- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315179
作品紹介・あらすじ
国民の税金を食い荒らし、富を奪い取る者は誰だ。政治と経済に隠然たる力を及ぼし、法を逆手にとりながら、文明の対価であるべき税を掠めてゆく。揺らぐ財政の屋台骨。国を存立の危機に追い込む悪行を見過ごしてよいのか。その不正と複雑なからくりを解明し、日本の暗部に切り込む。好評『タックス・ヘイブン』の続編。
感想・レビュー・書評
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覚えたての単語を使いたがる人のように「マクロ経済スライド」を連発する安倍首相。「公的年金の信頼性はより強固に」の裏付けとして「マクロ経済スライド」を連発している首相は本当に頭が悪いのか、国民のことを足し算引き算もできない愚民だと思っているのか。
「いざとなったら無い袖は振らないから皆さん安心して」って全力で答弁されてもね。実際に安倍政権で年金支給額は6%減らされてますし。
運用益が出ているのは確かにエライ!わけわからん民間企業に税金突っ込んでトばれた隣の農水省に比べたら。けどね、日銀とGPIFで買い支えている株(GPIFは積立金の25%程度を日本株式で運用)で含み益が出てるつったってあなた、年金支給するためにポジション解消したらその先はどうなるの?取ってるポジションが大き過ぎて抜き差しならんようになってますやん。しかも足りない分をさらに投資しろってそこまで一連托生できないです。分散は資産運用の基本です。さぁ皆さん、タンス預金しましょう!
・・・私自身も勘違いしていたところがあるので、ここで日本の公的年金の全体像をおさらいしましょう。
①日本の公的年金制度は「割賦方式」を基本としています。保険方式ではありません。つまり、「みんなから集めたものを必要な人に給付」するものであって、そもそも自分が払った分が将来返ってくるという性格のものではありません。本当はそうあるべきなんですけど。
②積立金として運用しているのは151 兆円(2018 年 12 月末時点)ですが、公的年金(厚生年金と国民年金)の年間の歳出額は平成28年で約50兆円、平成29年で約50.6兆円。つまり、3年分のプールしかないのです。
③自主運用に切り替えて、年金増やしたぞ!って威張ってるのは平成13年から年平均3.21%、累計で74.4兆円なんですけど、それでも2年分に満たないんです。18年間頑張って1.5年分儲けました、と。この低金利の時代に3%越えは優秀ですけど、日本国家としてのポートフォリオの偏りはかなり問題です。
④ここで①に戻るのですが、年金は割賦方式であって、言葉は悪いですけど自転車操業です。単年だと平成28年の歳入-歳出の収支はプラス3.5兆円、平成29年の収支はプラス1.6兆円と減ってきています。この2年間の歳入の減少が約1兆円で、これはトレンドとして強くなるだろうと。次の収支報告で単年マイナスが出るかもしれない。だからこのタイミングでチラッと白状したのかもしれません。
評論家でも高橋洋一なんかは「年金問題無し!」論を繰り広げてますが、支給額下げて、支給開始年齢も上げたくてたまらない様子を見てて、大船に乗った気持ちにはなれないのですが、僕が言いたいのは「俺らかてアホちゃうんやからちゃんと説明せぇや」という事です。
<以下引用>
社会保障制度全体を見た場合の資金不足の実数には、1,500兆円という推計もある。ただしこの数字は制度全体を積み立て方式で貫徹した場合の計算結果であって過大推計である。したがって、かなり割り引いて考える必要があるが、公表されている1,010兆円の政府長期債務残高とは別に膨大な簿外債務が厳然と存在しており、さらに増え続けているのは事実である。日本の社会保障制度は、じつはすでに破綻しているのである。
ところが、厚労省の官僚は頑としてこれを認めようとしない。もし認めれば、「年金100年安心」や「財政再計算で健全性が証明された」といった、社会保険制度に関して言ってきたこれまでの嘘がすべて露見してしまうからである。「大丈夫です、ご安心ください」と言いながら、その言葉を誰より信じていないのは厚生官僚自身である。(p39)
説明しよう。まず、年金保険料が予定どおりに入ってこないことから、国民年金が破綻していることが明らかになった。この破綻状態を救済しなければ社会保障制度全体が崩壊してしまう。だからといって、税金だけで救済するには状態が悪すぎた。そこで、まったく別の制度として立てられていた厚生年金と共済年金に目を付けて、この二つから資金を引きはがしてきて国民年金に投入することにしたのである。(p42)
『タックス・イーター 消えていく税金』志賀 櫻 著(岩波新書)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
税金、いっぱい取られてるよね。買い物をすればもれなく消費税を
取られるしさ、お酒には酒税、煙草にはたばこ税、温泉を利用すれば
入湯料、ホテルに宿泊すればサービス税。その他諸々。
納税は国民の義務だけれど、その使い方についてはまったくと言って
いいほど知らされない。政治家やエライお役人様が、まるで自分の財布
のごとく、湯水のように税金を無駄遣いしている。
時折、会計検査院の調査でとんでもない無駄遣いが判明して報道される
ことがある。その無駄遣い、誰が返してくれるのかと言えば誰も返済して
くれない。
そうして国は言うんだよね。「財源がないから増税します」って。
消費増税とセットのはずだった議員定数の削減の話はどこへ行って
しまったんでしょうね。増税だけして議員定数の削減には今のところ
知らんぷりのようだけれど。
さて、本書。元財務官僚の著者が昭和からの税金の歴史を解説しな
がら、私たちが払った税金が食い物にされているかを暴露している。
分かってはいたけどね。不必要な箱物ばっかり作ったり、族議員が
予算の分捕り合戦をしていたりはさ。
結局さ、どんなに消費税率を上げようと、分捕れるところから分捕ろうと
新しい税金を考え出しても日本が抱えている負債ってのは減らないの
ではないかね。
納税の義務に対し社会保障を受ける権利があると思うんだけど、この
権利は近い将来、消滅するんじゃないのか。
だって年金受給年齢は段階的に引き上げられ、受給金額は実質
引き下げが続いている。まして超少子高齢化なんだよね。お先、
真っ暗か、日本。
外遊先で大盤振る舞いしている安倍晋三だけれど、他国にお金を
ばら撒いている場合じゃないぞ~。
あ…そうか。社会保障が破たんしているから「一億総活躍社会」
とかで「一生働けっ!」ってことなのね。
悠々自適な老後は幻か。 -
p169-170にある次の記述はゾッとする.
「社会保障全体の支出ベースの規模は100兆円を超えていて、一般会計社会保障関係費30兆円の支出は、じつはそのごく一部に過ぎない.厚生労働省は、社会保障関係費の一般会計ベースの30兆円が今後1兆円ずつ増えていくというが、一般会計には計上されない100兆円を優に超える社会保障の支出までカウントすれば毎年3~4兆円ずつ増えていく.」
多国籍料理の租税回避の実態はどうしようもない段階にあり、全世界で取り組む問題だろう.読後感はとても暗い感じだ. -
巷間よく言われてきた話題だと思うけど,ここまでひどいとは。「給与生活者ば馬鹿をみる」。やはり官僚組織にメスを入れていくしかないのかな。いまの政治家にあまり期待はできないけど。原発等に関する各政策への無駄な投資についても実態を暴き出してほしかった。「もんじゅ」をやめるだけで,どれくらいの金額が福祉や教育にまわせるかと考える。
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著者の前著タックスヘイブンがおもしろかった人向けの本。
税金の無駄遣いと言われることがあるが、納税者の側も税に無知で気前よく払いすぎている面は否めないなと思った。 -
タックスヘイブンの闇を読む前にこれを読むと、スキームがわかると思う。
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【由来】
・図書館の新書アラート
【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・ニーモシネ
・メッセージとしては銀英伝的。つまり、きちんと自分の税金の使われ方をウォッチしなさいということ。そこに無関心なのは怠惰であって、タックス・イーター達に貪り食われても仕方がない、とまでは言わないにしても、その助長に歯止めをかけることはできない。
【目次】 -
結構難しい
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趣向が違うのでしょうがないと思うけど、タックスヘイブンみたいな面白さはなかったな