- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041040034
作品紹介・あらすじ
-永久の未完成これ完成である-。自らの言葉を体現するかのように、賢治の死の直前まで変化発展しつづけた、最大にして最高の傑作「銀河鉄道の夜」。そして、いのちを持つものすべての胸に響く名作「よだかの星」のほか、「ひかりの素足」「双子の星」「貝の火」などの代表作を収める。
感想・レビュー・書評
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映画、銀河鉄道の父を観て懐かしさからまた読んでみたいと思いました。
子供の頃映画館で上映されて観に行った事や、教科書で一部を読んだ事はありますが原作は初めてでした。
短編集ですが全体的に少し悲しいお話が多かったです。
そしてちょっと難しい。
それでも最後まで読み終えたのは分からない部分も含めて良いお話だからだと思います。
多分またいつか再読すると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カンパネムラ
どこまでも、どこまでも、一緒に行こう。
さらばジョバンニ
また会おうカンパネムラ
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直前に読んだ小説を受けて。宮沢賢治の不朽の名作、銀河鉄道の夜。かまわぬのギンガムチェックのような特装カバーが可愛い。
表題作のほか、あつめられた短編はいずれも星にまつわるものばかりで、いかに賢治が星に想いを馳せていたかが伝わる素敵な一冊になっている。
ところで銀河鉄道の夜って私読んだことなかった?こんなにも物悲しい話で、物悲しい結末だった?そして未完ときた。
詩的で、幻想的で、切実で、ずっとこういう文章を読んでいられたらどれだけ幸せだろう。
「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
これほど美しく声に出して読みたい文章を私はほかにちょっと知らない。
河合隼雄さんによるあとがきで、"宮沢賢治の作品の素晴らしさのひとつは、それがセンチメンタルでないことであろう。"という一文があったけれど、私は完全にセンチメンタルに感激する側の悪しき読者だな。過透明な景色、非情のかなしみ。
ところで、巻末の年譜にも目を通していたら偶然、今日8月27日が賢治の誕生日だと知って驚いた。なんか必然性を感じる。
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一応図書館でさがしてみたのですが、こちらの最寄りでは所蔵されてなさそうで……蔵書が豊富で羨ましいです。
私も購入するのは文庫本ばかりなので...一応図書館でさがしてみたのですが、こちらの最寄りでは所蔵されてなさそうで……蔵書が豊富で羨ましいです。
私も購入するのは文庫本ばかりなのですが、こちらの本はすぐに「えっ欲しい!!」と一目惚れしちゃいました。笑
手元に置いておき、好きな時に眺めるのも至福ですよね。
清川あさみさんつながりで、「千年後の百人一首」という本も大好きでオススメです。もし機会があればぜひ!2021/09/01 -
つづきさん
いえ、この本は、私の利用する図書館には無かったので、市外の図書館から貸し出し予約して、少し日にちをかけて、借りてきたのです。
...つづきさん
いえ、この本は、私の利用する図書館には無かったので、市外の図書館から貸し出し予約して、少し日にちをかけて、借りてきたのです。
……うふふ、千年後の百人一首 持ってますよ ♡ とっても素敵な本で、お気に入りなのです♪ 凄い いいですよね。清川あさみさんの刺繍が、とっても綺麗で、最果タヒさんの、歌の解釈も現代詩みたいで、すごくイイ!大好きな本です ♥
同じ本がお好きなのは、なんか嬉しいです。
ありがとうございます♪2021/09/01 -
千年語の百人一首、お持ちなんですね!!うれしいです♪
わかります、清川あさみさんの作品と、最果タヒさんの詩があわさって、すごく幻想的なところ...千年語の百人一首、お持ちなんですね!!うれしいです♪
わかります、清川あさみさんの作品と、最果タヒさんの詩があわさって、すごく幻想的なところが好きです。パラパラとなにげなく開いたページを読んだり、何度でも楽しめる一冊ですよね。
こちらこそありがとうございます!また教えてください♡2021/09/03
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児童文学と童話。有名な表題作が約70ページ、その他は短い七編。著者作品はおそらく教科書に載っていた『注文の多い料理店』以外に読んだことがなく、前々から表題作を含めていくつかは当たってみたいと思っていたので、本書が適当だった。所収作品の特徴と思えた点をいくつか挙げてみる。
・臨死体験を代表に、死を意識させる(またはそのものを語る)作品が多い
・仲睦まじい少年二人が中心の物語が半数
・教訓がありそうでいて読みとれない
・無国籍風
巻末の河合隼雄の解説が参考になった。そこでは宮沢賢治を、人間業を超えて深層意識に達することができたの稀有な人物(修羅)だったとしている。そのような「知情意すべてにかかわる深層意識の体験」は、たいていの人間は死ぬときにしかできないという。そして、死の側から生を見るからこそ、著者の作品は生の輝きが全所に美しく感じられる。脱線だが、解説を読んでいて河合氏が生前に対談した村上春樹を思い浮かべた。村上氏の「夢を見ることがない」という話に、河合氏は当然そうだろうと答えたらしい。
以降、各作品の簡単な紹介。
『おきなぐさ』
雲を眺めて語り合う、二つのおきなぐさ。
『双子の星』
空に浮かぶ双子の星に住む、二人の童子の物語が二つ。蠍と大烏の喧嘩。ほうき星の誘い。
一話目の最後に「星めぐりの歌」の歌詞が挿入される。
『貝の火』
溺れたひばりの子を救出した子兎のホモイは、母鳥から赤く光る美しい宝珠を贈られる。
「泣くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、一番さいわいなのだ」
『よだかの星』
皆に嫌われて思い悩む、醜い鳥のよだかが、遠くへと飛び立つ。
『四又の百合』
仏の来訪が伝えられた町で、王は捧げものの百合を探すよう命じた。
『ひかりの素足』
吹雪に見舞われて遭難した兄弟が不思議な光景に出くわす。
『十力の金剛石』
王子と大臣の子どもの冒険。
『銀河鉄道の夜』
少年ジョバンニと唯一彼に優しい友人カムパネルラが、銀河鉄道の旅で不思議な体験をする。
「ジョバンニはなんだかわけもわからずににわかにとなりの鳥捕りが気の毒でたまらなくなりました」
「ほんとうにあなたのほしいものは一体何ですか」 -
表題の銀河鉄道の夜よりも、
双子の星、十力の金剛石
とかが良かった。
収録された短編を読むと、総じて、人間だけが特別ではなくて、植物や動物と人間とは同列で、宇宙や星とも上下の関係ではないという感想を持ちました -
ジョバンニが背負う気持ちを考えると、とても切なくなった。父が帰ってくるのに、カムパネルラはもう帰ってこない。
ジョバンニの救済はどこにあるのだろうか。 -
還暦過ぎて初めて宮沢賢治の作品を読みました。「銀河鉄道の夜」をテーマにした読書会がきっかけですが、その読書会がなければ本作品にも宮沢賢治にも接することなく人生を終えていたと思います。読書会を主催してくださったアパ@読書垢さんには感謝します。
ありがとうございました。
「銀河鉄道の夜」は著作権が消滅しているので、青空文庫で無料で読めます。読み始めましたが、話を追うことができません。長い一文、慣れない名称、馴染めない舞台。そこで手にしたのは、本書の角川文庫版です。
本書は表題作も含む8編の短編集。変光星になってしまううずのしゅげを描く「おさなぐさ」、勧善懲悪モノの「双子の星」、驕りを諌める「貝の火」、子供のときに読んで悲しいハッピーエンドと感じた「よだかの星」、他3編を読み進めるうちに宮沢賢治の世界にだんだんと入って行けたような気がします。この7編の中で賢治が描いたのは、命の尊さ、普通に生きることの尊さやありがたさ、他人へ優しくすることの尊さであると素直に思いました。また、7編読んだところで賢治の独特の文体も馴染んできました。この文庫は「星」の物語を中心に置いているんですね。
宮沢賢治の世界に慣れたところで、「銀河鉄道の夜」。今度はストレスフリーで読めました。
貧しく孤独な少年ジョバンニが親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って夜空の旅をするというのが本書の設定ですが、非常に複雑な物語です。
気になったのは
○天気輪の柱から銀河鉄道に突然乗り込むきっかけ
○カムパネルラのジョバンニに対する感情
○鳥取りが食べさせてくれたチョコレートよりもおいしい甘い雁の正体
○仏教あるいはキリスト教的観点から見た物語の解釈。「天気輪」「十ばかりの字」「ハレルヤ」「幻想第4次」などの物語への絡み方
○ジョバンニだけ最終駅までの切符を持っていた理由
○カムパネルラの父親の冷静さ
○ジョバンニと父親の再会の行方
解釈が難しい小説ですが、未定稿のまま宮沢賢治が亡くなったことにより、本作品の本当の意味は誰にもわかりません。それでも、この作品は面白く、美しい作品です。まさに読書会のテーマにふさわしい作品であり、「もう一度読んでね」と作品自らが要求している稀有な作品だと思います。
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このひとつ前の感想に『「銀河鉄道の夜」が猛烈に読みたくなった』と書いた。
というわけでこの本。
最初に一番最後に載っている「銀河鉄道の夜」から読む。
ところがこれが勝手が違う。
出張帰りの新幹線の中で読んでいたのだけれど、文章に慣れないし、ストーリーも追えないし、戸惑う。
こういうやつ、私には無理かなぁと思いながら、最初の話から読み直す。
と、あぁ、読む順番、間違ったなぁと思った。
読みにくいのは確かにあるのだけれど、短い話で段々それに慣れてくると、詩のような童話のようなお話しの雰囲気やキラキラした言葉の渦に惹かれだす。
お話しの多くが仏教的な匂いを纏いながら、キリスト教的な“清貧”という言葉も連想させる。
透き通った、切なさ溢れる文章と、『空かまるで青びかりでツルツルしてその光はツンツンと』だとか『霧がツイツイツイツイ降ってきて』といった独特の言葉遣いが面白く、どの話も味わい深いが、中でも「よだかの星」もだが「貝の火」「ひかりの素足」は沁みました。
もう一度「銀河鉄道の夜」を読めば、最初の一読よりも、今度は銀河の中の旅を楽しめた。
今月は盛岡に行くんだな。
競馬がメインの旅だけど、賢治ゆかりの場所もこの際しっかり訪ねよう。 -
全編を通して「よくわからんな」という気持ちで読み進めていた。耽美かと思えばそうではなく、教訓かと思えばそうでもなく、児童文学ってこういう感じなのかなとか思ったり。
しかし巻末の河合隼雄による解説で、自分がいかに幼稚な読み方をしていたかを気付かされた。宮沢賢治は、原稿に「因果律を露骨ならしむるな」「余りにセンチメンタル迎意的なり」と書き込み、推敲していたという。はじめから、分かりやすい因果関係や、共感を呼ぶセンチメンタルを目指して書かれたものではないのだ。対して、私の「よくわからんな」は何ともお門違いなことだろう。いつの間にか私は勝手な尺度で作品を相対化してしまっていたらしい。これには深く反省した。
名作を読もうとなると、何かを見つけよう感じようとして、要らぬ力が入ってしまうものだ。雑念を取り払ってから、もう一度宮沢賢治の世界に浸ってみようと思う。