- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022518842
感想・レビュー・書評
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眠り続ける人たち。
ただ座って息をして、食べて、眠る。
途方もない長い時間。
その人生の一端に触れ
心がシンとなるような
なんだか少し羨ましいような。
それと同時に母と娘の濃密な関係に
胸が痛い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出産時に植物状態になった母とその娘の26年を描いた小説。
植物状態という極限状況に置かれた人たちを深掘りすることで、生きることの本質に迫るような作品。いろいろと考えを巡らさせられた。著者は医師資格を持っているとのことで、リアリティがあった。 -
ピアスとマカロンのシーン、母親を必要としている美桜の複雑な心境が表れていて印象的だった。
吉田さんの「遅すぎた」は分かる気がする。昔、実習に行った病棟がそんな風で、現実世界とのあまりのギャップに戻って来れなくなりそうな気がしたのを、思い出した。
最後、あっ君との秘密のエピソードは、ほっこりした -
出産により脳出血を起こし植物状態になった母。
娘の美桜は病室で母乳を飲み
母のひざ枕で眠り成長していく。
小学生になればひとりで病院に通った。
〈病室はわたしの庭〉
母も、あの病室の人たちも
根っこを張って生き、植物のように瑞々しい。
言葉を発することはなくても温かく柔らかい体。
母は美桜の言葉を全部受け止めてくれる。
「生きる」ことがテーマだと思うけれど
難しく考えることなく
美桜から届けられる楽しさだけをつかみ取り読み進めた。
朝比奈秋さんの小説は不思議な魅力に満ちている。
前作の『私の盲端』もそうだが癖になる。 -
読んでる時も読んだ後も時間がゆったりと流れていった感じがした
テレビの音や趣味の曲の音、端末の音を全部消して今この瞬間を感じたときに気づく
あ、腰曲がってたな -
美桜にとってお母さんってなんなんだろう。最初の方は何も知らないが故の美桜のおかああさんへの態度が少し怖いところもあった。後半、美桜が大きくなって行くにつれて色んなことが現実味を帯びてきて、全部変わって行くんだなって思った。
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24年4月24日読了
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自分を産むのと引き換えに植物状態になった母親深雪を持つ美桜、その周りの人達の、深雪を愛する気持ちがどれもヒリヒリと痛くて胸が苦しくなりました。
美桜は、深雪の無と凪を愛していました。母に手を握られて居る間は、人間として生きることの苦しさや複雑さからつかの間解放されたのかもしれません。
でもそれは母親を愛していると同時に、母親を一人の人間であるとは認められないジレンマに満ちた時間だったのではないかと思いました。
母の最期を迎え、生き生きした彼女のエピソードを人々の口から聞いた美桜が、ようやく泣いて笑って母親の生を感じられたことにとても安堵しました。
これから美桜は、正しく母の死を悼み、自分や娘の人生をが明るく実り多いものとなるよう懸命に生きていくことでしょう。
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さらさらどろり
陳腐な言葉になるけど、私たちが生きてる意味ってなんだろう、私たちが普段見下したり馬鹿にしたりして線引きしている人たちと私たちは何が違うんだろうと考えたりした
少女ならではの無垢な心の痛み
意外とさらっと読みやすい文章