- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041004395
感想・レビュー・書評
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バックグラウンドを知ることで、絵の見方が変わる。怖い、というか、薄ら寒い感じがする。
イギリスの「ガヴァネス」という立場の人について、初めて知ることができた。『シャーロック・ホームズ』シリーズは読んでたのに、ワトソンの妻メアリがガヴァネスだったことは記憶に無かった。
イタリアの「カストラート」が非人道的で寒気がする。日本では宦官制度すら採用しなかったのに、美声を聞きたいという理由だけで去勢するなんて残酷すぎる。しかも教会が始めたなんて。
勉強になったので、シリーズのほかの本も読みたい。できれば Unlimited になってほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中野京子が名画の背景を主観と批評を交え読み解いていくシリーズ第三弾。
正直絵画にはそこまで興味がなかったのだが、時にユーモアたっぷりに、時にエスプリを効かせ、時に辛辣な観察眼を発揮し綴られていく文章は名人芸の域。当時の時代背景や風俗と巧みに絡め、作者の人生や心情をも投影させるような文章は読みやすく面白い。
絵画そのものの迫力もさることながら、その絵が描かれるに至った背景を知る事によって、人間性の深淵をも抉り出すような凄みと深みが増す。
今巻で特に印象的だったのは「悪しき母たち」。
某翻訳恐怖小説短編集の表紙にも採用された有名な絵だが、不勉強な自分は恥ずかしながらこの本を読むまで作者はおろかタイトルさえ知らなかった。しかしまさか堕胎の罪を犯した女(娼婦)の罪と罰をテーマにした絵だったとは……
章立てが短いので集中力を途切れさせずに好きな所から読むことができるのも親切。 -
なんの問題も感じない絵が、細部に言及された途端恐ろしさを増すのも、元から恐ろしさしかないものも、どちらも良い。
女性、子供、殺される平民。まだまだ抑圧は続くものの、命なぞボロ布よりひどい時代だったと実感する。西洋史をもっと勉強したくなった。
好きなのは「ベアートリーチェ・チェンチ」と「王女メディア」。ベアートリーチェはどんな時代も美しい物語を求めてしまう警鐘に思えるし、メディアは元から好きな話だったものが、よりおぞましさ悲しさを持って肉迫してくる。
「かわいそうな先生」もいい。ガヴァネスとして働かざるを得なくなった女性と、その未来を予感しているような右の少女、そして何も悩まず縄跳びに興じる少女。怖い。
今年開催される展覧会、是非とも訪ねたい。
この村上隆さんの解説必要だったかね。美形の青少年だったら作者に囲われたかったって失礼極まりない。 -
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コメントありがとうございます。
早く1巻を文庫化していただいて、安心させて欲しいですねー
今レーピン展が来てるんでしたっけ?
この本を読...コメントありがとうございます。
早く1巻を文庫化していただいて、安心させて欲しいですねー
今レーピン展が来てるんでしたっけ?
この本を読んでから行ったのとそうでなかったのとでは
「皇女ソフィア」を見た時の印象はまったく違ってくるんじゃないかと思います。
いいタイミングでの文庫化でしたよね!2012/09/09 -
「今レーピン展が来てるんでしたっけ?」
Bunkamuraザ・ミュージアムで10/8まで、、、その後、浜松・姫路・神奈川(葉山)に巡回するら...「今レーピン展が来てるんでしたっけ?」
Bunkamuraザ・ミュージアムで10/8まで、、、その後、浜松・姫路・神奈川(葉山)に巡回するらしです。2012/09/12 -
10月8日まで、ですか。
行けたら見に行きたいんですが、秋は運動会シーズンで
土日が潰れるんですよね(涙)。
もし見に行かれるんでしたら、印...10月8日まで、ですか。
行けたら見に行きたいんですが、秋は運動会シーズンで
土日が潰れるんですよね(涙)。
もし見に行かれるんでしたら、印象を教えてください~2012/09/15
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シリーズ通して面白いです!
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2021.4.17
今作もめちゃくちゃ面白かったー!
お気に入りは皇女ソフィア、ジン横丁、かわいそうな先生。
絵だけでなく、描かれた時代の背景や歴史を、一般人にも分かりやすく、だけど少し皮肉を込めた口調で説明してくれるのが読んでいて楽しい。 -
安定の面白さ。
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3巻目にして失速するのではなく、飛び抜けてきたと思う。村上隆のあとがきが素晴らしい。