真昼の暗黒 (岩波文庫 赤 N 202-1)

  • 岩波書店
4.00
  • (10)
  • (13)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 172
感想 : 15
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003720219

作品紹介・あらすじ

独房404号に収監された古参党員ルバショフ。三度の審問を通じて明らかになる過去と現在、壁を叩く獄中の暗号通信。No.1とは誰か?自白はなぜ行われたか?スターリン時代のモスクワ裁判と大粛清を暴いたベストセラー、戦慄の心理小説。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 4.04/143
    『独房No.404に収監された元人民委員ルバショフ.覚えのない罪への三回の審問と獄中の回想,壁越しの囚人同士の交信に浮かぶ古参党員の運命.No.1とは誰か.なぜ自白は行われたか.スターリン時代の粛清の論理と戦慄のモスクワ裁判を描いて世界を震撼させたベストセラー.心理小説の傑作(1940年刊)』(「岩波書店」サイトより▽)
    https://www.iwanami.co.jp/book/b248509.html

    冒頭
    『ルバショフの背後で独房のドアがバタンと閉まった。
    彼はしばらくドアに凭れていた。それからタバコに火を点けた。右手のベッドに載っている二枚の毛布はいちおう清潔で、藁のマットレスも新しいもののようだった。』

    原書名:『Sonnenfinsternis』(ドイツ語)、『Darkness at Noon』(英語)
    著者:アーサー・ケストラー (Arthur Koestler)
    訳者:中島 賢二
    出版社 : ‎岩波書店
    文庫 ‏: ‎429ページ
    ISBN : ‎9784003720219

    メモ:
    ・20世紀の小説ベスト100(Modern Library )「100 Best Novels - Modern Library」
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • スターリン体制時の時代を舞台として、幹部クラスのポジションにいた一人の党員が粛清されるまでを描いた作品。
    当時の社会情勢を知らずとも、尋問のシーンの執拗さには真綿で首を絞められるような陰湿さを感じて楽しめる。
    ジョージ・オーウェルの「1984年」の尋問シーンは本書から大きく影響を受けたらしいが、読んでいて納得した。
    「党は個人の自由意思を否定したが、同時に自らの意思による自己犠牲を強要した。党は二者間の選択をする個人の能力を認めなかったが、絶えず正しい選択をすることを要求した。党は善と悪とを区別する個人の能力を認めなかったが、罪と裏切りについて躍起となって語った」
    ヒトラーもまだ生きている1940年に、全体主義の本質と矛盾を指摘したこの作品は凄いと思う。
    そして、作中に一切、主人公の祖国の名前が出てこないところも流石。

  • え、これって、今現在のことを書いているんじゃないの?

  • いまいち入り込めなかった。尋問するならやり方を選ぶべきだということはよく伝わってきた。

  • スターリンの大粛清への関心からたどり着いた本。ルバショフ、イワノフら革命初期の知的階級と、グレトキン農奴階級出身のスターリンの申し子達との埋めようのないギャップ。ルバショフは昔の人。「罪」は既定路線なのにすぐ屈せず、全ての罪状に一つ一つ論駮していくのも恐らくそう生きてきたからなのだろう。イワノフ、グレトキン初め、周囲の人との関係性が変化するのも興味深い。ちゃんと読みきれたとはとても思えないので、何度か読み返す本。

  • 初めてアーサー・ケストラーを読んだ。
    何回か繰り返して読みたいと思う。

    革命が成功して体制になってしまうと,初期の革命が目指していたものは,その革命の論理故に達成不可能になってしまう。

  • ニコライ・ブハーリンが肅清されるに至る第3回モスクワ裁判をモデルに書かれた小説。発表当時センセイションを巻き起こしベストセラーになったそうだが、さもありなん。単なるソヴィエト社会主義体制の暴露小説としてのみならず、イデオロギー論としても、思想小説としても、恐怖小説としても、エンターテインメントとしても読み応えのある作品。主人公ルバショフの最期はブハーリンよりも思弁的だ。

  • 2010年6月10日(木)読了。歴史や思想史を勉強し直してから再読したい。(解り切れなかった部分がある為)

  • ディストピア第2弾。こちらはタイトル通り救いがない。

全15件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Arthur Koestler 1905年ブダペスト生まれ。ウィーン工科大学で工学を学ぶが、学業を捨てシオニズム運動に参加。その後、才筆を認められてドイツの新聞社で活躍、北極探険にも加わる。共産党に入り解雇。コミンテルンの援助でソ連各地を旅行。スペイン内戦中にフランコ軍に捕えられ死刑宣告、捕虜交換で釈放。1948年イギリスに帰化。作家として、また科学ライターとして生命科学界で活躍。1983年、白血病とパーキンソン病から自殺を決意、妻も「あなたのいない人生など考えられない」と共に自殺。訳書等に 『偶然の本質』(村上陽一郎訳、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2006年)、『サンバガエルの謎』(石田 敏子訳、岩波書店(岩波現代文庫)、2002年)、『機械の中の幽霊』(日高敏隆・長野敬共訳、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、1995年)、『ユダヤ人とは誰か』(宇野正美 訳、三交社、1990年)、『サンバガエルの謎 新版』(石田敏子訳、サイマル出版会、1984年)、『還元主義を超えて』(池田善昭監訳、工作舎、1984年)、『機械の中の幽霊—現代の狂気と人類の危機 新装版』(日高敏隆・長野敬 共訳、ぺりかん社、1984年)、『ホロン革命』(田中三彦・吉岡佳子共訳、工作舎、1983年)、『偶然の本質』(村上陽一郎 訳、蒼樹書房、1974年)、『創造活動の理論(上・下)』(大久保直幹・松本俊・中山末喜・吉村鎮夫 共訳、ラティス、1966・1967年。(抄)→グロリアインターナショナル、1971年)、『ヨハネス・ケプラー—近代宇宙観の夜明け(現代の科学43)』(小尾信弥・木村博訳、河出書房新社、1971・1977年、未訳『夢遊病者たち』の一部、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2008年07月)、『コペルニクス』(木村寿訳、すぐ書房、1973・1977年、未訳『夢遊病者たち』の一部)、『絞首刑』(西村克彦訳、青林書院、1959年)、『現代の挑戦』(井本威夫訳、荒地出版社、1958年)、『神は躓く』(共著、村上芳雄訳、ぺりかん社、1969年)、『行者と人民委員〔エンゼル・ブックス〕』(大野木哲郎訳、国際文化研究所、1957年)、『真昼の暗黒』(岡本成蹊訳、筑摩書房、1950年。庄野満雄訳、鳳映社、1958年。角川文庫、1960年、中島賢二訳、解説=岡田久雄、岩波文庫、2009年)、『スペインの遺書』(平田次三郎訳、ダヴィッド社、1955年。〔叢書名著の復興2〕ぺりかん社、1966年。新泉社、1974・1983年)があり、イギリス時代から晩年までを描くものとして『ふだん着のアーサー・ケストラー』(ジョージ・ミケシュ著・小野寺健 訳、晶文社(晶文社セレクション)、1986年)がある。また、雑誌の特集では『現代思想 特集=ケストラー 現代科学への挑発 vol.11-6』(青土社、1983年6月)がある。

「1993年 『ケストラー自伝 目に見えぬ文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アーサー・ケストラーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フランツ・カフカ
ヘミングウェイ
フランツ・カフカ
ウラジーミル ナ...
ミシェル・フーコ...
ドストエフスキー
ジェイムズ・ジョ...
ドストエフスキー
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×