七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020463

感想・レビュー・書評

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  • 犬養隼人シリーズの2作目。
    7編からなる短編。
    特に印象に残った「赤い水」の後の「紫の供花」
    更に思いが深くなりました。
    人の心の闇、奥深さ。各々終盤でのまさかの展開。
    どんでん返しはやはり中山作品。
    面白い1冊でした。

  •  一般に七色とは、赤・橙・黄・緑・青・藍
    ・菫(紫)で太陽光をスペクトルで分けたときに見られる色、要は虹色のことを言います。
    でも、題名と目次は違います。
     目次は以下の通り。一 赤い水、二 黒いハト、三 白い原稿、四 青い魚、五 緑園の主、六 黄色いリボン、七 紫の供花、本来の七色とは無関係で、七つの短編です。
     中山さんの著書は、社会派ミステリー作品が多く、主人公の刑事犬養隼人を通して、この世の闇に葬られ今の法律では裁けない事件の真相にスポットを当て、その狭間を浮き彫りにし苦悩懊悩する刑事の姿が書かれているのです。目次の一赤い水と、七紫の供花は絶妙に繋がっています。基本的には短篇ですが、犬養が「赤い水」では、事件の真相を知っているにもかかわらず逮捕できなかった事件の関係者の一人は、「法律では殺意を裁けない」と逮捕を残念せざるを得なかった人物がいた。しかし、彼はその後ある行動に出たのです。それが「紫の供花」に記されている。(多少の無茶振りはありますが)
     小説には「まさか…それが動機なんですか」と書いていたが“殺された犯人”は誠実だが善人かどうかわかりません。ん?“殺された犯人”とは?と供花の謎が分かります。
     実におもしろい!

  • 短編集。

    あまり短編は好きではないんだけれど、今まで読んだなかで一番濃厚濃密で短編であることが気にならない一冊でした。

    「毒」という言葉が遅効性の毒のようにあとからじんわりと効いてくる。法では裁ききれない悪意や企み。しかし因果は結局巡ってくるというそちらもある意味「毒」であったように感じる。
    人間がもたらす毒は、周りから見える悪態や暴言、暴力だけではなかったことに深い恐怖を覚えた。

  • 赤色の回で伏線を張り巡らして、紫色の回でキッチリ伏線回収かい。
    お見事、もう達人としか言いようが無い。
    これからもずっとついて行きます笑

  • 犬養刑事が事件の謎を解く、7つの短編。「赤い水」「黒いハト」「白い原稿」「青い魚」「緑園の主」「黄色いリボン」「紫の供花」。「赤い水」と「紫の供花」は連作になっている。

    何れも、犯人に迫る捜査過程ではなく、犯人の意外性で読ませる作品。犬養刑事も真相を語る役に徹している。軽く読めて、それでいて切れのよい作品たちだった。

  • 無駄にイケメン(?)で、男の嘘はたちどころに見抜くのに、女の嘘は全く見抜けない刑事・犬養隼人が活躍する短編集、7編を収録。

    公害問題やいじめ、ホームレスなど、社会的問題をモチーフに、人の心の裏側の『毒』をあぶり出すミステリー。
    全てに『色』が付けられた表題が、特徴的です。

    それぞれ短編ですが、全ての作品で、最後の2〜3ページでどんでん返しが炸裂します。さすが中山七里氏ですね。

    特に、最初の『赤い水』と最後の『紫の供花』が密接に繋がり、それぞれがあっと驚く仕掛けになっています。

    最後の『紫の供花』は、不慮の事故で足に障害を負ったスプリンターの話ですが、最近読んだ同氏の『翼がなくても』とのリンクを感じました。

  • 7つの短編集。様々なテーマを描かれてるんだけど、さすがに短すぎてちょっと消化不良笑 真相に導く犬養刑事の着眼点と推理は脱帽ものなんだけど、短すぎるので、時間発生→解決、起承転結の起と結だけみたいな感じ。それぞれの作品を長編バージョンで是非読みたい。それにしても中山七里、才能があふれてます。凄い作家さんだな。

  • 中山七里さんの作品を再び刊行順に読み始め
    たー(^o^)
    イケメン犬養刑事シリーズ第2作目
    7つの事件をそれぞれ色に例えて描いた短編集
    最初と最後の事件は繋がりあり、7つのどの事件もやっぱりどんでん返しはいつもながらで、中山さんらしさが出ている
    岬洋介シリーズや御子柴礼司シリーズの様な派手さはないのだけれど、短編集なのでサクッと気軽に読むのにはいいと思う
    一見普通にその辺にいる人が、何かのきっかけで犯罪者になりうる
    そのあたりがちょっと怖い。。。

  • 確かにどんでん返し満載だったけど、それでスッキリということにはならず。それが作者の仕込んだ「毒」かな。

  • 何だかバタバタ慌ただしい日が続いてしまって全く本が読めない時期が続いていたのですが、やっと読めたー!やったー!
    やっぱり活字はいいものです。

    前回初めて犬養刑事の長編を読んだのですが、今回は七つの事件が収録された短編集。とはいえ一つ一つの話の内容がとても濃いのでこんなに沢山読ませてもらっていいんですか!?贅沢すぎでは!?と思いつつ一気読みしてしまいました。
    犬養刑事が俳優養成所に通ってた、とかとにかくめちゃくちゃにイケメン、とかの設定はこの頃から生き始めた感じなんですかね?
    あと話が七つなのは虹色だけじゃなくて七つの大罪もかけてるのかなぁとか思ったり。

    私は犬養刑事の話はイヤミスものだと勝手に思っているのですが(定義に当てはまってるかは分からない)、今回の話も何と言うか……人間の悪意めちゃくちゃに煮詰めた感じの話が多くてうわぁ、となるものもかなりありまして。
    個人的に「黒いハト」、「青い魚」、「緑園の主」あたりはちょっときつかったですね……短編でよかったこれ長編だったら途中で挫折してたかもしれないと思う。

    犬養刑事の話、とはなっているけれどほんの少しだけしか登場しなかったりとか別の刑事との絡みなんかもあったりするので話が一辺倒という訳でもなく、やっぱり中山七里さんは話の組み立てが上手いなぁと思いました。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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