内のものを大事にしなければならない。

    冷酷と慈悲について
    →性悪説に立つべき。慕われるより恐れられよう。人間は恩恵を施している間だけ味方になっているから。全幅の信頼を寄せるな。

    どのようにして信義を守るべきか
    →慈悲深く、信義を守り、人間的で、誠実で、信心深くといった資質を身につけて離れない。が、必要たあらば狐となって罠を悟り、獅子となって狼を驚かす。

    どのようにして軽蔑と憎悪を逃れるべきか
    →憎悪は強欲になって社員の給料を減らしたり名誉を傷つけることで生まれる。軽蔑を招くのは優柔不断な態度である。


    運命はどれほどの力を持つか。私たちの諸行為の半ばまでを運命の女神が勝手に支配しているのは真実だとしても、残る半ばの支配は、あるいはほぼそれぐらいまでの支配は、彼女が私たちに任せているのも真実である。
    →運命に全面的に任せてはいけない。時代に自分の行動を合わせることで幸運な結果を導くことができる。

  • 世界の政治家や大企業のトップ経営者は、このような本の知識を得てことに当たっているのか、と理解しました。

  • 約500年前の時代を生きていた人物の著作とは思えないくらい、その内容に説得力があった。彼が唱える君主論は、彼が時代の流れの中で身をもって経験したことが元となっているため、戦争に明け暮れていた当時の情景が思い浮かぶかのような迫力があった。彼が唱える君主論は、どのようにすれば人心を掴むことができるのかを教えてくれると共に、巨大な権力を扱い方がどれだけ難しいことなのかを教えてくれるものであった。

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