リラ荘殺人事件 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041031612

感想・レビュー・書評

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  • 古めかしいけどこういう本格的な謎解きが好き


  • 「そして誰も」のような緊張感がずっと付き纏っていた。犯行の動機はともかくトリックは面白かった。色の件といい、トランプの件といい。

    しかし、警察がひたすら無能。何人も死んでいるのに警戒心は薄く、容疑者の足取りすら調査しようとしない。さらには誤認逮捕。極め付けに探偵役のおっさんが終盤に現れてさっと謎を解いてしまう始末。あまりに役に立たなすぎる…

    尼リリスの本名は南カメだが、ナイフのイニシャルはA、死体を引き取りに来た母親もリリちゃん呼び。後者はやや違和感を覚えたが、高慢なリリスなら親がそう呼ばないとヘソを曲げる姿かもしれないな、と思い直した次第。

  • ずっと読みたかった作品、ようやく読み終えた。44年前の作品ということで、今ではありえないと思える所も多いけど、細かい点まで全て回収されていて、さすがによく出来ているなぁ...という印象。
    最後まで犯人は全然分からなかった。
    でも刑事が何人も一緒にいるのにもかかわらず、ポンコツ過ぎやしないかい?w

  • 推理小説作家(本格推理というのでしょうか)やミステリ小説マニアの間で良く耳にする作品だったので、読みました。

    初版が50年前とかなり古い作品ですが、こちらを読む直前に石坂浩二版の金田一シリーズの映画「悪魔の手毬唄」を見ていて、発表当時は計り知れないほどの衝撃だったのだろうと感じました。

    連続殺人事件における「どうしてそのようなことをしたのか」の理屈、ロジックが美しいです。8割ぐらい連続殺人事件の場面が入っていて、途中警察が介入するも尽く見過ごし(警察マヌケ過ぎない…?)、満を持して登場した素人探偵星影龍三が鮮やかに事件を暴きます。人間関係など動機から事件の真相を探る金田一耕助の姿が世間に浸透していた当時、彼の姿は新鮮に映ったのではないでしょうか。

    言い回しが少々難しいですが、最後の爽快感がたまりません。スッキリしたい方におすすめ。

  • とにかく人がどんとん殺される。こっちが考える間もないくらいに。

    避暑を目的として学生たちが訪れたリラ荘は、もとの所有者がライラックの花を愛し、それを屋敷の周りに沢山植えていたことからついた、今では日本芸術大学が学生のためのレクリエーションの寮だ。
    ここを訪れた学生は、男性が4人と女性が3人。個性的でアクが強いメンバーだ。メンバー同士の仲もあまり良くないようで、なぜ同じ時期にわざわざ訪れたのか不思議な気がするけど。

    この犯人はそうとは見せないが、非常に頭がよく、機転がきく。この狭い敷地内で、最後まで疑われずに何人もの人間を短期間に殺すのだから。
    読みながら何度も笑っちゃったのは、刑事や警部のまったくの役立たずぶりだ。屋敷に泊まり込むものの、そばから次々と殺人が起こり、挙げ句の果てには、最後まで生き残った誰かが犯人だということしか思いつかない。
    そこで探偵の登場だ。
    探偵はすごい。話を聞いただけで犯人が分かり、おおよその動機を探り当てる。

    これらの殺人が成功した影には、色んな仕掛けや秘密があるのだが、読み終えた今となってはただただよく出来ているなとしか思えない。無理矢理な連続殺人事件のわりには、その犯行自体に無理はない。
    同級生や周りの人が次々と亡くなっていく割には、みんなあっけらかんとしていて、これだけ人が殺されているのに警察もそれほど焦る様子もない。緊迫感に欠けるほのぼのしたミステリーだなと感じた。
    読んでいる最中は、犯人とその動機が気になって、どんどん読み進めたかったのだが、どうも古臭い文章や表現、時々でてくる変な言い回しが引っかかって読みづらかった。
    古い話だから仕方ないけど、よくできたミステリーなので、もう少し新しい時代設定で全部書き直したらいいのになぁと思った。

  • サクサク読めたのですが、
    描写の古さがどうしても現代と合わず、
    なかなか取り入れられづらいところがありました。

  • 古典本格ミステリーを久々に堪能。
    隙のないロジックに、なんなら謎解きのヒントは読者にも平等に提示られているこの作り込み方が本格派だわぁ。

  • 何度か改稿されている作品らしいのと、私が読み飛ばしただけかもしれないのだが(廣済堂版の1976/6/20第3刷読んだ)、牧と尼リリスが婚約してるって記述ありましたっけ…

    一方的にリリスが言い寄ってるだけなんかとばかり思ってたので、橘の不貞発言が互いの誤認で進んでいたというどんでんがピンとこなかった次第。

  • 文体、話し言葉に時代を感じるが、味があって良い。
    主要登場人物が、性格最悪・容姿ブサイクだらけ(笑)

  • 初鮎川作品。
    人里離れた別荘×男女の学生、なんて連続殺人の推理小説の王道な感じがする。出版は50年以上前だから、少し古風で、王道な感じ。あまりミステリーに詳しいわけではないけれど。
    ちょっとした違和感が最後につながって、推理を聞くと犯人の特定できるのも当然、なぜそれまでの謎を私はそう解釈できなかったんだろうという感じですっきりした。

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著者プロフィール

鮎川哲也(あゆかわ・てつや)
本名・中川透。1919(大8)年、東京生まれ。終戦後はGHQ勤務の傍ら、様々な筆名を用いて雑誌へ短編を投稿し、50年には『宝石』100万円懸賞の長篇部門へ投稿した「ペトロフ事件」(中川透名義)が第一席で入選した。56年、講談社が公募していた「書下ろし長篇探偵小説全集」の第13巻「十三番目の椅子」へ応募した「黒いトランク」が入選し、本格的に作家活動を開始する。60年、「憎悪の化石」と「黒い白鳥」で第13回日本探偵作家クラブ賞長編賞を受賞。受賞後も安定したペースで本格推理小説を書き続け人気作家となる。執筆活動と並行して、アンソロジー編纂や新人作家の育成、忘れられた探偵作家の追跡調査など、さまざまな仕事をこなした。クラシックや唱歌にも造詣が深く、音楽関連のエッセイ集も複数冊ある。2001年、旧作発掘や新人育成への多大な貢献を評価され、第1回本格ミステリ大賞特別賞を受賞。2002(平14)年9月24日、83歳で死去。没後、第6回日本ミステリー文学大賞を贈られた。

「2020年 『幻の探偵作家を求めて【完全版】 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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