- Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022504517
感想・レビュー・書評
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佐野洋子というひとの、骨太でタフな感性は好きだ。
骨太でタフと書くと、何事にも動じない、揺るがない人というイメージを持ちがちだが、
この人は、しっかり揺るぐし、泣きも怒りもする。そして多分深く傷つきも・・・。
だけど、この人の泣き方はめそめそではなく、うぉーんうぉーんだろう。
怒り方もふつふつではなく、ぐらぐらだし、どかーんだろう。
佐野さんの本を読んでいると、そんな気がする。
この人は潔いのだ、そして逃げないのだ。
傷を隠すのではなく、傷を秘めて、二本の足でどっしり立つ。
そんな人間だという気がする。
そして、そこに憧れる。
「天使のとき」は、兄妹の話しなのに、エロくてグロい。
そこに出てくるチチハハへの描写も辛辣だ。
コドモから見た親というのが必ずしも尊敬と信頼の対象でないという
複雑な関係性がきっちりと描かれている。
だけど、コドモは逃げない。佐野洋子も逃げない。
あたたかい愛には包まれてはいないけど、これも家族のお話だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐野さんの他のエッセイを読んでいたので理解はできる。でも、またまた強烈である。
でも、絵に描いたような幸せなファミリーばかりではない。こういう「どーん!」とした本も必要。 -
親から学ぶものは大きい。生を受けた時から死の瞬間まで、自分を形成する概要を受け継ぐ。子供時代は残酷でありえるから、自分の親でさえ、生きているのに死んだことにすることはできうる。僕の一番古い記憶が、曾祖母の死の瞬間なので、死を望んでいたと思われるこの物語は強烈に心に残った。たぶん当分この本を再度読み返すことはないだろう。