レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005743

感想・レビュー・書評

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  • 現代の日本社会では考えられないような不遇な人たちがたくさん出てきます。そのような人々も、貧しさや厳しい人間関係の中でも、希望を失わず、懸命に生きていく姿を描いた小説です。絶望の中の希望という言葉がしっくり来ました。そして、人は信仰によって変わることができるということ・・・ジャン・ヴァルジャンの変貌ぶりには驚くばかりなのですが、まあ感動的なので良しとしましょう。

  • 罪と罰から、一瞬、デジャブかと思った(笑)。
    罪人がさまようところから始まる。

    でも、読み進めてみたら、そんな内心を描写しまくるどろどろ系ではなくて(笑)、精神的な善に溢れていて大分読みやすい話でした。
    相変わらず、古典ならではの生死をかけたガチストーリーではあるけど、でも、読んでてそこまで辛くない感じです。
    ミュージカルだとこんな感じかなぁ、と、つらつら想像しながら読む感じ。

    子どもを/が拾う拾われる、というのが普通な世界に驚きつつ、パン1枚で生きていくそのすごさに驚きつつ、弁護士になろうともものすごい貧困な世界に驚きつつ、なんか、時代って不思議だなと思う。

    あとは・・・犯罪を犯したことがある人が市長になることが、どれだけ悪いことなのだろう、って。
    「すばらしい市長」として皆が評価しており、本人も真に悔い改めていて、かつ刑期を全うした人なら、よいのではなかろうか、とか、少し思ってしまう。

  • フランス文学初読。本書はいくつか訳書が出ているが、角川書店版は読みやすくて良かった。タイトルの通り、レ・ミゼラブル=ああ、無情だと感じる読後。登場人物に降りかかるいくつのも災難、盗み、脱獄により、囚われの身になったヴァルジャンは、何度も犯罪を犯し、何度も収監されてしまう。貧しい人々の様子も映し出されていたり、救われた売春婦、娘に愛情を注ぐヴァルジャン、コゼットと恋人との別れなど、人物の心情を重ね合わせると、悲しみ、助けられた感謝の気持ちに感涙してしまう。マリウスも登場し、物語の動きはどうなるか、下へ。

  • 「世間は震撼せども、十字架は微動だにせず」

    レ・ミゼラブルを読みやすくした本。新潮文庫こそレ・ミゼラブルだという人もいるが、読みやすいこちらから手をつけるのがいいだろう。面白いと思って、さらに詳しく読みたい人はそちらを読めばいい。

    ジャン・ヴァルジャンは悪人だった。生きるために心を汚した。しかし、寛容な司祭に出会い、彼は変わり始めた。これは、彼の救済の物語である。ところどころ利己的な部分が出てくるが、彼は人のために自己を犠牲にできる人物になっていく。たとえ、築き上げた地位を捨ててまでも。

    ”レ・ミゼラブル”、ああ無情。それでも信念を捨ててはいけない。

  • 高校生の頃に初めてDVDを観て以来ハマり、2012年の映画も観に行きました。
    原作も気になっていたのですが、どこがで見つけた別の出版社の文庫は長くて読みにくくて…挫折。。。
    それに比べこちらはとてと読みやすいです。
    海外ものは苦手だしさらに古いものだし、と思い覚悟してたんですけどね。
    マリウスの話が詳しく書かれていました。

    続けて下巻へ。

  • 映画と小説では少し雰囲気が違っています。

    約一年かけて、この作品をミュージカル形式の演劇として演じる機会がありました。主役はあくまでジャン•バルジャン。しかしフランス革命という実際の出来事を元に、それに翻弄された人々の一生が豊かに描かれていると感じました。
    娘を想い、幻想の中で死んでいったファンティーヌ、愛した人のためだけに生き、一生を終えたエポニーヌ、一見、女としての幸せを掴んだであろうコゼット、この作品には独立を目指して戦う男たちの影で、様々な女たちの人生が描かれています。必ずしも幸せを掴めるわけではない、まさに「ああ無常」というタイトルがぴったりくる作品です。

    小説は、映画よりも戦いの殺伐とした雰囲気、貧民層の人々の、生きるための意地汚さのようなものがはっきりと描写されているように感じます。
    ラストでジャン•バルジャンが彼の生涯に幕を閉じ、娘のコゼットと夫のマリウスだけが残されます。決して希望に満ちた終わり方ではありませんが、苦難の中にある彼らの幸せを少しだけ想像することが出来る終わり方でした。

    この作品は、フランスの歴史を知って読むのと、知識を入れずに読むのでは随分と印象が変わってくるのではないでしょうか。フランス革命について学び、是非もう一度読み返してみたいと思います。

  • まさに名作
    『ああ無情』の邦題と共に、ロングラン演劇、映画でも有名な本書。
    完全版はとにかく長くてなかなか手を出せないでいたが、コンパクトな新訳と言う帯の文句につられて購入。
    上下二巻なのでかなり読みやすくなっているのではないかと思われる。

    主人公、ジャン・バルジャンは刑務所を脱走し、神の説く「愛」に触れる。
    銀の燭台。
    それが彼を少しずつ変えていくきっかけだ。
    一方、コゼットという少女は、彼が生涯慈しみ、愛しぬいた存在である。
    彼女は幼い頃別れた母の姿を思いつつも、ジャンの愛を一身に受け、身も心も美しい女性となって、新たな人生のステージへと進んでいく。
    彼女と結ばれるマリウスは悩みながらも自分の道を貫いた。
    この三人の人物のそれぞれが困難を前にしながらも生きていく様に、感動を隠せない。

    さて、ジャンを執拗に追いかけるジャヴェール警部。
    またテナルディエなど、憎まれ役もまた魅力的だ。
    やきもきし、怒りを覚えながらも彼らが登場するのを心待ちにしている自分がいる。
    しかしながら好きではない人物もまた存在する。
    前出のマリウス。
    純粋といえば聞こえはいいが、世間知らずで理想ばかり追いかけているように私には思えた。

    革命を舞台にしていたとは知らなかった。
    バリケードをつくり、マスケット銃で応戦し、その中で人々は一瞬の輝きを放つ。
    名もなき人々。
    語られない人々。
    美談の裏に巧妙に隠された戦いの恐ろしさ、国家の巨大さ、それに翻弄されながらも流れを変えようとする小さな努力.....
    どれもこれも感じ入るところが多い。

    悲しみや苦しみが続く中で、最後に出てくる一筋の希望。
    これが本作を貫くものだったのかとわかる。
    堅苦しい作品だと敬遠していたが、そうではなかった。
    変わらぬものを丁寧に描いた一流の作品出会ったことに遅まきながら気づいた。
    遅すぎることはない。
    ぜひともこの著者の思いを受け取ってほしい。

  • 953.6 ユ(1) 登録番号10416

    文庫版の買い替え。
    (河出書房の『世界文学全集』内にもあり。(登録番号1819~1822書庫))

  • 映画に魅了され、読んでるけど、なんか、ユゴーさんと相性悪いなぁ。ゲーテを読んだ時の辛さに似てる笑

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著者プロフィール

1802年-1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯曲家。10代の若さで詩人として国王ルイ18世に認められるなど、早くから頭角をあらわす。すぐに戯曲や小説を発表するようになり、1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表して、不動の名声を獲得。政界にも進出したが、激動の時代により亡命生活も経験している。

「2022年 『ノートル=ダム・ド・パリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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