職業としての官僚 (岩波新書 新赤版 1927)

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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319276

感想・レビュー・書評

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  • 国会公務員の概観、制度と実態、改革により起きた変化を功罪含めて比較的ニュートラルに分析。
    後段は政官の役割、より良い制度への考察をするが一朝一夕でない結論。

  • 読了 20220924

  • 人事院勤務の後、京大公共政策大学院教授に転じた著者が、官僚という職業をめぐる実像、理念とその達成への道筋を示す。人事制度を中心とした官僚の実態の過去と現在の比較、欧米諸国との比較、官僚論の変遷など、バランスよく官僚について考えるための材料を提供している。
    より良い官僚制の実現に向けた具体的示唆として挙げられている、①政官関係・労働市場双方への目配り、②「自分と同じ生身の人間」への視点、③政治丸投げに代わる日常的関与、④限られた資源の直視という4点は、いずれも宜なるかなと感じた。

  • 京大を卒業後、霞ヶ関の裏方・「人事院」に33年間勤め、母校の京大教授に転じた著者による日本の官僚論。「官僚という職業」の紹介ではないので、「官僚がどんな風に仕事しているのか」を経験から教えてくれるような内容では全くありません。官僚の姿を俯瞰的に眺めてあるべき姿を探る学術書的な一冊です。
    近代官僚という仕組みの歴史を主要各国の状況も参考にしつつ、バブル崩壊後の平成30年を通した日本の「公務員改革」の結果などをまとめてくれています。
    新書とは言え決して読みやすいとは言えないので、各章の「小括」と、最後の「結び」だけ読んでも良いかと思う。終盤の官僚を臨床医に喩えた部分などは分かりやすかった。

  • 官僚であった筆者による官僚の現代の歴史(移り変わり)と政策。欧米4国の状況である。
     これから官僚となろうとする大学生には読んでおくといい本かもしれない。教育との関係は未知。
     再度読んでしまった。

  •  内側からの貴重な発言。
     重要なところでウェーバーの引用があるが、結びのところでも、ウェーバーを引用して、官僚制は民主主義にとって不可避の手段であるにもかかわらず、民主主義からは感情的批判を受ける宿命にある、という。
     そこで改革論議になるが、抽象的ではあるが次のように述べる。(220頁)

     改革に先立って官僚のあるべき姿を考える必要があること、官僚の役割規範は、政治や社会の側が果たす役割の明確化と不可分であること、さらに、規範を押し付けるだけではなく、役割の発揮を担保する仕組みの整備が必要であることが述べられている。
     とはいえ、そうした仕組みを機能させるのは、やはり信頼に応える官僚の日々の働きぶりにかかっている。平成期公務員制度改革の決定打となったのは、幹部官僚の不祥事や行政の相次ぐ失敗であったことを忘れてはならない。信頼を失った者は、どんな正論を述べても聴かれない。個人の使命感だのみの制度は脆弱だが、個人の使命感なしにはいかに理想的な制度であれ持続しない。どの職業においても、思いをくじくような理不尽な障壁は付き物であり、それにもかかわらず使命を貫徹しようとする強靭な精神があることがプロか否かの試金石となる。

     国家社会の進歩のための仕事をしているというのが、官僚の矜持。
     国民として厳しい目は必要だろうが、その中で、働く人たちに敬意を持って接していくことも重要であることを思わせる書であった。

  • とてもよかった
    新書大賞にランクインしてほしい

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