リラ荘殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.32
  • (20)
  • (62)
  • (93)
  • (28)
  • (4)
本棚登録 : 748
感想 : 66
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031612

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 登場人物のアクが強すぎて最初は消化不良気味だったのが、怒涛の展開に驚愕の結末でとても満足。やり取りや諍い、小さな謎全てに意味があり、伏線だったことに終わりの終わりに気付かされる。矛盾点に気付かずにサーっと読み流していたからちょっとくやしい笑
    他の二作も読んでみようと思う。

  • 理路整然と収まるところに収まった謎解きは完璧です。(ヒ素や色盲はちょっと反則気味ですが時間差トリックは見事!)

    ただ、現代で同じことが起きた場合、警察の警備を万全にするか、さらなる殺人を防ぐために容疑者(兼被害者)たちを隔離するなどの措置を講じることでしょう。

    謎解きは、星影龍三が見事に解決しますが、途中、鉄子が連れてきた知り合いの二条義房も真相にたどり着くのですが、あっけなく殺害されるというくだりは必要だったのでしょうか?

    また、この時点で何らかの対策を警察に依頼しておけばと考えてしまうのは、私も既に作者の術中にはまっているのでしょうかねえ。

    まあ結局、トランプを利用した殺人事件が1つ増えたことで、追い詰められた犯人の行動がわかりやすくなった、のかな?

    犯人(たち)の犯行動機にはクエスチョンがつきますが、謎解きだけに限定すれば収束の見事さはアッパレです。

  • 古い作品のため、なかなか手出してなかったですが、それを今となっては悔やんでいます。
    なぜもっと早く読まなかったのか⁈
    本当に素晴らしいです。
    本作品はまさに本格ミステリーの金字塔です‼︎
    それなりのミステリー小説を読んできましたが、ここまでフェアかつ難解のミステリーは初めてです。(私自身ミステリー小説を読むときは、推理しながら読むタイプです)
    まったく見当がつきませんでした。殺人トリックはおろか犯人を当てることすら出来ませんでした。(一つ一つのトリックの質が高すぎる)ここが本作品の最大のポイントだと個人は思っています。
    大量に殺人が起きますが、犯人の目星がまったくつりません。普通なら人が死んでいくため、犯人は絞られていきますが、本作品は逆に絞られていくにつれ分からなくなります。(その謎は解決編で分かります)さらに、探偵役が2人登場するところも一つの魅力です。
    最後の解決編で明らかになる真相はまさに極上!
    犯人賢すぎる、全ての行動、言動が伏線です!
    少し古い言い回しではありますが、改装版ではすごく読みやすくなっております。
    まだ未読の方は是非ご覧になってください!

  • 初めてこの物語が発表されたのは1956年。
    そのため、かなり昔の本格ミステリの雰囲気が冒頭から漂っている。
    最近は読みやすいだけの物語も多く、それらを読み慣れていると少し読んでいて疲れるかもしれない。
    それでも、読んでよかったと心から思える物語だった。
    この物語の魅力は、最後まで読み終わったのちにあるのだと思う。
    何気なく読み進んでいたひとつひとつの場面、会話に意味があったのだと認識してから読み直すとかなり面白い。
    犯人の大胆さ、身勝手さ、そして冷徹さが沁みてくる。
    張り巡らされた伏線に驚き、犯人の用意周到な計画に唖然とした。
    だからこそ思う。
    警察の無能さがここまであからさまだと興ざめる。
    もう少し事件、警察(捜査側)、探偵がバランスよく描けなかったのかと。
    難ありとはいえ、想定外の動機や事件の詳細、犯人の思惑など十分に楽しめた物語だった。

  • ミステリの金字塔
    初鮎川作

    トリックがお見事
    昔の作品でも楽しく読ませていただきました。
    トリックがお見事で最後の種明かしはとても気持ちよかったです。

    ただ警察ポンコツ過ぎたのが残念
    小説だからまだ許せたのかもしれないが、このまま映像化したらイライラして途中で見るのやめてしまうのではと感じてしまう。
    最近の実写化が酷いのもそういうところからきているのか とも教えてくれた本でした。

  • 最後の最後までトリックが解明されず、警察はトンチンカンな捜査をするし、ずっとモヤモヤが止まりませんでした。
    最初に刊行されたのが、昭和33年というから驚きです。
    多少、文体は古臭いですが、読みづらいほどではありません。
    何よりも、見事なトリックが圧巻です!
    これぞ、本格ミステリ!です。

  •  トランプが重要な鍵となる本格ミステリー。意外な犯人で驚かされたが、警察が思った以上に無能でやらかしているのが気になった。

  • 時代背景が古いため若干の読み辛さはあるがしっかりとしたミステリーの金字塔といった昨日。トリック的に反則的な部分や突然現れる探偵にげんなりする箇所はあるけど好みの問題。今や使い古されたトリックの基本がなされているため当時は衝撃を与えたと思うけど現代の読者からすれば大したことないように思える。
    またその裏にある動機や人間模様の様が不十分であり、期待度とは裏腹に残念な思い

  • リラ荘を七人の芸大生が訪れた翌日から、殺人鬼の活動は始まった。老人が殺され、死体の横には学生のコートと、スペードのAが。それを機に別荘で次々と起こる殺人、凶悪無残な殺人鬼の正体とは?



    ずいぶん昔の話。大学生7人が夏合宿でわいわいやるつもりが、なんだか事件に巻き込まれ、次々に殺されていく。そして、死体のそばには必ずトランプのカードが残されている…
    もう次々に殺されていく。誰が犯人なのか分からない。誰なの?もう残ってる人少ないけど、この中に犯人がいるんだよね?ってなってくる。



    そして、リラ荘に滞在する2人の刑事さんがいるときにも事件が起こるのが、なんとまぁ大胆!まぁ、刑事さんがポンコツなのかもしれないが、事件が起こったときの刑事さんは仕方ないのかもしれないと思う。だけど、職務中だから頑張ってって言いたくもなる。



    事件の真相はびっくりした。キザな探偵が指摘する箇所に戻った。確かに!ってなった。読んでる最中は、全く気が付かなかった。伏線がいろんなところに仕込まれていた。



    そして、犯人の正体がすごかった。まさかの犯人だった。なんだろう。二重三重にも仕込まれていたってかんじだった。これ2回目3回目に読んだほうが新しい発見があるんだろうな。



    2023.7.7 読了

  • 読みながらワクワクした。
    決して全てがフェアではないと思いながらも(当時と今では常識が変わっているのは当たり前だとは思う)、私の推理はしっかり外されたし、意外な結末だった。
    随分昔に書かれた本だと知りつつも、一度読んでみて良かったと改めて感じた。

    一癖も二癖もある大学生の殺人事件ものは結構自分好みかも、と思った。

全66件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鮎川哲也の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ピエール ルメー...
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×