軍隊マニュアルで読む日本近現代史 日本人はこうして戦場へ行った (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022620453

作品紹介・あらすじ

出征する兵士を激励する演説、兵士としての心構え、戦場の兵士へ家族が送る手紙の書き方、果ては、戦死した遺族の慰め方まで――。長らく戦争を経験しておらず、明治に入って突然兵士や兵士の家族にならなければならなくなった日本人は、戦争とのつき合い方を「マニュアル」を読んで学んだ。「マニュアル」は当時の書店で普通に売られていたのだ。マニュアルの内容は、日清・日露戦争の勝利、平和な大正時代、そして泥沼の日中戦争・太平洋戦争と時代の変遷と共に変わり、それとともに日本人の戦争観もまた、変化していった。変化を辿っていくと、近代の日本人が「戦争」という巨大な経験にどう立ち向かったのか、その建前と本音が透けて見えるのだ。著者が10年もの時間をかけて集めた「マニュアル」で通史を書いた労作。

感想・レビュー・書評

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  • 明治期以降、兵役に就く兵士に贈る言葉や、衛戍地から故郷へ送る手紙の書き方などについてのマニュアルが多数発刊された。それらを通じ、いかにしてそうした「正解」が日本社会の中で戦争への機運、そして一億玉砕をもやむなしとするような戦時下の空気を醸成していったのか、一方でそうした建前の一方で、人々の本音がどのように変化していったのかを研究する一冊。
    特に興味深かったのが、平和だと言われていた大正デモクラシーの時代にも、後の戦争に繋がる機運が醸成されていたことがマニュアルから伺えることだった。

  • 大戦参加者も、多くが鬼籍に入りインタビューが取りづらくなってきている。
    今後はこの本のように文献中心になってゆくのだろうと思う。
    そろそろ、先の大戦が記憶ではなく歴史になる時期が来ている。

  • 日露戦争勝ったのが良くなかったんやで。
    あれ引き分けみたいな感じだったら、あんなに人死ななかったんや。精神論で勝てるわけないやん。

  • 挨拶のマニュアルから軍隊を通した当時の社会を見るという観点はとても興味深かった。

  • 東2法経図・6F開架:392.1A/I16g//K

  • 根拠として当時の文書を引用するが旧字体がとても読みづらい。今日の漢字に変換しておいてもらえるともっとよかった。昔の言い回しもちょっとした訳や解説が足りない。しかしながら大変参考になった。

  • 2021年5月読了。

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著者プロフィール

一ノ瀬 俊也(いちのせ・としや) 1971年福岡県生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程中途退学。専門は、日本近現代史。博士(比較社会文化)。現在埼玉大学教養学部教授。著書に、『近代日本の徴兵制と社会』(吉川弘文館、2004)、『銃後の社会史』(吉川弘文館、2005)、『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書、2009)、『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」』(文藝春秋、2012)、『日本軍と日本兵 米国報告書は語る』(講談社現代新書、2014)、『戦艦大和講義』(人文書院、2015)、『戦艦武蔵』(中公新書、2016)、『飛行機の戦争 1914-1945』(講談社現代新書、2017)など多数。

「2018年 『昭和戦争史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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