- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023314955
作品紹介・あらすじ
【社会科学/経済財政統計】円の価値下落、官製株式相場の危うさ、中国や欧州の経済減速など、テーマごとに解説。アエラ連載に大幅に加筆して再構成する。リスクへの対処法、本当にいま求められている成長への処方箋も描き出す。巻末には浜矩子氏との対談つき。
感想・レビュー・書評
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読みかけとなっていた本です、最後まで読みたいと思っておりますが、現在このような本に部屋が占領されてきており、苦渋の決断ながら処分することに至りました。近い将来、この本を読破できる機会が来ることを願っています。
2017.12.31作成
気になるところをピックアップしました!
・これまで内向きで十分に食えていた人たちが、勇気を持って海外にどんどん出て行って稼ぐことが日本経済復活のカギである(p19)
・消費増税は、円安で受益者である輸出型大企業には、輸出に関わる購入分の消費税がすべて還元される「輸出戻し税」がある、中小企業や個人はこのメリットは無い(p22)
・公共投資で潤った建設、不動産、人材派遣の3業種は業績が大幅に底上げされている(p28)
・日本のギャンブル市場は現時点で24兆円、カジノで0.4兆円を売り上げても経済効果はあるだろうか(p30)
・シェール革命により、アメリカ製造業が競争力を取り戻すことがすぐにわかる、安価な労働力、先進国で唯一人口が増えていくアメリカは製造業にとって不可欠な条件を満たす(p197)
・デンマークの国債入札中止、スイスの為替介入をやめたことは、これ以上ユーロはほしくない、と世界に宣言したようなもの(p212)
・アメリカの大学で実利的と思われるのは、MBA取得を目指すビジネススクールのみ、他は実にアカデミックな勉強の場である、偏差値が高いのは、ハーバード大学ではなく、リベラルアーツ系の、アマースト、ウィリアムズ等のカレッジである(p246)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うーん、正直言って参考になる点と反論したくなる点がある。
まず円高奨励円安反対。それで豊かになるということで、古今東西通貨を毀損して発展した国はない、ということだが、
現在の通貨と近代以前の通貨では変質した部分も多いと思う。
戦後、通貨価値を毀損して発展した国といえば
1.戦後1ドル360〜250円と通貨安になった日本。
2.ドル高に苦しみプラザ合意でドル高を抑えたアメリカ。
3.アジア通貨危機で実質デフォルトしてしまった韓国。
4.マルク高に景気は沈み、ヨーロッパ新通貨ユーロで劇的に通貨安を遂げたドイツ。
と、つまり戦後世界の主要国の多くの部分であり(ついでにいえば日本没落の原因を分析した中国共青団エリートのレポートでは、その原因はプラザ合意による円高進行とハッキリ分析してあったな……)、むしろ通貨安が(ドルレート指標では下がっても)景気に高影響なのはいくつもの事例で証明されている。
アベノミクスについては増税以前は確かに経済は上向いており、それは否定出来ないだろう。
増税後の景気停滞は確かにそうで、それまでの上向いてきた状況をチャラにしてしまった。しかしこれもアベノミクス批判というよりは、むしろ安倍−菅ラインは増税に批判的だったわけで、むしろ長期間に渡って形成された官僚の力が勝ったということだ。
また、著者が製造業に変わるこれからの産業として観光業を挙げているが、これについても円安は有利に働くのは言うまでもないだろう。
円高が豊かになるとは金融関係者がよく唱え、民主党時代には円高が国益と藤井財務大臣が唱えて大不景気と電機産業の崩壊をもたらした実例もあり、ドルのような基軸通貨でもなくまたスイスやシンガポールのような小国ではない日本の実情には合わないのは振り返っても明らかだ。
しかし、著者は経験豊かで有能なビジネスマンであり、著者が手掛けた岩手紫波町の再生を始めとする具体論や農業ほかの規制批判などは大変参考になる。
またほとんどの「地方再生」責任を問わず、失敗を認めず、補助金は垂れ流す=不良債権の積み増しに終わっている現状を変えるには補助金に頼るのではなく、自ら利益化するシステムを創っていくことにあるという。これはビジネス経験のない官僚には無理であり、事実失敗例の山を築いている(しかし、失敗とは認めないまま霧消する)。
これらの構造改革にアベノミクスがあまり手をつけていないのは確かだが、改革するには長期にわたる利権や権力が縱橫につながっており、変えていくのは容易ではない。この問題の本質は長い間巣食った官僚統治に求められるべき話だが、それをアベノミクス批判だけに集中するのは違うと思う。これは朝日新聞の「アエラ」への連載というの関係しているのでは?とも思う。同じ著者の「ニッポン経済最強論」とはかなりニュアンスが違うとういうか「ニッポン」への向き方は異なっている。
とはいえ、本当の地方創生については、官僚の手を離れ、著者や冨山和彦氏のようなビジネスも地方事業も手掛けた方が責任者となって実行できるブレーンを組織化してしっかり現場を動かす、ということをどっかで思い切りやることが必要だと思う。 -
政権サイドに軸足を置く日本のメディアには本当のこと(アベノミクスはアベノリスク)を伝える術がない。データはあるので後は自分の頭で考えることが重要。日本の労働人口の減少は大問題だが、人口を増やそうとする無茶な対策ではなく、人口減を前提とした社会システムを作ることの方が大事。公共工事で新たに高速道路を造っても使う人は減る一方で、メンテナンス費用だけが残るだけ。これからの日本がやるべきことは海外への輸出の依存度を高めることではないか。東南アジアには急成長しているマーケットがある。
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2016/06/14:読了
あっという箇所はなかった普通の本。 -
AERAコラムを基にした一冊。反省と地方再生、ふるさと納税に対するコメントは実体感のある解説だと思う。メモ。
(1)少子化による人口減少はあっても、高齢化の場合はむしろ消費人口は増えている。‥家計の貯蓄高が3千万円を超える世帯の30%が世帯主65%以上。
(2)地域活性化、特に公共事業において集客数のみを見て人が集まった、活気が戻った等というのは成功の指標ではない。儲けているのか、来た人がどれだけお金を払ってくれるか、それがすべて。
(3)その日を夢見て町民共々頑張ろうという気持ちが地方再生では大事。
(4)消えるのは地方そのものではなく地方自治体。
(5)自分たちの地方の伝統、県民性にあったスペシャルなものをいかに開発していくか。それこそが競争力の根源。
(6)ふるさと納税は一部の地方産品を全て税金で買い取る公共事業‥地方産品の競争力は毀損されるばかりなのです。 -
GDPの60%が内需から成り立つから、円安は輸出依存度10%に頼る企業しか利しない。自動車関連部品などは、そのおこぼれに預かれるかもしれないけど、生産拠点を海外に移す企業が多いことを考えれば、円安は日本全体にとっては不要なのではないか。円安は海外からのツアー客を呼び込むことに成功したと言う面も有るけど、長く呼び寄せることのできる仕組みがなければ、いつかは飽きられてしまう。当然、内需を冷やす増税は止めた方がよい。
また、労働者数が増えたと言っても、非正規社員が増えただけで、正社員は減っている。
結局GDPか増えることは、実質または名目賃金が増えることに繋がらない。GDPにどこまでも頼ろうとする今の政権の姿は、戦前の巨艦主義に頼り敗北した姿と同じではないだろうか。 -
2016/3/27〜4/1