復興〈災害〉――阪神・淡路大震災と東日本大震災 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004315186

作品紹介・あらすじ

災害復興においては、その長い過程で新たな問題が生じ、被災者を悩ます。そして、災害常襲国である日本の備えはまだまだ貧弱だ。阪神・淡路大震災から二〇年。その痛恨の教訓は生かされず、今また「復興」の名のもとにもたらされる災害が東北を覆っている。次の復興災害をどう防ぐのか、多くの災害現場を見てきた著者が提言。

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の意見が現実に沿っておらず、理想論を語りすぎている。
    震災で仕事や家族を失い貧困に落とされたりアルコール依存に陥る事例というのは確かにあるだろう。しかし震災から何年も経った後にそれらも全て被災者として十分支援すべきだと強く主張するが、震災でなくても不況や事故など本人に非が無いのに同様に貧困や精神的な障害に至る事例などはたくさんある。それらに対して被災者だけをことさら優遇とも言える支援するのはなぜなのか。他の貧困者や精神障害と同様に社会のセフティーネットの枠で支援していくのが筋ではないのか。被災者だけを人生の最期まで手厚く支援していくというのは、それこそ筆者の言う財政の使いみちとしていがなものなのか。
    結局、筆者が住宅分野の学者であって、被災者への手厚い住宅政策をと言っているのは自分の分野への利益になるからでしかない。本人は善意のつもりかもしれないが、行政は全ての国民住民を見て全体の支援をしていかなければいけない。そういうバランス感に欠けた復興論なので、次の震災対策にはあまり参考にはならない。
    ただ、神戸での大規模な再開発については本当に無駄でひどいものであったと思う。二度とこうした焼け太りはやってはいけない。

  • 2014年の著書。
    ちょうどこの本が対象としているあたりの時期まで大学院にいて、被災者生活再建の研究に触れる機会があったので、「復習」の意味合いを持って読んだ(自分の感覚が錆び付いていて、だいぶ時間がかかった)。
    本書の問題意識を出発点として、東日本大震災後の防災や生活再建を射程に入れた社会学的研究は多数出ており、手元にも何冊かあるので、次はその辺から多少読み慣れた分野の論文を拾い読みする方向に広げたい。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17502514

  • 阪神淡路大震災の教訓は活かされず、今また「復興」という名の災害が東北を覆っている今日において、日本のあるべき災害復興の形を提示した一冊。

  • 東日本大震災
    災害

  • 【配架場所】 図・3F文庫新書(岩波新書 新赤版 1518) 
    【請求記号】 080||IS||NR-1518

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/168367

  • 災害情報伝達を業務とする我々は、発災時のみならずそのあと3日が生存に重要、と言い続けているのだけど、さらにその先にあるハコモノ行政と商業地・住居の整理の問題について経験則をまとめた新書。あんまり答えめいたものはないのだけど、文句ばかり言っても始まらないので、平常時からコミュニティを強固にしておき、災害時にも繋がれるインフラを安価に維持しておくということなのではないかと個人的には帰結している。

  • 【つぶやきブックレビュー】鎮魂の日。あの日から22年。

  • 阪神淡路の復興の在り方の確認から始める本書には非常に好感が持てるし、
    必要なステップだと思われる。

    復興災害は主に、住まいとコミュニティにかかわる。
    そもそもが住まいを変えるということは
    それ自体が労力のかかることであって、
    それを減らすようにすることは社会的なコストの削減に資する。

    東日本大震災はさらに広大な土地かつ、別の要因も抱えている。
    そういった中ではさらに柔軟に対応していくことが必要だろう。
    上から下まで多くの日本人が驚き、恐れた災害である。
    地震だけでも10年で済む話ではないのだ。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2014年度第6回図書館企画展示
    「命 -共に生きる-」
     
    開催期間:2015年3月9日(月) ~2015年4月7日(火)【終了しました】
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

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著者プロフィール

神戸大学大学院工学研究科

「2010年 『地域計画の射程』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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