資本論(マルクス) 1 (岩波文庫 白 125-1)

制作 : F.(フリードリヒ)エンゲルス 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412510

感想・レビュー・書評

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  • 疎外。本来、自分のものであるはずのものが自分から離れてよそよそしくなる。本来、労働は創造的な活動で、自己実現、人間能力の開花につながる。しかし、ものを生産する手段(労働者)を資本家が握る社会では、労働者は自分の人生や運命を決めることができない。
    ※疎外の指標(無力・無意味・孤立・自分が自分でないような感覚)。単純流れ作業の労働者は疎外感が高い。選択肢もなく、ただひたすら単純作業を機械のように続ける労働者。一方、職人は疎外感が低い。自分の技術を日々磨き、成長・やりがいを感じている。R・ブラウナー。

    物の価値は労働量で決まる。資本家は労働者を酷使して、労働力をできるだけ多く搾り取る。人間は自分で素材を買い、働いて価値を付けて、売るのなら、搾取はどこにもない。靴職人が革を買って、それを加工して靴を作って売る。搾取はない。しかし、素材を買うお金がない人は労働力を売って生きるしかない。資本家は靴職人を雇って、靴を作らせ、その商品を売る。売上の一部を靴職人に賃金として渡す。資本家は安い賃金でたくさん靴を作らせた方が儲かる。労働者を限界までこき使うようになる。賃金以上に働いて生まれた価値(剰余価値)はすべて資本家のものになる。

  • かつてのマルクス翻訳者の第一人者である向坂逸郎は、113年前の1897年2月6日に福岡県大牟田市で生まれたマルクス経済学者・社会主義思想家。

    本当にマルクスを読み解くなら、哲学や階級論だけで終始していては不備だということから、無理難題を承知の上でしたが、無謀にも牙城を攻め崩す覚悟で、この『資本論』岩波文庫全9冊とともに、『ゴーダ綱領批判』とか『経済学批判』も合わせて克明なノートを取りながら、父やボイスレコーダー相手に説き話すことで咀嚼しながら理解に努めたものでした。

    たしかに難解といえば難解でしたが、言葉の意味とそれぞれの関連性を理解するだけで案外スッキリと解けるもので、すこしわかるとしめたもの、けっこう私もやるじゃないなどと言って、自分で自分を褒めるようになったら、これまた好都合で、より加速出を増して読めるように進みます。

    ともかく、本来、経済学の専門家ではない私のような普通の人が普通に読んで理解できなくてはならない本なのですが、だいたいのおおざっぱな概説としてなら数多く出ている入門書を読めばいいのですが、私としては政治学よりも重要なものとしての認識から、生涯にわたってある程度以上の議論が出来たり、日本や世界の行く末を展望するためにはどうしても必要だということで、少し無理して、お勉強しちゃったのでした。

    そして私は、少しでも大好きなシモーヌ・ヴェーユに近づくためには、彼女と同じかたちでマルクス・レーニンを読まなければならないと思い込み、暇にまかせて古書店を探し回って、かなり綺麗なままのマルクス全集53巻とレーニン全集47巻を見つけましたが、購入したのは後者だけで、前者の方はちょうど出ていたCD-ROM8枚組を選びました。両方で30数万とかなり廉価にしてもらったとはいえ高額、でも全部バイト代でまかないましたから誰にも無駄使いとは言わせません。

    ただし、本来この軍資金は、成人式の時に着物をレンタルか購入する資金として貯めたものでしたから、それをカールとウラジーミルに使っちゃったなんてことは誰にも言えません。結局は成人式にも行かずじまいですが、まあ、そんなことはどうでもいいことです。

  • 説明不要
    聖書と並ぶ“永遠のベストセラー”
    資本主義的生産メカニズムの正体と
    その生成と発展と没落の必然性を
    唯物史観の観点から説き明かした
    革命家マルクスの集大成にして人類史上最大の大著
    人生狂う恐れあり、要注意

  •  学生時代に読んだ記憶があるのはこの第1巻のみ。今回30年ぶりに再読を思い立ったが、この岩波文庫版が第9巻まであるということを知り愕然とする。みんなよく読むよなあ。以前ホッブスの「リバイアサン」に手をつけたときは第3巻の最初で挫折、しかも今回は優にその3倍以上はある。全巻読破は無理かなと思いつつ、幸か不幸かコロナ禍で通勤時間が節約できている今しか読む機会はなかろう、と考え読み始めた。

     個人的に貴重な再発見であったのは以下のくだり。商品生産における価値体系「使用価値」「交換価値」とパラレルな形で、労働にも「具体的な有用労働」と「抽象的な人間労働」があり、交換価値は専ら労働時間で計量される抽象的人間労働」によりもたらされる。商品同士の交換では、一方の使用価値が他方の交換価値と相対するが、そこでは同時に私的で具体的な労働が社会的で抽象的な労働と対峙している。──有名な「労働の二重性」だが、ここで価値の交換が成り立つための条件を考察した先駆者としてアリストテレスが持ち出されているのが興味深い。交換されるべき価値の共約数である「人間の平等性(等一性)」の発見者として、マルクスはアリストテレスを高く評価しているのだ。当時はスコラ哲学を経てデカルトやベーコンの機械的人間論が幅を利かせ、アリストテレス的な形而上学は傍に追いやられていた時代だと理解していたのだが。

     本来なら等価交換で剰余価値が生まれるはずのない商品経済で、何故か価値の蓄積を続ける資本。その価値の源泉が、本来貨幣と等価交換されるべきその使用価値が消費された途端に交換価値を生じるような特殊な商品、すなわち「労働力」であったという転倒。労働力に超越論的に内在する剰余価値=使用価値と交換価値の差異を搾取しながら、ベンサム的功利で自らを正当化する資本を糾弾したところで第1巻は終了。

     この第1巻は比較的難解だとされているようだが、学生時代とは違い今改めて読むと意外にシンプルで読みやすく感じる。比較的有名な論点が多くいろんなところで言及されているせいもあるだろう。一方、事前に知りたいと思っていた物神化や類的本質といったマルクスを特徴づけるタームの出現頻度はここでは低く、本書を読んだだけではほとんど理解が進まなかった。

  • これを読むとアリストテレスのすごさが分かる。とりあえず1〜3まで分からなくてもいいから黙って読めと言われているので、読む、非常に面白い。

  • アダムスミス,リカードの経済理論から,イギリスの経済を分析して体系を作りなおしたもの。
    膨大な理論で,難解なところもある。
    ヘーゲルの哲学との関係はうまく読み込めなかった。

    時間,主体を捨象したマクロ経済学的側面を持ちながら,ミクロ経済学的論理を展開しているように読める。

  • 「20世紀最大の思想家」とも云われるマルクスの主著。
    基本的には「経済学批判」の続きであり、改めて何かをいうことはない。ただマルクスの碩学さには恐れいる限りで、経済学に限らず哲学や文学、はては自然科学に至るまでのあらゆる文献から引用し、説を進めて行く。貨幣には様々な「手段(蓄蔵・支払etc)があるが、私が知る限りはマルクスがはじめて紹介しているようだ。
    ともかく、これは読み物としても面白いというのは分かる。ペダンディックともいえる文章の書きかたは、読むものを惹きつける。

  • 汝の道をゆけ、そして、人にはその言うにまかせよ。

  • 世界史上の大著。19世紀に書かれた、20~21世紀を理解するための書。

  • 現代社会はマルクス抜きには語れないので。

著者プロフィール



「2013年 『フランス語版資本論 下 〈オンデマンド版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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