「尊厳死」に尊厳はあるか: ある呼吸器外し事件から (岩波新書 新赤版 1092)
- 岩波書店 (2007年9月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004310921
作品紹介・あらすじ
二〇〇六年三月、富山県の射水市民病院で入院中の末期患者七人の人工呼吸器が取り外され、死亡していたことが明らかになった。実際にはいかなる事態が起きたのか?その後つづいた「尊厳死法制化」をめぐる政府・医療界・メディア等の動きも踏まえ、今、日本の終末期医療に真に求められていることは何かを渾身で問いかける。
感想・レビュー・書評
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「尊厳死」の定義が実にあいまいで、医師や関係者の思惑により恣意的に利用されかねない危うさをはらんだものであることがわかる。
呼吸器外し事件を起こした医師に対する厳正な対処により、世の中から非難を受け続けた病院院長の「あの問題では、この世の中のどこにも、生きている人の側には、誰も困る人はいない。誰も損しない。」という言葉が強く印象に残った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
尊厳とはなにか
死していく人に尊厳はあるのか
病気になった時点で個々の人生の尊厳が奪われていく
どうすれば尊厳が守れるのか、病気になって意思表示ができず、家族が治療方針を決めるのはどうか
死について家族で話すこともないまま病気になる人もいる
大事な家族です、そうなる前にコミュニケーションを、大事な家族の思いに応えられるように -
射水市事件の医師への批判が主。尊厳死が論じられていない。
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考えさせられる
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2006年射水市民病院で起きた人工呼吸器の取り外し事件を主軸に、真の尊厳死とはどういうものなのかを筆者が語った一冊。
個人的には、筆者の感情や主観がありありと文章に現れるノンフィクションは好きじゃないです。 -
富山県射水市立病院で医師により人工呼吸器取り外し事件があったことを覚えてらっしゃいますか。
この事件は、2006年3月25日に報道されました。
報道された事件と異なる事実を書いた本です。
著者の中島女史は、感情的にならずに最後まで冷静に配慮を重ねながら(外科部長に対してまで)取材して得られた事実を記載しています。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11939246013.html -
2014年4月16日読了。
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今回この本を登録するにあたっての検索で、「尊厳死」に関わる書籍がたくさんあることに気付き、改めて現代社会の課題としての大きさを感じた。
富山の事件・事例からの考察であるが、善悪の判断を下すには余りにも難しく、しかし、それは誰もが避けて通れない「死」の問題でもある。
死を選択できる時代であればこそ、個人が自身の生き方・死に方への考察を深めて、ぶれない選択をしておかなければいけないのかもしれないと思った。 -
尊厳死の在り方について真正面から向き合った1冊。
初版発行が2007年。6年断った現在、現状はどのように変化しているのだろう。 -
相変わらず緻密なインタビュー。