人類が生まれるための12の偶然 (岩波ジュニア新書 626)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005006267

作品紹介・あらすじ

ビッグバンから銀河系や地球の誕生、生命の発生、人類の進化と続く一連の過程の中で起きた「偶然」に迫り、宇宙と命の不思議について考える科学読本です。宇宙はどのようにして生まれ、地球はなぜ生命を育むことができたのか。生物とヒトはどんなプロセスを経て進化してきたのか…。宇宙と生命の秘密をわかりやすく解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 現在、自分がここに存在することが、いかにすごい偶然の結晶を知る。全てのことに対して知的好奇心が生まれた。

  • 宇宙の誕生から人類の文明の誕生までが概観できるところがよい。
    その過程の中で、これがなければ人類が生まれてもおらず、文明も誕生していなかったという12個の偶然が紹介されている。
    その偶然とは以下の12個である。
    1. 宇宙を決定する自然定数が生命を生み出すのにぴったりな現在の値になったこと
    2. 太陽が大きすぎなかったこと
    3. 太陽から地球の距離が適切だったこと
    4. 木星、土星という2つの巨大惑星があったこと
    5. 月という衛星が地球のそばを回っていたこと
    6. 地球が適度な大きさであったこと
    7. 二酸化炭素を必要に応じて減らす仕組みがあったこと
    8. 地球に地磁気が存在していたこと
    9. 地球上空にオゾン層が誕生したこと
    10. 地球に豊富な液体の水が存在したこと
    11. 生物の大絶滅が起きたこと
    12. 定住と農業を始める時期に温暖で安定した気候となったこと

    ただ、10年以上前の本なので現在はアップデートされている情報もあるかもしれない。

    考えてみれば、ただの蠢く有機物に過ぎなかった物体が、今では自分たちを取り巻く宇宙のあり方を理解するまでに至ったというのはすごいことだ。そういった少し大局的な視点に立つきっかけを与えてくれる本だと思う。
    人類に地球を守る力などない。地球はそんなものがなくても残るし、先に人類がいなくなる。人類が種として生き延びたいのであれば、地球の資源をうまく使わせてもらいながらあがくしかない。人類はもっと謙虚であるべきだと思う。

    その他メモ
    ・ビッグバン=宇宙の誕生、ではない。宇宙の誕生、インフレーションによる相転移、そしてビッグバンが起きた。ここまで宇宙の誕生から10の33乗分の1秒。(p.4)
    ・「真空のエネルギー」が大部分を占めていたことにより宇宙は膨張できた(p.5)
    ・宇宙の誕生からインフレーションまでの10の44乗分の1秒に何が起こったかは現在の物理学では説明できない(p.7)
    ・宇宙は誕生からごく僅かの間に基本の4つの力(重力、強い相互作用、弱い相互作用、電磁気力)を作り出し、秩序を作り上げた(p.10)
    ・生まれた素粒子は反粒子よりもわずかに多かった。もし同数だったら宇宙は何も存在しない空虚な空間になっていた(p.14)
    ・ダークマターがなければ初期宇宙のガスの偏りが少なく、星ができるまでにもっと時間がかかった(p.19)
    ・炭素の合成は星の誕生による高温状態の発生によって初めて可能になった(p.21)
    ・太陽は次第に膨張し、今から50億年ぐらい経つと太陽の表層が地球の軌道付近に達する(p.31)
    ・プレートやその移動がなければ、大気中の二酸化炭素はこれほど速く減少せず、地表温度はなかなか下がらなかった(p.106)
    ・目の網膜に銀河宇宙線の粒子がぶつかってくるため、宇宙船の船内にいる宇宙飛行士は瞬間的な閃光や光の筋を見ることがある(p.111)
    ・この100年ほどの間に地磁気が5%ほど弱くなっている。あと2000年ほどで地磁気がゼロになるペース(p.114)
    ・原始生命の誕生というイベントは40億年ほど前の一時期だけに起こった(p.143)
    ・エディアカラ生物群:トリプラキディウム、ディッキンソニア、カルニオディスクス、エルニエッタ

  • 物理学はこれっぽっちも分からないけど、宇宙が誕生したこと、生物が生まれたこと、それどころか物質が生まれたこと。それらすべてが、まるで誰かが創り上げたような奇跡によってできたことにとてつもない神秘を感じたし、いまこうして生きていることや、愛しい文鳥と夫といっしょにいられているという数多の偶然に感謝した。
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    ああ、わたしはなんて浅はかなことを今まで考えていたんだろう。「地球に優しい」なんて、おこがましいことこの上なかった。
    地球にとって生物がいることすらどうでもいいし、人類なんていなくてもいいし、今までの歩みを見れば人類の代わりなんていくらでもいたのに…
    わたしたちが考えるのは、「いまの生態系を絶やさない」。これだった。
    意味がわからないくらいの奇跡が重なりまくって生まれたわたしたち人類は、自分たちが生まれたことをもっと大切にしなければいけない。それに、同じ祖先をもつ他の生物も大切にしたいし、強くそうしてほしいと思う。
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    物理学って、いまに感謝できる学問なのかな。カッコイイ
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    自分たちが偉いと思い込んでいる白人は、祖先が黒人だったこと知ってるのかなーと思ったり。

  • 「東京大学宇宙線研究所」のクレジットがあるが間違っている。基本的な事柄の勘違いは見直すことが殆どない。思い込みの恐ろしさが理解できよう。
    https://sessendo.hatenablog.jp/entry/2023/09/23/160027

  • ふむ

  • 宇宙や地球、人類の起源。そんなジャンルに興味がある自分のバイブル的な本。
    タイトル通り人類が生まれるための奇跡的な偶然が難しすぎる表現を用いずに読みやすい形で書かれている。
    ちょっと古い知識のものもあるかもしれないが何度も読んで宇宙観に浸って癒されてます。

  • 読了
    第5章 不思議な液体「水」
    第7章 文明誕生を後押しした気候

  • 更科功の『宇宙からいかにヒトは生まれたか』と並行して読んだ。というのは、更科さんの本は面白いのだが、難しいところもあり、きちんと理解するためにもっとシンプルにまとまっている本で概略を頭に入れてからのほうがよくわかるだろうと思ったからである。どちらも宇宙の誕生から人類が繁栄するまでを解説している。

    初学者には読みやすく、親切で、最初に読むならこれかな、と思う。まず宇宙の誕生のところで「想像するのがとても難しいところですが、それまでは文字通り何もありませんでした。」(P2)って、科学者には書けない文章だと思う。当然だと思っているから。でも素人は「何もない」って、空間もないの?本当に何もないの?って思う。で、この文章を読んで、「想像するのが難しいのは私だけじゃないんだな」とほっとする。(ちなみに更科さんは、私たちが3次元しか想像できないことから説明していて、たいへん面白い。)
    更科さんの本を読んで比較すると、まずかなり大雑把に解説されているな、ということ。これは貶めて言うのではなく、大雑把にまとめるのが難しいことを、よくここまでまとめたな、と感心して言うのである。なぜなら、よくわかっていないと大雑把にまとめることはできないからである。
    ただ、知的好奇心をそそるという点ではやはり更科さんの本に軍配が上がる。
    しかし、著者は専門は経済学なので、監修者がいるとはいえ、参考文献を読み込んでよくここまで書けたなと思う。更科さんは学者であり、自分の専門と重なっているから、詳しいのは当然と言える。ちなみに巻末の参考文献も更科さんの本とかぶっている本が数冊あるのが興味深い。

    細かいことを言えば、更科さんの説と違うところもある。比重も違う。眞さんは「〇〇という説はこうです」「△△という説はこうです」と説明し、「現在は〇〇が有力です」とか「まだわかっていません」という書き方。更科さんはもっと踏み込んで事例を挙げて具体的に紹介し、自説も加えているのが立場の違いを表していて面白い。

    構成もとても親切である。各章の最後にタイトルにある12の偶然のいくつかが、章のトピックをまとめる形で書かれている。

    中高生だけでなく、大人も読んでおくと現代科学の一般常識がわかる。

  • 宇宙誕生から人類の登場まで、分かりやすくまとめられている。「なぜ?」には答えていないが、そもそも答えがないので当たり前。分からないことは分からないと堂々と書いている。
    あとがきには少し説教もあるが、思想や哲学抜きで語られるので胡散臭くない。
    この手の本としては、コンパクトで分かりやすく読みやすく飽きない。

  • 岩波ジュニア新書ですが、結構高度な内容です。人類が生まれるための偶然というのは宇宙の誕生の仕方であったり、太陽の大きさであったり、月の存在や水の存在など、過去に起きた事象をとらえ、その可能性の多さから何かが選ばれたと見るなら 偶然、今があると思えますね。しかし、今ある時点から言えば、それはなるべきしてなったとも言えます。

    しかし、その過去の可能性を学ぶと言う事は本当に驚きの連続で、それがこの本を面白くしています。筆者も言っているように、「地球にやさしく」というのは人類が特別の存在のように思っている証拠かもしれません。地球はそんなに弱い存在でもないですし、地球にとって人類の代わりとなる生命はいくらでもいると言う事です(なんか怖いですね、、人類はおごっているのかもしれない、それを今は地球が優しく見守っていてくれるだけ)。私たちは、自分たちの生態系が維持できるように考えて生きていくのみなんですね。

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著者プロフィール

眞 淳平(しん・じゅんぺい):1962年生まれ。環境・社会問題エディター。慶應義塾大学経済学部卒業。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了(国際政治学修士)。法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経営学修士)。集英社での女性誌などの編集部勤務を経て、独立。環境問題、社会問題、国際関係等が専門。著書に、『地図で読む「国際関係」入門』(ちくまプリマー新書)、『21世紀はどんな世界になるのか-国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する』『人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ-言語・宗教・農耕・お金編』『同Ⅱ-民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編』『人類が生まれるための12の偶然』(ともに岩波ジュニア新書)など多数。

「2024年 『ニッポンの数字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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