この日のために (下) 池田勇人・東京五輪への軌跡

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  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041036334

作品紹介・あらすじ

五輪に託した夢があった!

政治家に転身した池田勇人は着実に要職を踏み、ついに首相に就任。東京オリンピック開催準備の政府責任者として、首都大改造、東海道新幹線の建設などを指揮、経済成長を牽引する。しかし、開催直前、病魔が池田を襲う。一方、東京五輪決定を機に組織委員会事務総長に就任した元朝日新聞記者の田畑政治は、突如湧き起った責任問題で事務総長辞任に追い込まれてしまう。「記憶に残る大会に」「経済成長に弾みを」……。それぞれの理想を掲げて奔走した二人。そしてついに「この日」は訪れた――。

感想・レビュー・書評

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  • 東京オリンピック開催に絡めつつ、田畑政治と池田勇人の生涯を描く。NHK大河ドラマ「いだてん」を見た後だったので田畑は知っていたが、池田勇人の功績はこれまで意識したことがなく、新鮮だった。日本経済の戦後急成長の立役者。また、その配下から大平、田中角栄、宮澤喜一といったその後の総理大臣が輩出されたのも興味深い。

  • 池田勇人について。高橋是清、池田勇人、次は誰かと待ち遠しい。

  • 東京五輪1964の偉業についての作品の下巻。
    名前だけは知っている政治家たちが
    次々と登場する。
    吉田茂、大平正芳、佐藤栄作、田中角栄、宮沢喜一 etc.
    半世紀前から現代にかけての日本の政治経済について
    いかに自分が未知だったのか、思い知らされる作品だった。

    反省はともかく、あらすじは内容紹介から抜粋しよう。
    政治家に転身した池田勇人は着実に要職を踏み、ついに首相に就任。
    東京オリンピック開催準備の政府責任者として、
    首都大改造、東海道新幹線の建設などを指揮、経済成長を牽引する。
    しかし、開催直前、病魔が池田を襲う。
    一方、東京五輪決定を機に
    組織委員会事務総長に就任した元朝日新聞記者の田畑政治は、
    突如湧き起った責任問題で事務総長辞任に追い込まれてしまう。
    「記憶に残る大会に」「経済成長に弾みを」...。
    それぞれの理想を掲げて奔走した二人。
    そしてついに「この日」は訪れた―。

    1964年に向かって10年以上も前から準備をしていた二人。
    東京五輪が連れてくる効果は、
    国民の生きる望みだったり、
    低迷する国の経済成長だったりと想像され、
    そこへ東海道新幹線建設計画も加わる。
    日本国民のため、日本の発展のために何としても五輪を東京へ。
    切なる願いはかなえられ、
    東京五輪という大きなイベントの前に全てが繋がり、
    日本国民の希望と経済成長という相乗効果を生む結果となった。

    それにしても私が生まれる以前から
    この国を支えていた人々はなんと強くて潔いことだろう。
    池田勇人は総理大臣になった日、
    愛娘たちに着物を贈るが、それは喪服一式だった。
    総理となったからには自分の身に何があるかわからないから、
    心しておけ、ということだ。
    当時は高橋是清や岸信介、
    それにアメリカではケネディ大統領までもが、
    凶弾の元に倒れた時代だから、無理もない話だ。
    日本の総理大臣池田勇人も、
    それだけの覚悟があって政務に臨んだということだろう。

    オリンピックの絵標識をデザインした人々は
    全ての作品の著作権を放棄したという。
    日本国民が作った作品だ、ということにしたらしい。
    そう、東京五輪1964は、
    この作品の主人公たちの願ったとおり、
    日本民族を一つにし、経済復興に役立ったのだ。

    2020年の東京オリンピックは
    1964年のオリンピックがライバルだと一時CMなどで流されたが、
    現状はどうだろう。
    どうみても、1964年の方が輝いてると思う。
    オリンピックへの時間は、もう4年をきっているのに、
    なんだか暗澹たる道筋のように思うのは私だけかな。

    東京オリンピック2020を控えて、
    あの頃の日本の先人たちに
    難問を乗り越えるにはどうすればよいか、聞いてみたい。
    現代の政治家たちには
    あの頃の強さや覚悟があまりないように思えるからなあ・・・。
    あっ、それもそのはずか。
    よく考えてみれば、あの当時活躍していた政治家の
    二世や三世が表舞台に立っている時代だもの。
    お坊ちゃま育ちに
    強靭な精神力を求めるのは無理なのかもしれないなあ・・・。

  • 1964年の東京オリンピック、
    その時の宰相、池田勇人の生涯と業績を、
    東京オリンピックの招致と準備を軸に描いています。

    「序」では、幻の東京オリンピックの誘致と返上を、
    「破」では、池田勇人の内閣総理大臣への道のりを、
    「急」では、来る東京オリンピックの準備の様子を、
    概ね、3部構成で描いています。
    (下巻は、「破」の途中からとなります)

    とは言え、池田勇人は、首相として、
    東京オリンピックの政府側責任者ではありましたが、
    日本の高度経済成長の舵取りが、最大の業績であり、
    東京オリンピックは、その加速材料に過ぎなぃため、
    物語的には、部外者といぅ感じ、だったでそぅか…?

    なので、これを補完する意味合ぃ?で、本作品では、
    1歳違ぃで、後にJOC会長も務められた、田畑政治を、
    ダブル主演に持ってきてはいますが…、テーマ的にも、
    本作品で、東京オリンピックの軌跡を軸にするなら、
    主人公は、田畑政治1本の方が、よかったのでは?

    例えば、東京オリンピックの招致を描いた既作品だと、
    東京オリンピックの招致に尽力した、和田勇を描いた、
    高杉良さんの『祖国へ、熱き心を』のよぅな作品の方が、
    しっくりとくるのではなぃでそぅか…??
    (それゆえに、田畑政治1人を、主人公にした方が…)

    他方、池田勇人の生涯と業績については、
    これはこれで、しっかり書かれていたので、よぃでそぅ。
    なので、東京オリンピックに託けた、企画ミスかな~と?
    田畑政治のパートを外して、池田勇人伝に徹していたら、
    それはそれで、良かったのでは?、とも思いました…。

    でも…、とりあえず、
    2020年の東京オリンピックからは感じられなぃモノを、
    足りなぃモノを、感じることができました…。なので、
    作品の評価では、企画ミス?には目をつぶりまして…。

  • 20160519 021

  • 余り知らなかった池田勇人の人生が東京オリンピック招致の話を軸に展開。古き良き日本がまだ残っていた熱い時代。幸田真音さんはこういう路線で行くのかな。

  • 1964年東京オリンピック開催を実現させるために、まさに命がけで挑んだ二人の男。
    元新聞記者と政治家。別々の世界で生きていた二人の想いが重なり、夢がかなったその日、日本は新しい時代へと歩き始めた。このオリンピックを機に今では当たり前になっているいろんなことが始まったと知って驚く。
    もはや戦後ではない、という言葉が現実のものとして感じられた1964年10月10日。その日のためにどれだけの困難と苦労があったことか。教科書で軽くなぞっただけの戦前戦後、そして19年間の日々を興奮しながら読む。時代が変わるその時に生きた人々の思いの強さと熱さ、それは今の日本に欠けているものなのかも。

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著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

「2022年 『人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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