- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647443
感想・レビュー・書評
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面白くて、30分だけ読むつもりが全部読んでしまった。美女とかブスとか関係なく、みんな必死にかっこ悪く生きてて、それがどうしようもなくかっこいい。大事なのはさらけ出すこと。
そして最後、きゅんとした。バレンタイン、どうなったんだろう?想像してにやける。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった~。
最初は「どうなる?ドロドロ系?」と思いましたが、全然そういう系統ではなくて、楽しかったです♪
引きこもりでネットで荒らしをしているブスの耶居子。最初はなんだこいつは??って思うのですが、それも長くは続かず。すぐに耶居子ちゃんの虜になりました(笑)
しかし美女たちの住む家がすごい。美女しか住んでない豪邸なんて、おとぎ話ですよね(^▽^;)
でもその美女たちにも、それぞれ悩みやコンプレックスがあり、日々悩んでいる。そこにやって来た耶居子によって起こる変化。美人にもブスにも悩みはある。それをお互い認め始める過程がいいですね。
ユリエの豹変ぶりにはびっくりしたけど(笑)
ユリエと耶居子ぐらい分かり合えた仲なら楽しいでしょうね。
そして、耶居子のごはん日記。
ちょっとした番外編ぐらいの軽いノリで読んでいたけど
意外と耶居子ちゃんの事が分かってかなり面白かった! -
「美人」か「ブス」か。
どちらか選べると言われたら美人になりたいけれど、美人だからといって何もかもが上手くいくわけでも、ブスだからといって何もかもが上手くいかないわけでもないですよね。
そういう意味では、「ブス」だから、と周りを妬んで引きこもって、呪詛を吐きながら生きるのも、「美人」だから、と叩かれないよう自分を殺して曖昧に微笑んで過ごすのも対極でいて似ているような気がします。要は容姿に囚われすぎなくてもいいんだと思います。容姿の持つ影響力は大きいけれど。
本書では変わった共同生活を経て、互いの強みを吸収しながら自分にしていた「言い訳」を捨てて強くなっていく魅力的な女性が描かれていました。
綺麗な部分だけじゃなくて醜い部分もしっかり書かれているのがまたいいですね。人間だから、時にやさぐれて八つ当たりしたくなるような時期だってありますよね。
それから改めて思ったのは、それぞれ人にはその人に合う活躍できる領域があるということ。女子大卒業後に入社した保険会社は、同僚になじめず半年で辞めて、アルバイトも続かなかった主人公だけど、それは主人公が駄目だったというより、主人公に合わなかったということに過ぎなくて、そういう意味で自分を知って、自分が一番輝ける場所で働けるというのはとても重要なことに感じます。
我慢強い人ほど合わない環境でもなんとか耐えて過ごしたりするけれど、本当は一歩踏み出したらもっと自分に合うところが見つけられるんじゃないか、なんて。
なので、一歩踏み出した人たちの物語はカッコよくて魅力的。
それから個人的には番外編の「耶居子のごはん日記」が大好き。本書に出てくる食べ物たちにはすごくわくわくさせられます。初柚木さんでしたが、おもしろかった。 -
結果、全部うまくいきました!というお話。
なんだかんだ、ヤイコは博識でおもしろい人だもんな〜。普通のただの引きこもりだとこういうわけにはいかないから・・・(現実)
そしてやっぱり、柚木さんは手に職系の仕事してる女子推しなのだね。
以下引用
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わかる。升本雄介とやらの気持ちが手に取るように。自分と正反対のまぶしいものに惹かれてしまう。本当は素直になりたいのに、怖くて近づけない。そんな自分がもどかしくて情けなくて、対象を傷つけずにはいられなくなる——。
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「赤ちゃんを育てる、植物を育てる、ペットを飼う。後輩や教え子を、可愛がって指導するのもいいわね。自分以外の何かを手をかけて導いてあげることによって、女としての潤いと余裕が生まれるもの。生活や言葉もいつの間にか丁寧になるし、良いこと尽くしよ」
「まさか、そんなことくらいで」
「あら。この家にいる美女たちを見てごらんなさいよ。私は真奈美を、ユリエちゃんはメルローを、葉月さんはお店のファンたちを、優子ちゃんはあなたを、大切にして面倒みているわけでしょう。守りたいものがある女は、皆ことごとく美しいのよ」
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敬意を込めた眼差しの葉月と、目を合わすまいとする。変人のブス、と言い切ってくれた方がはるかにやりやすい。こうした歯の浮くような褒め言葉を聞く度に、気恥ずかしさで死にたくなる。何よりぞっとするのが、彼女たちにお世話を口にしているつもりがなく、本気でそう思っている点なのだ。ああ、やっぱり美人は苦手だ。受け入れられるのが当たり前の人生だから、素直に他人を認められる。うがった見方をするこちらが悪者みたいではないか。
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胸を突かれた思いだった。自分をどれだけわかっているかで、女の魅力は決まるのかもしれない。美しくないというだけで、すべてをあきらめる必要はなかったのかもしれない。
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玲子の紅潮した頬を見て、耶居子は心底驚いた。どうやら、本気で怒っているらしい。夕べ、ユリエを心配してやってきた宗佑と打ち解けた様子で話していたのが、よっぽど気に食わなかったのだろうか。それにしても——。こんなことを言ったらますます怒鳴られそうだが、プリプリ怒っている玲子は見とれるほどに愛らしい。好きな男のために、妬いている美女というのは、なんてコケティッシュな魅力に溢れているのだろう。これがブスだったら醜悪で目もあてられないことだろう。宗佑の前でもこんな表情を見せればいいのに。
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「耶居子さんみたいに人の目なんて気にせず生き生きと楽しそうな人を見ていると、たとえようもなく嫉妬とむなしさを感じるの。私のしてきたことって、なんだったのかな、って思う。世の中の基準に自分をすり寄せて生きてきただけで、本当に好きなことをやったり、言いたいことを言ってきたのかなって。そもそも自分がどういう人間だったのかも、もう思い出せないわ」
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さらされる側になって、初めて自分がしてきたことの残忍さに気が付く。ずっと自分は社会の被害者だと思ってたけれど、ようやくわかった。罪もない人たちに八つ当たりしてきただけではないか。自分の不満を誰かに肩代わりさせ、現実を見ないようにしてきただけではないか。努力も挑戦せず、他人を責めてばかり。一体自分は何をやっていたのだろう。
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引用終わり
解説が森三中の黒沢さん。素敵なあとがきだったな。「無理に弱さを隠していない人って、たとえベースがネガティブであったとしても私からは魅力的に映ります」、これはそうかもなあ。あと、震災のあとに「自分のようなネガティブな人間がお笑いをやっていいのか、と悩んで落ちた」というところ。まっすぐお笑いと向き合ってる感じが伝わってくる。 -
おもしろかった!!!
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面白く読みました。
外見で苦労した人達の話です。ヒヤヒヤする場面もありましたが、ハッピーエンドです。毎回言ってるけど、柚木さんの食べ物への執念が凄まじい。
オタク用語が多く出るので、知らない人は面白さ半減するのでは?
ドラマ化されていたらしく、ヤイコ役は森三中の黒沢だったらしいが、自分の中のヤイコ像と違っていたのでドラマは観ることがないだろう。
好きなタイプが「荒俣宏」だと言える女は素晴らしい。ニッチ。
ちらっとアッコさんが出てくるのもいい。 -
「最近こういう話多いよな、シスターフッドにルッキズム」と思ったら10年以上前の作品で驚いた。すごい、10年前に読みたかった。
黒沢かずこの解説も良かった。
上手い具合のハッピーエンドが気持ちよくなりすぎてかえって薄寒く、思春期の子供みたいに反発したくなるけど、こういう薄寒い希望が必要なんだとも思う。 -
柚木麻子さんのたべものや料理の描写がだいすき。今回はジャンキーなものの登場も多かったけど、シンプルにとてもおいしそう。
書き下ろしのおまけ?の日記には、ほかの著書の"あの人"も登場して、ふふっとなんだかうれしくなった。
とにかく読み始めからさいごまで、映像化されそうだなあというのが一番の感想。すごくドラマや映画にしやすそう。