- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004307945
感想・レビュー・書評
-
日本の刑務所ってどんなの?ということを知るときにはとてもいい本だと思います。
なぜか著者のサイン入り(爆)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほとんどの人が、ドラマや小説の中くらいでしか知ることができない刑務所の中。筆者は関係者への丹念な取材から日本の刑務所内の実態を調査し、「囚人とは言え」その人権が蹂躙されていたり、不可解な規律があるなどを糾弾している。
2002年に書かれた本だが、本書で書かれていることが実態なら「これは戦前戦後頃の話なのか」と驚くことが多かった。入浴の手順が細かく決められている、その入浴も毎日ではない、労務中に汗を拭ってはいけない、よそ見(チラッと横を見る程度)もダメでいずれも懲罰の対象になる、などなど。冷暖房がほぼ設置されていないというのも驚きだ。
筆者も「罪を犯した者への懲罰」ということ自体を批判しているのではないことは繰り返し延べている。しかし刑務所の本来の目的である矯正、社会復帰を目指すという理念からは程遠い閉鎖的で人権を無視した実態を批判している。筆者か死刑廃止論者であることも大きな要素に思えた。
本書を読んでいて、ふと「ブラック校則」を思い起こした。かつて程ではなくても、日本の学校の校則は刑務所のような「人権と価値観を無視した」ことがまかり通っている実態が今もあるということを。目的と手段を履き違えた管理者がまだまだ大勢存在しているのでは、と。 -
吉村さんの「仮釈放」が更に生々しく感じられた。
-
筆者の見解についていろいろ意見があるようですが、それを考慮しても読む価値はあった。もちろん、この一冊の情報で全てを判断するのは危険ですが。
-
徹底的に国際水準を満たしているか否かという研究者視点で書かれた一冊。行刑側の主張はほぼ公文書のみ。弁護士は意外と刑務所のことを知らないので勉強になる。こういうのは地味だが意味のある研究だと思う。勿論色んな反論は予想されるけれども,筆者の言うように批判のための批判ではないように思う。
-
漠然としか知らない、というか公に知ることがない刑務所内生活の諸々。食事、入浴、出役、外部との交信、不服申立制度等。それぞれ形式にしかすぎず、人権もくそもない。特に懲罰に関しては濫用されているとしか言いようがない。大学の講義で「カンカン踊り」という身体検査について触れたので一読。読み進めるうち、こんな酷い監獄にもかかわらず在監者で累犯が多いのは何故かと思うが、出所後の待遇の問題なのでそれについても知りたい。著書には刑務所のとりわけ酷い現状をとりあげているのではなく、ごく平均的な内容が書かれているが故に驚くことが多い。