物語のおわり (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 324
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022648730

感想・レビュー・書評

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  • 未完の物語が、北海道で出会う人々の手によって旅する物語。その物語を手にする人により、物語の終わりが変わるのが面白い。人は誰一人同じではないことを、再認識できる。
    私なら、この物語をどう終わらせるだろうと考えながら、本を閉じた。

  • 北海道を舞台に繰り広げられる物語。
    夢を語る者、夢を追う者、夢を阻む者、壊そうとする者。それぞれのキャラクターが持つポジティブな部分とネガティブな部分と、全てとは言わないけれどわかるというか共感できるところがある。

    この共感する時に起きる不思議な感覚が、湊さんの作品には常に感じられる。旅先で出会っただけの関係、それはごくごく浅い関係なのに、そこに繋がるまでには実は色々な要素があって、ある種の必然性を感じる。
    これは物語だから、というフィクションの話ではなく、現実の世界にもある話だと思う。人の感情に届く喜び、悲しみ、痛み、と言ったものは、実は必然とも言える関係性があって、深いところで繋がっているのではないか、と感じてしまう。

  • 初めて湊かなえさんの本を読んだ。
    せっかく読書を楽しむのだから、「読後、嫌な気持ちになる」と言われる作者を受けつけなかった。
    イヤミス嫌いな人にもおすすめ、のうたい文句に惹かれ、手にしてみた。
    結末の書かれていない未完の小説が、人から人へと渡り、様々な人に読まれていく『物語のおわり』。北海道を舞台に、それぞれ事情を抱えた旅行者の間を、1つの小説が巡っていく、8編のストーリーが収録された連作短編。
    読後感の非常に良い物語。重苦しい物語ではなく、爽やかで優しい物語が読みたい人におすすめです。

  • 8つの短編
    北海道とは縁も所縁もない”ベーカリー・ラベンダー”
    冒頭の「空の彼方」が小説として書き残される。
    結末は記されず、執筆に途中だったのか?読み手に想像させるのか?
    続く6編では各編の旅人が北海道を訪れて、その小説を手にして、自分の状況と置き換えて「物語のおわり」を考え、感じ、話を結んでいく。
    最終編で真相に迫る演出は見事ですね!心温まるお話です。

  • ~物語~
    それを語るには余りに永く、余りに短い物語。
    1人の人と人が交わるだけで物語は幾何学的なルートへと誘(いざな)わられる。
    そんな常世の美しさは紡がれていずれ一つになるだろう。

    当作品は連作短篇でありながらそれを感じさせない個々の人物へのコミットの仕方が何とも言えない技術が光る。
    全てが繋がっているようで繋がっていない。
    全ての物語はあえて完結させない形をとっており、読者の想像に委ねられる。
    勿論、あなたの物語も「ハムさんと私」をきっかけに動き出したはずだ。
    運命は自分の手の中に。
    の醍醐味を存分に味わえた。

  • 1つ未完の物語にいろんな人が関わって、それぞれの人生に照らし合わせ、結末を想像する。
    登場人物が多いので、間を開けて読んでしまった私には内容がごちゃごちゃしてしまった。
    少しモヤモヤが残る部分もあった。
    未完の物語の結末は最後に知ることができ、それは良かった。

  • なるほど〜と最後は ホロリときてしまいましたよ( ; ; )
    湊 かなえさんは 本当に次を読みたくなる文章の上手い作家だと思う
    他の作品を読んで ミステリー作家だとばかり思ってだけど、この作品は、私にとっては湊さんの新境地のような小説に出会った気分だった。
    まるで ロードムービーのように流れてゆく作風で タイトルの通り 物語のおわりは どうなるのだろうか?と展開が気になりながら読んでしまった

    主人公?もさることながら、ハムさん いいですね
    「自分の気持ちがラクになる方法ではなく、他人が本当に求めているものとは何かを考えさせる」 後書き解説が改めて胸に痛かった。
    そんなふうに考えて生きてるつもりでも、なかなか 人の視点に立って物事を受け止めるのは難しい それを受け止め伝えていけるから やはり小説家はすごいですね。

  • 201801/最初の章を読んでもやもやしつつ、バトン形式がやや強引に思える途中章もそうはいっても面白く、最後でこうきたかと、見事な構成。

  • 文庫『物語のおわり』刊行記念 湊かなえさんサイン会 北海道・東北で開催!
    https://publications.asahi.com/news/803.shtml

    朝日新聞出版のPR
    妊娠三ヶ月で癌が発覚した智子、父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする拓真、志望した会社に内定が決まったが自身の持てない綾子、娘のアメリカ行きを反対する水木、仕事一筋に証券会社で働いてきたあかね・・・・・・人生の岐路に立ったとき、彼らは北海道へひとり旅をする。そんな旅の途中で手渡された紙の束、それは「空の彼方」という結末の書かれていない小説だった。果たして本当の結末とは――。あなたの「今」を動かす、力強い物語。
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19614

  • 湊かなえさんはイヤミスに引っ張られがちだけどしっかり心理描写は丁寧なのがよいんよな
    どの終わり方もきっと正解

    夢を突き放す、と言う言葉が胸に残った

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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