愛しの座敷わらし

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022504241

感想・レビュー・書評

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  • 父の転勤により、都会のマンションから田舎の古民家に住むことになった家族。
    それぞれバラバラだった5人の心が、その家に住み着いていたらしい、座敷わらしとの出会いによって一つになる、というお話。

    見た者には幸運が訪れる、家に富をもたらすなど、ほのぼのとしたイメージの座敷わらしだが、物語の中には、悲しい話が織り込まれている。
    でも、そこがこの物語を引き締めている気がした。

  • 築100年はたっている古民家
    その家が建っている村の人たち
    土の香
    すくすく伸びた青い稲の上を渡ってくる風
    外の原っぱで遊ぶ子ども達の声
    座敷わらしの存在が当たり前のように語られる場所
    私たちの中にいる日本人を
    いたく 
    刺激してくれる一冊です

  • 作家荻原 浩氏の懐のふかさを感じさせる作品でした。
    家族愛の描き方も、現代ではこんな風になるのかな?
    この作品は電子書籍koboで読みました。」

  • 古民家に住み着く座敷わらしとの出会いによって、家族の絆が再生していく物語。座敷わらしがいるのか?ではなく、いることを前提にしている。何も知らない文子の肩の上に乗っている座敷わらしを想像すると微笑ましい。誤解から、父と娘の距離が急激に縮まるファミレスのシーンが好き。

  •  なんというファンタジー。
     超常現象というよりは、バカで空回りする人たちが、それでも「家族」を大切にすることにより生まれるファンタジー。すげぇわ。タイトルから予測できなかった。

     ……というか、これ映画の原作だよね? 予告編とちょっと違う気が。映画もチェックしなければ。

  • ベタだが、気持ちよくさらりと読める。読後感も良い。

  • 2011 5/13

  •  「食品会社に勤める父親の転勤で、とある東北地方へ引っ越してきた一家(崩壊ぎみ)が座敷わらしと出会い変わってゆく。」

     この小説、朝日新聞の夕刊に連載されてたんだけど、面白くて面白くて私は生まれて初めて最初から最後まで読みきってしまった。
    毎日夕刊が来るのがこんなに待ち遠しいなんて・・・本当に初めての体験だった。その小説が単行本になったのは知っていたが、二回読んで一回目の感動が薄くなるのではと躊躇していたのだが、それは杞憂。
    二回目は、さらに味わいが深くなって連載されていたとき、ちょっと?と思った箇所も、じっくり読んでみると別の味わいがあったり。。連載中は座敷わらしの挿絵がすごくかわいかったのだが、単行本にはそれがないのが残念だった。でも荻原さんの描写で座敷わらしの愛らしさが自然に目に浮かんで読んでると本当に愛おしくなる。それと、荻原さんは「自分はユーモア小説が得意」と言っているとおり、思わず噴出してしまう場面が山ほどあるのだ。そうかと思ったら、じ~んとして鼻の奥がツ~ンとしたり・・。まさに、笑って泣ける私の大好きな小説の見本。
    読み終えて心が温かくなって人を信じられる気持ちになるすばらしい本だと思う。

  • 父親の転勤で、座敷わらしが居るという家に引っ越してきた一家をめぐる話。

    引っ越し当初、家族の関係はあまりうまくいっておらず、引っ越し先が辺鄙な古民家だったことも手伝い、家族はそれぞれ環境に慣れようとしつつも混乱する。
    そんな中、祖母の澄代は幼いうちに亡くした弟の面影を宿す子どもを見かけるようになり、小学4年生の長男・智也は絣の着物を着た不思議な雰囲気の幼児と知り合う。
    何度か接した経験から、ふたりは「あの子は座敷わらしではないだろうか」と推測するが、他の家族にはしばらく黙っていることにする。
    しかし中学生の娘・梓美はその気配を感じ、一度だけ姿も垣間見る。そしてついに一家の母・史子もその存在に気づくが、引っ越して慣れない環境で自分がおかしくなったのだと考えてしまい・・・?

    というような話。

    引っ越しに不満のある妻、夫を亡くして老人うつ気味な祖母、多感な中学生の娘、ぜんそく持ちだった息子という家族を連れて引っ越した一家の柱・晃一の頼りなさ、楽天家ぶりが呑気すぎて面白い。しかし晃一も事実上の左遷を受けての転勤であり、彼の一家を取り巻く環境はすべて決して幸福とはいえない状況である中、今までの暮らしとはまるで違う環境で、それぞれが少しずつ変化して、幸せになってゆく物語。

    それぞれみんないろんな悩みや不安を抱えて生きていて、苦しいけれど他の家族に頼るような雰囲気がない。特に中学生の娘さんの描写などは途中まですこし辛いけど、そんな家族が少しずつ変わっていく過程が面白い。

    この作品の座敷わらしは神とか妖怪とか形容するにはあまりにも幼く、自我もはっきりしないようで、ちょっと不思議な可愛らしい子どもという感じ。
    座敷わらしのいる家は栄えるというけれど、この一家には間違いなく幸福を運んだと思う。本人?にその自覚がまるでないところがまた可愛らしい。

    しんみり終わるのかと思いきや、思わずにやっとしてしまう、とてもいいオチ。よかったなあという幸せな読後感が残った。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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