三四郎 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001073

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読むと、こんなにも美しく面白い話だったかと驚いた。後期3部作の、人間の本質に苦悩する重苦しさとは全く別の、瑞々しく美しい情景描写に惹かれる。三四郎と美禰子の、互いに意識するかしないかの心の通わせ方、距離の感じが素晴らしい。最も印象深いのは雨宿りのシーンで、情景が目に見えるような透き通った美を感じる。
    多分、美禰子は三四郎に心惹かれるものはあったのだと思う。ただ、プライドか何かは分からないが素直にその気持を認められず、どっちつかずの態度を取らざるを得なかったのかと。三四郎がお金を返そうとしても中々受け取らなかったのは、無意識に繋がりを保っておきたかった表れではなかろうか。最後にお金を受け取った時、我はわが咎を知る、と呟いたのは、素直な気持を最後まで出さなかった自分を咎と称したのかと思う。stray sheepとは、時代の精神ともとれ、美禰子の自分自身を表した言葉とも取れる。

  • 数十年後には三四郎にも青春の1ページとして思い出されるであろう甘酸っぱい失恋のお話。美禰子の心理描写が全くないのでその思わせぶりな態度は解釈に迷う部分もあった。美禰子のstray sheepという言葉が彼女の心の揺らぎを暗示する。三四郎がもっと早くに思いを告げていたら美禰子はその思いに応えたのだろうか。

  • しみじみ、いい。とぼけた感じの三四郎に、善意で行動力もあるが空回り気味の与次郎、光る言い回し、クセになる言葉づかい、プラトニックな男女。やっぱり漱石は好きだ。でも電車の窓からゴミをすてちゃあだめですよ。

  • 面白かった。これまで古典は字面の黒さが読みにくくて苦手だったが、角川のものは仮名遣いや漢字を現代の用法に近づけていてルビも不必要に振っていなく読みやすかった。それからイワタ明朝体オールドがよい。

  • 中学生の時に読んだ本。
    しかしタイトルは覚えていても中身が思い出せない。。。
    ということで、10数年ぶりに再読してみました。

    本作は三四郎の学生生活を書き綴った作品。
    田舎から出てきた三四郎の周りに、
    自分とは異なる考えを持つ様々な人物との交流から
    様々な経験を得るようなストーリー。

    明治時代の作品なので、学生生活といっても
    現代とはマッチしないし、言葉が難しいのもあるけども、
    色々な心理描写があり、全体の雰囲気は分ります。

    本作はずっと気になる美禰子に失恋した感じで終わります。
    本作は「それから」「門」と3部作なので、
    さらに引っ張りだして他も読んでみようと思いました。

  • 「三四郎」(夏目漱石)読了。10代の時から現在に至るまで何度読んでも私は美禰子の真意の在り所を測りかねている。ちっとも進歩がないのだ。尚且つ、私は昔から「餘つ程度胸のない」人間です。(笑)

  • 青春小説の決定版!

著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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