天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

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  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035403401

感想・レビュー・書評

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  • 昨年読んだ獣の奏者に続いて、上橋菜穂子の代表作である「天と地の守り人」を読んだ。皇太子チャグムと女用心棒のバルサが、架空の国々で繰り広げられる争いと平和をファンタジックに描いた作品。一見、こども向けだが、上橋作品の多くに共通する骨太の思想にあふれている。兵士はばたばた死ぬし、血や腐臭に溢れた残酷な記載も多い。それでも、若い子達に、是非読んでもらいたいと思う作品だった。
    舞台となった新ヨゴ皇国は、もちろん想像上の国なのだが、近郊の陸軍国家に攻められると鎖国を選んでしまうところ、穢れを極度に恐る皇帝、軍事を嫌う気質、と何やらボクらにとても身近な国の話をしているようで、興味深かった。

  • ついに最終巻。感動の一言です。

    3部では戦争が激化していく中、登場人物の心が浮き彫りになってきます。誰もが自分が正しいと思った道を必死に生き抜こうとしていたんだということが改めて感じられました。戦争に正義も悪もないというのはこういうことなんでしょうかね。起きてしまったことがただただ悲しいというか。

    失ったものもあった最後ですが、優しく、あたたかいとても良い終わりかただったと思います。このシリーズを最後まで読むことができて本当に良かった、そう思います。

  • ついに「守り人シリーズ」完結。
     カンバル国とロタ国は同盟を結び、チャグムは両国軍を引き連れて
     故郷「新ヨゴ国」を救うために出発した。しかし、死んだと思っていた
     チャグムを迎えた国王とチャグムの確執は根深いものがあった・・。
     そしてバルサは戦いで倒れたタンダを探すため「新ヨゴ国」に戻り、
     タルシュ国軍に攻められ、逃げまどう難民たちを救うおうと奮闘する。
     
     長かった物語もとうとう終わってしまった。
     最後は、ほろにがい苦いハッピーエンドかな・・。
     子供向けの本だったら、とってもハッピーに終わると思うのだけど、
     でもこれが人生の真実なんだよなって思わせられる。
     それでもバルサとタンダは幸せになれたし、新ヨゴ国の未来も困難は
     多いけどチャグムが国王になって良くなっていくと思えるし。
     4月からテレビでアニメドラマとして放映されることになり、本屋には
     「守り人シリーズ」が全巻ならんでいる。文庫本も発売されたから、
     もう一度最初から読みたい気持ちもする。

  • 守り人シリーズ最終作。
    三部作なのですが、まとめてレビュー書きます。

    最終作ということで、第1部からドキドキが止まらず、一気に読みました。
    正直、第3部は涙が出て、でも先が気になって堪えながら読みました。

    文句なしの5つ星です!
    ファンタジーから始まり、途中、歴史小説のように読ませ、
    そして最後はファンタジーと歴史小説の雰囲気を
    見事に融合させた作品だと思います。
    めちゃめちゃ深い世界観です。

    単純なハッピーエンドじゃないのが良かった。
    シリーズが終わるのは少し寂しい気もしますが、
    終わり方が良かったから、大満足です。
    やっぱ「児童書」の枠組みにあるのは勿体無い作品です!

  • ああついに終わってしまった・・・。終わってしまうのがいやで、読みたいような読みたくないような気持ちでしたがとうとう読んでしまいました。
    1部、2部とスケールがどんどん大きくなって、問題もどんどんフクザツになって、どうなることかと思ったけど。チャグム、ホント立派になったなあ(親戚のおばちゃんのような心境)。偉かったなあ。
    草兵たちの戦いのシーンが悲しかった。
    王様たちの戦いだけでなくて、ちゃんと名も無き人が巻き込まれる戦いを描いてくれたのがよかった。
    バルサ、やっとしあわせと安らぎを見つけられたのかなあ。
    関係ないけど読んだあとは朝食のトーストを食べる際などに「ラをバムに塗って・・・」などと脳内変換してしまったり。

  • おわっちゃった。
    さみしいなぁ

    なんとも気持ちの良いラストで、
    すっとしました。
    オールオッケーになったらあまりにも楽天的だし、
    このくらいの終わり方が私はすきです。

    しかしほんとに、
    ゲド戦記に影響うけてるなぁと、
    端々で感じました。

  • 勇者って辛いんだね。皆から期待を寄せられ、自分をおしころし、人のために殺戮をするんだね。
    でもまた芽を吹き始める。
    どうか幸せに。

  • 本当は☆5つつけたいところだけれど、☆5つにするにはわかりやすすぎるので(そこがこの本のいいところだけれど)☆4つ。

    この作品は、王とか征服とかナユグとか呪術とか…ファンタジー要素が多数盛り込まれているから児童文学というくくりに入るのだろうけれど、伝えようとしていることは本当に深い。

    リーダーは他人の人生を背負う。
    リーダーになるか否かは時の運。
    また、勝者も敗者も時の運。
    それでも、時の運に翻弄されず、自分の道を自分で切り開いてゆくことの大切さ。

    言葉が足りずに表現することができないが、本当にこの作品は色々なことを教えてくれる。
    面白かった。

  • タルシュ軍によってあっという間に首都近くまで攻めのぼられたヨゴだったが、チャグム率いる連合軍が辛くも阻止することができる。
    そんな折、シュガは大洪水の先ぶれを知り、国民の避難を開始させる
    連合軍の戦力と洪水により甚大な戦力喪失に至ったタルシュは兵を引き、ようやく平和が訪れる

  • 無事にカンバルとロタの同盟を成功させたチャグムは援軍を引き連れて新ヨゴ王国へ帰ってくる。帰還したチャグムを目の前にして神の子として皇宮の中だけで生きてきた帝が下した決断。ついに守り人シリーズ完結!一緒に旅してきたバルサとチャグムもここでまた別々の道に。あの優しいタンダが戦場でどんな思いで槍をかまえていたのかと思うとせつなくなる。体も心も大きな傷を負ったタンダだが、バルサがいれば大丈夫。バルサが外の世界を旅し、タンダが家で待つ。ラストシーンのタンダの家から出る湯気と煙、その生活の匂いを感じ、この構図は変わらないんだろうなあと思った。一方チャグムの物語。たった一人で海に飛び込み、北の国の運命を変える大きな一手を打ったチャグム。地に足をつけ、心から民のことを思うそのまっすぐな気持ちに周りは惹かれていくのだと思う。素晴らしいラストでこのまま余韻に浸っていたい気分もあるが、できることならその後の物語が読んでみたい。新ヨゴだけでなく、ヒュウゴやセナ、周りの諸国とサブキャラの物語も読みたい。いつか上橋先生にまた物語の種が宿るのを期待。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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