問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2023年6月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022952233
感想・レビュー・書評
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意外とロシア勝利説だったが、そういう見方もあるのだなと感心もする。
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アメリカに問題があるという論点は興味深い。
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キーはポーランドとドイツ
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内容は、E.トッド氏が、以前からその著書(『第三次世界大戦はもう始まっている』)で言っていたことだ。その主旨は、
「いま起きている戦争の責任は、プーチンやロシアではなく、アメリカとNATOにある」ということです。」
前著が2022年6月のこと。1年を経て、ようやくその意見を、日本でも、一般に知られていて、メジャーな池上彰氏が取り上げ、対談をし、その内容が上梓されるようになった。
もとより、専門家でなくても、多くの知識人はその意見を理解してはいただろう。ただ、それを公に発言することがハバカレルか、あるいは聞いてもらえない時合いだったのだろう。ここに来て、少し風向きが変わってきたのかな?
「反ロシア感情、ロシア嫌いの感情というのは政治家の間ではなくて、ジャーナリストたちの間で始まっている」
と、サンフランシスコ州立大学教授アンドレ・ツィガンコフの意見を紹介しつつ、今の世論を形成するメディアも批判している。冷静に情報を分析した報道ではなく、ウケるニュースを垂れ流している責任は重い。
とはいえ、そんな耳障りの良い、自分の欲する情報しか耳に入れない国民にも非はあるとも思う。
ロシアの危機、プーチンの凋落という、西側の大半が求める方向の報道ばかりに耳を傾けていると、今後の判断を誤るだろう。
池上氏も、「実は一番の危機は、アメリカの危機ではないのか。」と。
さらには、
「ウクライナでは大変な苦戦をしている。つい私たちはそこだけを見てしまうんだけど、もっと広い、長いスパンで見ると、実はロシアの世界戦略が成功しつつあるのかもしれないということですね。」
お茶の間の人気者の池上氏にこう言わしめた、トッド氏との対談は価値がある。 -
2023年、31冊目です。
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アメリカの経済力を生産力で考えると、凋落している、という指摘は眼から鱗だった。2023.6.15のウォール・ストリートジャーナルの記事で、「日本、米への砲弾提供を協議 ウクライナ支援で」という記事も見方が変わって来た。