- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004305651
感想・レビュー・書評
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この本が書かれたのは1998年と、少々時代的に古いため、現在の屠場の実態とは若干離れているようです。ただ、この本が描きたかったのは屠場の有り様というよりも、屠場を取り巻く様々な差別・偏見についてなのではないかと思われ、その点については当時も現在も特に変わりがないように思います。
4か所の屠場を取り上げ、それぞれの屠場の成り立ちとそこで働く人々との座談会がまとめられており、屠場作業員の生の声を聞く(読む)事ができて、とても興味深かいものがありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20170206読了。横浜食肉市場の前を通ることが多く、中がどうなっているか気になって購入。本が書かれた1998年から今は違っているのか。労組の看板は今も道路に面して設置されているが
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いま現在ってどうなってんねやろなー
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芝浦屠場が東京都に対し雇用要求、ただ働きの廃止を求めた流れが詳しく乗っています。現場の方の言葉が対談形式で書かれているのでその場の声が聴ける感じがしていい。
当時業者はやはりそれぞれ別々に活動していて、労働条件改善など言ってもどうしてもうまく響かない。とりあえずお金が出ればそれでよしとして集まらなくなってしまう。そこを改善するためにも親方衆に「ただ働きさせられている」ということを認識させ合意を得、また部落解放同盟と絡めることで、雇用関係という法律関係のなかった東京都に直接雇用させる、という方法をとった、というのが、したたかだなあと思いました。「職場の主人公は労働者だ」。
他の工場と違って、屠場は生き物を相手にしており、いくら機械が導入されようと結局職人の技術が大変にものを言うところだ。だから、仲間の意識が強いし、自分がいかに上手くというよりは、次の工程の人がいかに楽になるように、というのをみな考えるという。それで上達していくのだからすごい。職場の鏡のような精神が素晴らしく根付いている。
見学に来ただけで、また働いても一日持たず辞めていく人もいる中でも、ちゃんと逃げずに踏みとどまって技術を高め働いている人々の勤労精神は、他の職種と比較にならないくらい高いんだと感じた。
読めば読むほど「屠場」という本来の意味を大きくそれ残虐な意味合いが付随してしまっている言葉が似合わないように思えてくる。食肉処理場の方がしっくりくる、温かく勤勉な職人の働いている、そんな職場のように思いました。 -
「牛を屠る」を読んで屠場についてもっと知りたいと思い選んだ本
屠場の労働者たちは技術者として誇りを持って仕事をしている
皆が技術を磨く環境は自然と師弟関係に似た上下が出来上がり、
共に働く仲間のためを考えた作業をし、
そういうことが人間関係の良さにつながるようだ
偏見が多く、キツイ仕事にもかかわらず
そこで働く人たちの姿が生き生きとして見えるのは
やはり屠場での仕事に誇りを持ち
頑張ればスキルが上がっていくというやりがいがあるからだろう
この本を読んだらなんだか包丁を研ぎたくなった(笑) -
馴染みの薄い「屠場」という現場について、書かれた新書である。日本における屠畜の歴史、働いている方への差別(部落差別)、屠場の成り立ち、働いている方の声、おかれた時代など、こういう世界もあるのだ、あったんだという点ではおもしろい本であった。
ただ、働いている方が差別や明らかに不公平な体制を改善していくための労働組合関連の記述、各地の屠場の盛衰についてはあまり興味はなかった。
世界屠畜紀行に引用された部分があったはず。娯楽的には世界屠畜紀行、勉強にはこちらがお勧め -
10-038
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焼肉は好き、でも肉を解体する職業なんて…と思われる。
どうしてそのような思いを払拭できないのだろうか。 -
分類=食。98年6月。