ニュートリノ 小さな大発見 ノーベル物理学賞への階段 (朝日選書)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022630452

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  • ・梶田教授の生い立ち・経歴、ノーベル賞受賞までの取組、日本の科学技術研究・教育に対する考え方などについて、発言録・取材を通じて朝日新聞社が整理。特に異質な示唆はないものの、あたりまえに望まれることを正面からとらえる人物と思料
    ・ニュートリノとは:原子核の陽子または中性子にあるこれ以上分割できない最小の粒子。17種類あり、物質粒子(物質を構成)、ゲージ粒子(力を伝える)、ヒッグス粒子(質量の起源となる)からなる(ちなみに電子とニュートリノは物質粒子)
    ・スーパーカミオカンデとは:岐阜県飛騨市神岡鉱山地下に設置されたニュートリノ観測施設(建設費100億円)。宇宙線に含まれ大気圏で大気中の原子核に衝突して発生する各種粒子に含まれるニュートリノを観測する。地下深くに設置することで観測のノイズになる宇宙船ミュー粒子を除外する(ノイズの除去はとくに自然科学系では重要研究課題)。このほかの施設として、XMASS(ダークマター観測)、KAGRA(重力波観測)、ハイパーカミオカンデ(20206年予定)がある。
    ・日本の科学技術研究・教育への想い:
     #おそらく中学校のときは具体的将来設計なくてよい。絶対こう、と決めずに興味、適性を順々にはっきりさせていけばよい。将来いろんな可能性があることを考えて、できれば勉強するとよい
     #(自身が小柴、戸塚両恩師のほか仲間にも恵まれた経験から)若い人には、素晴らしい仲間に囲まれてさまざまなことを吸収し自分を磨けることが本当に重要、と伝えたい
     #(多くで指摘されてい入るが)日本は若い人が科学者という人生にあこがれない国になっていること、競争環境も重要だがいまは揺れすぎであること、長期的視点の研究が必要であること、科学の面白さをわかる前に嫌いになってしまう教育は問題であること(例えば、梶田氏の研究はそれほど難しいことを知らずともできるとの談)、特に女子には中高といった早い段階で”理系”は特別でない、と理解してもらえてない、ことに課題認識を吐露

  • ちょっとこれは、映画か小説を読み終わったような感動。カミオカンデ、スーパーカミオカンデを舞台にした奇蹟の物語だと思う。梶田先生、戸塚先生、小柴先生はもちろん、出てくるキャストの魅力もそれぞれしっかり描き切っている、とても満足度の高い小説のような。そして、真の主役、素粒子ニュートリノは、その謎めいた存在は、まだまだ続きがあるよと言ってそう。宇宙の秘密に対する人類の挑戦をそっとほほえんで見ていそう。

  • 請求記号 429.6/Ka 23

  • 研究者以上に、それを支える技術を持った企業があるという事実

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著者プロフィール

梶田隆章(かじた・たかあき)1959年生まれ。宇宙物理学者。東京大学宇宙線研究所所長。史上初めて、銀河系外から飛来した「超新星ニュートリノ」を観測した「カミオカンデ実験」、それまで質量ゼロと考えられてきたニュートリノに「質量がある」ことを明らかにした「スーパーカミオカンデ実験」に参加。1998年、ニュートリノ質量の発見を、研究グループを代表して国際会議で発表した。1999年、仁科記念賞、2010年、第1回戸塚洋二賞、2012年、日本学士院賞受賞。2015年、文化勲章受章。2015年、「ニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見」により、アーサー・B・マクドナルド(SNO実験)とともに、ノーベル物理学賞受賞。

「2015年 『ニュートリノで探る宇宙と素粒子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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