メタボラ

著者 :
  • 朝日新聞社
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  • Amazon.co.jp ・本 (594ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022502797

感想・レビュー・書評

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  • 救いがなかった。

  • 内容(「MARC」データベースより)
    なぜ「僕」の記憶は失われたのか? 世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。破壊されつくした僕たちは「自分殺し」の旅に出る。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。

  • 赤ん坊の脳は未発達だから、自己が形成されていく過程は言語化できないが、一度記憶がリセットされた記憶喪失者なら、自己形成の過程は言語化できる。そうした意味で、主人公の〈僕〉が、名前を獲得し、最初の持ち物を手に入れ、自我を獲得し、自己形成していく過程が手に取るようにわかり、大変面白かった。
    桐野氏の圧倒的なリアリズムの文体には感銘を受けた。徹底的に細部にまでわたり、丁寧に日常生活を切り取っていく。その緻密さには滑稽さまでも感じられる。そして、現代の社会問題、父親のドメスティックバイオレンス、母親の育児放棄、ワーキングプア、派遣労働問題、沖縄の基地問題、そして集団自殺問題とモザイク画のように様々な問題を織り交ぜ、物語のうねりは意外な終末へと集約していく。ただ、タイトルの「メタボラ」とはなんなのか?最後までわからなかった。もう一度読み返している。

  • 桐野夏生の小説は、読後感に、どうにもやりきれない苦味というか、悲しい切なさがつきまとうのですが…。

    今回もご多分にもれず、最後はうーん…と考えさせられてしまう苦味が残りました。

    ただ、ストーリーの序章や、半ば、宮古島出身の底抜けに明るい昭光と、壮絶な自分探しをしているギンジとの対比の描写がさすが、というばかりに巧く、どんどんと読み進めてしまいました。

    沖縄、という土地には、ワタシはマスコミやテレビの映像から、ほのかな憧れ(のんびりした土地、長寿の人の多い県、鮮やかな景色、風土)がありましたが、読み終わった後、
    「やはりワタシはここにいたほうがいいのかも」
    と思ってしまいました。
    かといって、沖縄に嫌悪を抱いたのではなく、旅行などでは行きたい気持ちはまだあるのですが、この独特の風土と文化を持つ島に根付く生き方は、理解力も乏しく、軟弱モノのワタシには到底できなさそうです(^_^;)

    リゾートアイランドは、外海から見るから美しいのかもしれません。
    それにつられてふらふらと、ここで住もうかなぁという甘い考えでは無理なのではないかと思いました。

    もちろん、どんな土地でもそこに馴染み、生活をしていくということは、辛いことも伴いますが、生半可な自分探しでその土地に暮らしてみるというのは、その土地に対する冒涜なのかもしれません。

    なんにせよ、ボリュームのある小説で、しかも骨太、描写も巧く舞台設定も細かく調べて描かれていますので、ココロが元気な人ならオススメです(笑)

  • 落ち気味な中、こんな小説読んじゃったもんやから、
    余計に凹んで終わりました。

    もっと明るい小説を読めば良かったぜ。
    最後は大団円、気分爽快!みたいな。

    桐野夏生さん、好きで何冊か読んだんですけど、
    そういうのと真逆にある小説が多いです(笑)

    頭の中が余計ゴチャゴチャになって終わりました。
    うまい小説読んでると、
    その世界での問題も、
    あたかも自分の問題のように抱え込んでしまって困ります。

    困ったちゃん。

  • 読み応えもあるし沖縄の問題や雇用制度にも切り込んでいるし、、悪くはないのだけど、登場人物は昇華されないまま切り捨てられていくし、希望が全くない結末。★2と3で迷いました。

  • 相変わらず人をひきつける文章は素晴らしい。
    ただ、後味は悪いので評価は低いです。
    ラスト以外は興味深い内容だったけど。

  • 沖縄に行くので再読。

    初回に読んだときは気づかなかったけど、意外や意外、まともな(普通な?)台詞も多く・・・。沖縄を書く上では避けられないのか、書くために沖縄にしたのか・・・。
    やっぱりそこは桐野で、答えも救いもないので、これ読んだ後に沖縄の写真(海とか、植物とか)見ると妙にグロく見えます。(私だけ?)

    ただ、登場人物がぶっ飛んでないからちょっと物足りない。

  • いわゆる記憶喪失。
    失う前を知って気分が落ち込んだ…。

  • 読み始めると一気に読める.沖縄の今,若者の今.

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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