思い出袋 (岩波新書) (岩波新書 新赤版 1234)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004312345

感想・レビュー・書評

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  • ずっと目に含んで味わっていたい文章。

  • 知性ってこういうことなんだろうな。

  • 朝日新聞 折々のことば 2010 /2020.12.7

  • 妻の書棚にあったものを借りて読む。
    味わい深いエッセイ集であるが、プラグマティズムについての言及があり、興味を持つ。
    今度、しっかりと勉強してみようと思う。

  • 重いキーノートをバックに美しく複雑な音楽を聴いたような読後感。凄まじい知性と感受性。受けとる側(私)が未熟なため受け止めきれていない感があるが。

  • 思索

  • 80歳を超えた思想家が、自らの人生を振り返るエッセイといっていいのだろうか。雑誌の短い連載をまとめたものということもあってか、少し断片的な感じがあり、同じ話が何度か出てくるものだから、思想家の人生を問わず語りに聞かされているような、恍惚の人、夢うつつな感覚もなくはない。それでもしっかりと芯を感じさせるのは、やはり著者の生きざまゆえだと思う。

  •  内田樹氏のブログで「大学生が読んでおくといい本」として紹介されていたもの。

     1922年生まれでハーバード大学に行った著者は、第二次大戦中に交換船で帰国したという。そんな世代の思想家が80歳を越えて人生を振り返るエッセイ集。年寄りの思い出話のように同じ話が何回も出てくるが、雑誌に連載されたものだからだろう。

     古典的な本かと思ったら2010年3月初版なので意外に新しい。そして中身も割と軽く読めるが、浅いわけではない。あっさりした語り口なのでつい読み流してしまうが、よく考えるとかなり深いことが書いてあった気がする。

  • 一月一話で連載されたエッセイ
    テーマごとにまとめられているが、重複した内容もあり
    何か新しい議論をするとか、そういったものではない。

    鶴見俊輔がどういった人だったかは知らないが
    電車の中で毎日数話ずつ読んでいく

    読みやすい
    単純に読み流す話もあれば興味深いエピソードもある
    偉大な先人が、老年になってまとめた、この著書は
    どこか人を勇気づけさせる何かが存在する気がする

    ●気になったメモ
    ・ジョン万次郎のエピソード
     彼を救った船長は有色人種を受け入れる教会を探して
     移籍までした。万次郎は彼に「尊敬する友」と呼んだ
     ひざまずき感謝するのでは彼の心にそぐわない
    ・大臣、国会議員は今年、来年しかみない
     歴史的観点でみることができない痛烈な批判
    ・イランで人質となった日本人
     日本では反日分子扱い、自己責任で追い落とす
     アメリカでは「社会を前に押し出す」と評価
     この違いは何か。
    ・ある中国人が親から伝えられた日本人観
     心をうちあけてはならない。個人として良い人でも
     国家方針が変わればがらりと変わる
     ※日中戦争時代の話
     ※この本では書かれてないが鶴見俊輔の父親は
      家では日本は戦争の敗北を示唆しつつも
      仕事では戦争支援(国会議員だった)
      日本人というものが何か、と考えさせる
      鶴見俊輔は「一番病が日本をダメにする」と
      語った
    ・消滅にむかう老人
     昨日までできたことができなくなる
     もうろくの中心に、「ある」という感覚
     亡くなった人と生きている人の境界があいまい
     (そういえばマイルスディビス自伝でも、マイルスは
      似たことを発言していた)
    ・言葉
     死刑宣告された韓国の詩人への署名活動
     それを届けに行った時に、詩人から受けた言葉
     “Your Movement cannot help me.
    But I will add my name to it
    to help your movement.”
     単純に「ありがとう」ではなく、自分の主張を込め、
     かつシンプルな言葉で伝えることが自分にできるか
     鶴見俊輔は自分に問いかける
    ・日露戦争での誤ち
     勝ったのではなく負けなかった
     だが日本は「勝った」と考えた
     講和条約を結んだことへ反発での焼き討ち
     だが続ければ日本は負けていたのではないか
     この戦争を評価して大正、昭和が生まれていく
     
    ・耳順
     言葉の意味に自身が持てなかったが
     人の発言から自分に適切な意味の可能性を引き出す、
     と解釈している
     相手の言葉を聞かず、相手を否定、たたきのめす
     それは欧米から日本へ伝わった習慣
     ゆとりを持つべきではないか
    ・文学
     戦争中に看護師らが演じたプッチーニの演劇
     原作への忠実度はわからない
     だが、文学は欠片として人間の歴史の中を伝わる
    ・横浜事件
     2008年最高裁は事件を事実無根と認めることを拒否
     この罪は戦後日本の特色
    ・人の強さ
     空襲後。焼け出されて無一物になったことを
     ものともしない明るい声。
    ・黒人
     南北戦争後に選挙権は与えられたが行使権はなかった
     選挙に行こうとすると、KKKによる首吊りリンチ
     鶴見俊輔の知人も車を爆撃された(1970年のこと)

     

  • 他の方がおっしゃるように、繰り返し語られるエピソードがある。それだけ脳に刻み付けられてしまっているのだろう。

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著者プロフィール

922−2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

「2022年 『期待と回想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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