散り椿 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 1047
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041023112

感想・レビュー・書評

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  • 瓜生新兵衛と榊原采女との因縁と藩の闇の動きを暴く。悲しいけど、しっかり物語が終わりまでまとまっている。非情に上手く出来ているなあ。 さすがは映画の原作になるはずだ!

  • 感想書くの勿体無い。読み終わってしばらく余韻に浸りたい。瓜生新兵衛のその後が読みたかったなぁ。

  • 「散り椿」(葉室麟)[電子書籍版]を読んだ。何だってこんなに涙が出るんだ(鼻水も)と自分でも呆れるくらいにグジュグジュになりながらの終盤であった。電車の中では絶対に読めないです。武士の矜持だとか人の道だとかとにかく真っ直ぐな人たちがいいなあ。葉室麟さんは何冊目だっけ。どれも好き。

  • 葉室さんの小説の登場人物はみな似ている。
    特に主人公とその妻は別の小説と入れ替えてもよいのではないかと思うくらい。だが不思議とそれが心地よい。
    人としての奥行きのある魅力的な主人公と、人間味溢れる脇役達が織りなす物語は、意外に結末も予想し易いのだが、それでもなお面白い。
    以前はプロットに凝りすぎて、無理矢理な設定だと思う部分もあったけど、蜩の記あたりから良い意味で構成がシンプルになったように思う。夫婦の関係だけでなく、四人の幼い頃からの友情も静かに深く、海のようなありようが素敵だと思った。

  • 全1巻。
    藩を放逐された浪人が、
    亡き妻の遺言を守るために帰ってくる。
    帰参した浪人を待っていたのは
    藩を二分とする御家騒動。
    保身に勤しむ甥っ子とともに
    好まざる争いに巻き込まれていく。
    って話。

    や。
    いいね。
    本当、葉室先生は小藩の政争が抜群にうまい。
    今の作家達の中でピカイチだと思う。

    ロマンチックな「想い」の設定は
    胸が苦しくなるほど切ないし、
    どんでん返し連続なミステリーは、
    だれもが怪しく見える前半とか本当秀逸。

    ただ、惜しむらくは謎解きパート。
    それぞれの謎の答が深く絡まり合ってなく、
    小粒な謎が一杯って印象になっちゃってる。
    「想い」についても駆け足消化な感があり、
    「事件の真相」「妻の真実の想い」に絞って
    うまく昇華してほしかった。
    ちょっと要素が多すぎ。

    まあ、
    少し白けた後味は残るかもしれないが、
    グッとくるのは間違いないと思う。

  • 椿の花が落ちる時は花丸ごと落ちてしまうので武家には嫌われていたが、本編での椿は一片づつ落ちでゆく。
    作中の人物も段々と亡くなっていく、本編の椿になぞられる様だ。
    哀しい結末ながら、若い二人の新しい芽生えが救いか…。

  • 良い物語だった。
    新兵衛と采女の篠を介した関係や彼らの矜持だけでなく、中途半端な風見鶏だった藤吾の成長や、里見の優しさなど、人と人が関わることで互いに影響し合う機微の描き方は派手ではないものの静かな余韻を残します。

  • (わしは新兵衛のこと羨んでいるのでだろうか)
    きっとそうなんだろう。戻ってきた新兵衛には、貧しい生活を送ろうとも心のうちに豊かさを抱き続けた者の確かさが感じられる。
    それに比べて自分はどういきてきたか。
    切れ者と人に畏れられるようになりはしたが、親しく言葉をかけてくれる者はいない。ただ遠くから畏敬の視線を送ってくるだけだ。

    皆それぞれに生きてきた澱を身にまとい、複雑なものを抱えた中年の男になってしまった。もはやむかしのように素直に心中を明かすことなどできないはしないだろう。

    篠とはついに再び会うことができなかった。新兵衛とともにどのような思いで生きてきたのか篠から直に聞きたかった。
    それももう叶わない。自分に残されているのは、藩内での政争に勝ち抜くことだけだ。
    物思いにふける采女の表情は、しだいに権力を争う重役の顔になっていた。

  • 一気に読んだ。葉室さんはうらぎらないなぁ。
    篠さんや里美さんのような女性になりたい。

  • 本当の思いが、大切な人に伝わらないもどかしさ。正義は貫かれるのに、やるせなく、切ない後味が残る物語。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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