ことり

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.76
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本棚登録 : 2084
感想 : 319
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510228

感想・レビュー・書評

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  • とても静かで,ことりが囁くような物語.
    不思議と主人公の心に同調していって,淡々とすぎる日常がとても落ち着く.
    人の社会とすこしズレている,ことりの庭のような世界観に,癒やされる.
    人の社会に触れるときの,歯車のあわなさ,ストレス,悔恨,奇妙さに,独りだと押し潰されそうになるのだろうけど,自分と主人公とお兄さんの独りではないことへの少しの安堵感を感じる.

  • いつもの小川洋子長編小説だ…。
    小鳥のおじさんって発想がもう、なんだ…。
    不思議なおじさんっていう概念がきっと好きなんだろうな、小川先生。

  • ことりを通して1人の男性の生涯の話。しんみりしたい時におすすめ。

  • 人は本能的に誰かを求めてしまう。それが叶わなくても。手に入ると知っているから鳴くんじゃない。鳴かずにはいられないのだ。最初から最後までずっと切ない。なぜ、自分がここで泣いているのかもわからないところで泣いてしまう。素敵なお話だった。好き嫌いは別れそうだけど。小川洋子さんって、初めて読んだかも。好きだな。

  • 2023.02.23.読了

    小川洋子さんの世界!
    読んでいると、周りの空気が変わる。
    静かに、喧騒が消える。
    だけど、読み手の心には小さな引っ掻き傷が残る。
    不思議な感覚。

    お兄さんが亡くなった時、
    弟は今後どうするのかとても心配した。
    司書に会えなくなった時、
    彼の落胆を思った。
    鈴虫の男が公園に来なくなった時も、
    彼の寂しさを感じた。
    幼女が連れ去られた事件の話を聞いた時、
    小鳥の小父さんが疑われる!と嫌悪した。
    幼稚園の鳥小屋の掃除を拒否された時、
    絶望した。
    手を差し伸べてあげたいけど、
    現実に小鳥の小父さんとすれ違ったら、
    私は見ないふりをするのではないか。
    この本の中の人たちと同じような対応をするだろうと
    確信し、途方に暮れる。

    小鳥の小父さんは最後メジロと交流できて、
    しあわせだったと思いたい。
    頭痛を忘れるくらい、メジロに寄り添うことができ
    よかったと。

  • ことり 小川洋子

    小鳥の小父さん、と呼ばれる男の話。
    小鳥と会話できる独自の言葉を話す兄と二人で暮らす小鳥の小父さん。彼に人生は小鳥を通じて出会いと別れを繰り返してきた。
    テンションの高低を0から10で表現できる場合、この本は終始3から7を推移しているように感じられた。そうした平静さ故に物語に寄り添って読み進められたと考える。読み心地がよい

  • 最初から最後まで、ことり。静か過ぎて早く読めなかった。世界観は嫌いじゃない。もう少しテンポがある方が好みだけど。ことりと兄弟の毎日を一緒に生きたような気分になる細かな描写。鳥に興味出てきて画像検索しながら読んだ。

  • 3.75/1887
    内容(「BOOK」データベースより)
    『世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。』

    『ことり』
    著者:小川 洋子
    出版社 ‏: ‎朝日新聞出版
    単行本 ‏: ‎256ページ

  • 日経夕刊の冨永愛による書評に惹かれ図書館にリクエスト。

    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75133590W1A820C2BE0P00

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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