定本 育児の百科 上 5カ月まで (岩波文庫 青 N 111-1)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003811115

作品紹介・あらすじ

育児という未知の体験で日々不安に直面した数多くの人々が本書によって導かれ、勇気づけられた。子供の生命力そのものへの信頼を説く本書は、最晩年まで社会的活動を続けた著者の仕事の集大成であり、平易な言葉で書かれた思想の書である。

感想・レビュー・書評

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  • 1967年初版。母の愛読書だったらしく(子どもの発達には幅や個性があることが念頭に書かれているので、読むと肩の力が抜けるとのこと)、読んでみた。が、いきなり今の時代に読んだらショッキングな出だし。

    「結婚したら母親になるべきだ。仕事への責任や経済的な理由で母親になることをのばしているにしても、30歳までに子どもができるようにしたほうがいい。」

    医学的にある程度真だとしても、それができない状況にあったとして、自分を責める必要はないよ、と私は現代を生きる読者の女性と肩を組みたい。「社会に出て活躍せよ、子どもも産んでね、ただし自己責任で」、という現代社会が女性に背負わせている重い十字架のもとで、全てを期待通りにこなせる女性の方が少数派なのではないか(例えば、若くして子供を産み、かつ職場においても女性管理職として働くなど)。

    今、東京の都心においては、一般的に言われる「35歳以上が高齢出産」ではなく、「40歳以上でやっと高齢出産扱い」という感覚になりつつあるらしい。

    本書は、書いてある情報が現在の医学的な見解と照らして古い部分もあること、逆に歴史的資料として面白いこと(昔の育児はこうやっていたんだ…という発見がある)から、もはや古典だと思って読むべき本かも。

  • ◯NHKのニュースサイトで特集を組まれていたこともあり、興味本位で読んでみると、タイトルとは裏腹にとてもエモーショナル。
    ◯とりわけ、母親を励ます記述には思わずグッとくるものがある。
    ◯読んでいるうちに自分が子育てを体験しているようにも感じられる。こんな時、自分が知らなかったらオロオロするだろうな、と感じるが、すぐに心配には及ばないと励ましてくれる。
    ◯要所に父親に関する留意も記載されているが、この刊でいえば、子どもが生まれて母と帰ってくる、その最初の項目として父の心構えが書かれているところは、現代でも通じる普遍性がある。
    ◯間違いなく名著であり、思想書。

  • 50年前の本だから、考え方が古い箇所も多かったが参考になった部分もあった。

    この本では基本的に子育てについて神経質にならないことを推奨している。例えば、生まれてすぐの3時間毎の授乳はそこまで厳格になる必要はない。赤ちゃんがお腹が空いて泣いていたら3時間経ってなくても授乳していいし、逆によく眠っていたら3時間経ったからと言って無理に起こして授乳する必要はない。

    でも、初乳は頑張って飲ませるべきと指摘している。また、母の仕事復帰などの事情があるにしても、少なくても産後3か月は母乳育児を推奨している。

    赤ちゃんのは脚はガニ股が自然。無理に真っ直ぐにしようとしたり固定したりすると股関節脱臼になる。

    また排便も赤ちゃんの個性が出る。今まで毎日排便していた赤ちゃんが、2-3日に一度になっても慌てる必要はない。それよりも赤ちゃんの泣き方や機嫌の良し悪しを注意深く観察すること。
    いつもと違う泣き方、異常に機嫌が悪いと判断した時は病院に連れて行くこと。
    逆に機嫌が良いなら少しばかり下痢をしたり湿疹が出たり、咳が出るからといってすぐに病院に連れて行く必要はない。毎月のように病院に行っていたら待合室で本当の病気をもらってしまう。

    昨今の栄養指導は栄養不足よりも栄養過剰の方が多いから要注意。特に粉ミルクをあげている時、缶に書いてある量は多すぎるから、赤ちゃんが足りなそうにしていても、缶に書いてある以下で抑えないといけない。

    腸重積という腸がねじれる病気に0歳児はなることがある。これは早期発見が何より大切。治療が遅れれば死に繋がる。赤ちゃんが突然異常に泣き出し、お腹を痛がったら腸重積を疑うこと。熱もないし、嘔吐もないから判断が難しい病気である。小児科医でも見落とすことがしばしある。

    0歳児は、月齢毎に詳しく気をつけるべき病気や事故のことが書かれている。
    50年以上も前に書かれた本だけあって、今のライフスタイルとかなりずれている箇所も多かった。団地住まい前提など。
    逆に現代にも通じる箇所も多かったため、50年前と今の育児を比べて考えることができた。
    また、この本を読んで、今の安全で安定した育児は、これまでの赤ちゃんの病気や事故など、たくさんの悲劇をもとに改善され、成り立っているのだなと改めて感じた。
    まだまだ手探り状態である部分も多い、子供のことについては、今後時代が進めばまた変わる部分も出てくるのだろうと思う。

  • 月齢ごとに読み進めていくと、安心感があります。
    古い内容もあるかもしれないけど、私はとても信頼できる内容に感じました。中・下も子供の成長と合わせて読むつもりです。

  • 古すぎてあまり参考にならない。

  • とても良書だと思いました。少し古い部分もあるけれど、母親に寄り添う語り口でとにかくおおらか。「赤ちゃんの個性」と言う考え方に助けられました。
    月齢毎の赤ちゃんの様子、発達、困りごとがまとめてあり、困ったときに辞典、参考書のような感覚で使っていました。
    「赤ちゃんをそだてているので、便をそだてているのではないことを忘れてはならない。」など、吹き出してしまうようなところも。
    著者によれば該当する月齢のことさえ覚えていればよいとのことで、もっと内容に触れて感想を書こうと思っていたのですが大半を忘れてしまいました笑

  • 妊娠~生後5ヶ月までやるべきことと心構えについて。
    雑誌に載っていることは、すべてこちらに書かれているそうです。
    もうすぐ我が子と出会えるまで、あと2ヶ月のところで読めたのは非常によかった。まさか60年前に上梓されたとは思えないクオリティ。

    気になったところを妻と共有していると、「そうだよ!今さら知ったの」とすでに知っていた。妻には脱帽です。

  • 辞書みたいな感じ。全部読む必要はなく気になるところ、現在の子供の時期にあわせて読めばそれなりに情報を得られる。ちょっと古くさいところがあるけど、少しの変化に不安になる親としては読めば安心できることが沢山。子育てするなら読んで損はないと思う。

  • 仕事で育児にも携わる友達から勧められた本。良書。産まれてから、生後1-2ヶ月、完母の場合、混合の場合、湿疹について、授乳についてなど、かなーり細くケースにわけてまとめられている。リアルタイムで読んでいて非常に参考になる一冊。初産必須の本かと。

  • きっとすごく良書なんだろうが、あまりお世話になることなく、読む暇もなくあっという間に月齢が過ぎ。

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著者プロフィール

著者 松田道雄(まつだみちお) 1961年生まれ、生まれも育ちも今も山形県山形市 
中学教師(社会科)、着想家、社会教育家、ポリネーター(ワークショップほか企画作りの相談請負人)
1993年「壁画—ニット」プロジェクトで、ロレックス国際賞受賞 
●著書 『駄菓子屋楽校』(新評論、2002)
『だがしや楽校のススメ』(共著、創童舎 2003年8月発売)              『だがしや楽校を開こう』(仮)(共著、新評論)
 ※「だがしや楽校」は全国に広がりつつある
ラヂオ社会教育講座「天分楽校」 VigoFM78.8MHzHP:http://www.vigofm.co.jp/

「2003年 『天分カフェ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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