- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041037164
感想・レビュー・書評
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文庫が出たので再読。
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2016/5/28(月曜日)
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短編集、というのは知っていたけど、連作短編集だったのですね。うれしい。
「エムブリヲ奇譚」「ラピスラズリ幻想」「湯煙事変」「〆」「あるはずのない橋」「顔無し峠」「地獄」「櫛を拾ってはならぬ」「「さあ、行こう」と少年が言った」の九編。
旅本作家だけど迷い癖のある和泉蠟庵と、荷物持ちの耳彦。彼らが向かい、迷って出会うものは…。 -
出ては必ず迷う旅本作家 和泉蠟庵と荷物もちの耳彦の道中記。死なない胎児、持ち主に何度も人生を繰り返させる石、死者と出会える温泉、あらゆるものに人間の顔が浮かび上がる村、渡ると戻れない幻の橋、耳彦を死んだ筈の男だと信じ込む人々、残虐な山賊一家、どこからともなく現れる長い髪。
人間の綺麗なところも汚いところも等しく書かれている。怪異よりも怖いのは結局人間。 -
「〆」と言うお話、人間の顔をした魚は「なんか残酷」として食えなくて、旅先で懐かれ、懐に入れて連れ立っていた鶏は…食えるのかよ、どう言う神経してんだ、って思わず電車内で読みながら愕然としたよ。普通の人間の残酷さ極まれりだよ。情は倫理観を打ち破るものじゃないのか…耳彦が善人でも悪人でもない部分が彼の個性を感じさせない事で物語の筋は際立っているのかも。「地獄」と言うお話、スイ先生が表紙描いてるの解るわー、と言う怖さだった。『ディセント』って地底人が地上人引き摺り込んで食ってる、と言う映画思い出した。
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懐古調で怪異譚がつむがれる連作短編集。最凶の物語は「地獄」でしょうが、私は「〆」がたまりませんでした。読むんじゃなかった、、、。
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山白朝子の第2短編集。単行本はメディアファクトリー刊で、このたび角川文庫になった。
乙一の別名義というのは有名だが、個人的には山白朝子名義のものが一番好きだ。乙一名義でも見られた、ある種の仄暗さが凝縮されているような気がする。
本作は『主人公の2人が旅に出て、様々な場所で怪異に遭遇する』という連作短編集で、巻末の解説にもある通り、津原泰水の『幽明志怪シリーズ』に近い雰囲気。
表題作にもなっている『エムブリヲ奇譚』、『ラピスラズリ幻想』、スプラッタホラー的な『地獄』が好きだ。