メタボラ

著者 :
  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (594ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502797

作品紹介・あらすじ

破壊されつくした僕たちは、"自分殺し"の旅に出る。なぜ"僕"の記憶は失われたのか?世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 桐野夏生さんの作品は 初めて読みましたが 、こんな長い 分厚い本なのに なかなか読むのを止められるぐらい、続けて読んでしまいました 、あまりにも ワガママで いい加減で、どうしようもない人間ですが、その時々が心に響いてくる とっても明るい人間と 、ねぐらな人間の対照的な掛け合いが心に残りました 最後の 顛末も うまく収めてたような気がします。
    この人の違う作品も読んでみたくなりました。

  • 読了。図

    正論は人を傷つける。と言うことがどう言うことかがわかった気がする。正しいことを言っているのに人が遠のいて行く。何故か?
    正義を押し付ける事は他者性を無視する事であり
    他者性を無視すると言う事は、もうそれは暴力である。そして人を傷つけ壊す事にもつながる。

    一見青春ものの様だけど、主人公の記憶が戻ると共にとても重くて暗いテーマなのに気づく。
    沖縄が舞台なのと登場人物達の若さとフワフワした行き当たりばったりな人生観が逆にテンポ良く読めたのが救い。
    出てくる人誰にも共感できないのに怖さがジワジワ来て、ずっと考えてしまう作品。


    アガサ•クリスティーの「春にして君を離れ」の関連本として読む。

  • 私は数年前から、桐野夏生さんが好きなんです。最も好きな作家です。
    それでも、時々桐野さんの創造力についていけず、気持ち悪くなって、しばらく桐野作品から離れていました。

    最近通い始めたブックカフェに「メタボラ」があったので、久しぶりに桐野作品に手を伸ばしました。すると、そこには私が大好きな桐野ワールドがありました。

    宇野さんが解説というのも、いいですよね。宇野さんが、私が言いたいこと全て言ってくれたから、野暮なことを言うのは止しましょうか。
    眠いし。

    桐野さんは、内面を少しずつえぐるんだよね。
    ギンジのその後が気になって仕方ありません。あと、カナダのさおりも。

  • 破壊されつくした僕たちは「自分殺し」の旅に出る。

    桐野さんらしく、暗くて痛みを感じる作品。
    読んでいて決して気持ち良い作品ではないけれど、
    人間の悪意や嫉妬心を上手に丁寧に書く桐野さんの作品は
    嫌いじゃありません。

  • 超~~~!!!面白かった!!!!
    沖縄のくだりは本当にリアル。
    アキンツの恋心は、わかるな~・・・・
    アキンツは本当沖縄の男~って感じ(笑
    銀次は、なんかうじうじしてて、どうかと思った。
    工場のくだりは、ひどすぎて、リアリティ薄かった。
    ワーキングプアの実態には、ちょっとうそ臭さを感じたけど
    最初から最後まで夢中で読めました。

  • 沖縄の夜。森で出会った男ふたり。一人は職業訓練校からの脱走者、いま一人は自分の事すらわからない、記憶喪失の男。
    足下のおぼつかないままただ生きる。時たま浮上する記憶の暗部と自分の正体に怯えながら。

    沖縄問題、政治、性産業、派遣労働、ワーキングプア、DV、家庭崩壊、ネット自殺、セクシャルマイノリティ、外国人労働者・・・現代日本の暗部とも言える数々の事象が主人公“ギンジ”の記憶とともに浮上しては消えて行く。どろりとした手触りとともに嫌な感触を残して消える、現代の底と絶望を描く桐野夏生らしい作品。

  • 記憶を無くし彷徨っていた時、出会った
    昭光に縋る様に救いを求めてギンジと言う
    名を貰う記憶の無い僕。
    そこからギンジと昭光の暑く果てしない
    二人の物語が始まる。
    何も無いギンジを少し疑いながらも
    宮古の言葉で明るく受け入れるちょっと
    お人好しな昭光。
    過去の自分に怯えながらもギンジと言う名を
    貰った時から新たな自分と昭光と言う
    居場所を見つけた。
    昭光は単純な性格で怠け者だが、沖縄の海
    の様に大らかだ。
    ギンジの闇の様な過去も昭光の光で
    闇も影も明るく照らされていくのだ。
    最後の二人の姿は沖縄の陽光に照らされ
    霞んでいく様である。

  • 暗い男と、明るい男が、それぞれ必死で生きていく話。暗い男は記憶喪失で、どん底の過去がある。

    桐野夏生さんの小説は本当に人間のどうしようもなさを描く、どこまでも克明に描写して、読む手を止まらなくさせる

    明るい方(ジェイク)の性格、好きだったのになー

    追記:読了した後夜中、寝る前に号泣してしまい家族に心配を掛けた
    自分が恵まれていたこと、親から愛されていたこと、道を踏み外さないでこられたことに感謝して、なのか、
    二人に感情移入しすぎて辛くなってしまったのか

  • 主人公が森?山の中を逃げる場面から始まる
    1章のタイトルも「他人の夢の中で」なので、いつ夢から覚めるのかと読み進めましたが、夢ではなく現実たった、、、

    594ページ!分厚い本ながら一気に読んでしまったので面白くはあったと思うのですが、問題ばかりで
    最後もう〜ん、、、好きかと問われれば、好きではないかもしれません(>人<;)

    アキンツの明るさが救いで、宮古の方言も柔らかい感じで良いのですが、意味が???何となく伝わる感じ、タイトルの「メタボラ」の意味も分からずじまいでした

  • p.2008/3/9

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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