アムンセンとスコット (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022620583

感想・レビュー・書評

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  • リーダーがチームの将来を変えてしまうことがよくわかる素晴らしい書籍であった。

    アムンセンがゴール(南極に行き無事に帰ってくる)達成に向けて綿密に計画(自分達のそりを引く犬を殺す、食糧にする。その見立てが想定通り)を立てる一方、スコットの準備不足が勝負を分けた。
    本書の解説でも記載があったように、内発的動機で立ち向かっていく人に頑張る人(外発的な刺激で立ち上がる人)が勝てないんだということが戒めとなった。
    また冒険小説、リアルサバイブ小説としても本書は面白い。

  • アムンゼンとスコットの違いを、具体的なデータ•事実関係の積み上げから考証した労作。「隊員に対してひたすら従順であることを要求」していた可能性のあるスコットに対し、「隊員の自主性を尊重するチームワークで運営した」アムンセン、という巻末解説も説得力がある。


  • 冒険譚自体も非常に興味を惹かれる内容だが、そこからの学びもある。

  • 人類初の南極点到達レースがドキュメント調に描かれています。アムンセン隊とスコット隊の行動が並行して描かれており、思わず続きを読みたくなってしまうような臨場感にあふれていました。

    最近再版された本書ですが、大きな困難に打ち勝ちことを成功させる要因は何か、ということが見えてきます。自分が感じたところを、まずは3つ挙げていきたいと思います。

    1つ目は、ことを成すにあたっては、心から夢中になれるよう、自分自身の意志からスタートすることが大切だ、ということです。

    他人からから依頼されたからやる、という義務感ではなく、自分自身がやりたいからやる、心から自分が没頭できるようなことを自ら進めていく、ということが大事なのではないでしょうか。

    では、ことに臨むに当たり、そのような心持ちになるにはどうしたらよいのでしょうか? 

    答えとしては(逆説的ですが)「夢中になれるような仕事やことを自分自身で選ぶこと」なのではないかと思っています。もちろん、組織に所属していたら、全てにおいてそういったことを選択していくのは難しいでしょうが、仮にそういった自分が夢中になれることを仕事にできる環境を得た場合、それはめったにないチャンスなのですから、そういった機会を逃さず大事にしていくというおとが重要なのではないかと思います。

    また、はじめはそうでなくとも「興味を持ち色々と調べること」により夢中になれるような気がします。興味を持って色々と調べれば自然に思考量が増え、それにともない事前準備をし、それがさらに成功に近づき…といった好循環に持っていける。本書に書かれているアムンセン隊のスタッフがどういった心持ちだったかはわかりませんが、アムンセン隊の成功体験からは、そういったことが読み取れるのではないかと考えています。

    2つ目は、リーダーとして振舞う場合、メンバーに参加意識を生み出すようなリーダーシップや行動が必要である、ということです。

    本書でも、アムンセンは自分なりの答えを持っている問いをあえてスタッフに意見を求めたりしています。また、最終的に南極点に到達したスタッフに対し、リーダーではなく仲間とともに旗を立てよう、と提案したのはこのことを著す象徴的なシーンであるとも思います。

    危機管理やプロジェクトの進め方といった本を読み込んでいくと、時々「権威勾配」「権力格差」というワードが出てきますが、こういった困難に打ち勝つような場面では、一人でぐいぐい引っ張ってくリーダーよりも、スタッフの自主性や参画意識を高めていくリーダーの方が良い結果が出せる、ということです。

    (本当に時間が無く素早い意思決定が求められる場面ではまた別だとは思いますが)誰も見通しが分からないプロジェクトについては、それぞれの面で優秀なスタッフが集められているはずなので、広く意見を聞いてリーダーが責任をもって決めていく、というやり方が、自身の経験からも経験上も一番良いように思います。

    3つ目としては、ファクトをしっかりととらえた合理的な意思決定が必要、ということです。

    「自分たちのゴール達成を第一に置き、そのために必要なことを冷徹に、感情論を排して決めていく、という態度が必要である」ということは、頭ではわかっていても、人間ですからなかなか難しいと思います。

    本書でも、それまで一緒に旅を続けてきた犬を計画的に処分して食料にするシーンや、極地を目指す人数を行程の負担を減らすために意図的に絞る、といったシーンが出てきます。感情的にはグッとくる場面ですが、改めて「合目的的に行動するとは」ということはこういうことである、と唸らされました。

    本書はスコット隊の悲劇的な結末、およびアムンセンのその後の生涯が記載されて終わるわけですが、総じて「目的を達成するということ」および「リーダーのありかた」について改めて考えさせられた良書でした。

  • 2つの隊の行動を同時進行で書いているのが、ワクワクして良い。
    組織とリーダーシップを学ぶのに何度か読み直したい。

  • ここでどのようにしたら次に役立てられるか、次の次を想像しながら今の行動を取ることの重要性が痛いほど結果につながった例と言えるかもしれない。現在の情報化社会とは異なり、比較的複雑でない環境下でも、これだけの違いが出る。自分に必要な情報は何で、その変化や現況値が何を意味するのか、惑わされずに日々観察したい。

  • 他の本で勧められていた本。未知を求める探検物語、読み物として面白かった。
    二人のリーダーの対比も面白かった。
    - 常識と考えられてたことに疑問を抱いて調べ直す
    - 事前の下調べ、準備
    - 動機、情熱、心構え
    - 周りの期待からの責任感
    - 心理的ゆとりを持たせる、楽観的、平常心
    - 理性的な判断

  • 人類史上初の偉業を果たすべく南極点を目指す2つの隊。
    準備から作戦から指揮の執り方まで対象的な2組。結果は、かたや世界的な栄誉を得、かたや全員死亡。
    あとがき、解説も含め、興味深く読んだ。

  • 地図や写真資料が豊富。アムンセンとスコットを同時並列的に書くという方法もわかりやすい。山口周さんの解説もいい。

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