パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.75
  • (43)
  • (79)
  • (68)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 946
感想 : 67
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053331

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「パノラマ島綺譚」、「石榴」を収録。病死した資産家とすり替わり、自らの理想郷を建設しようとする壮大で狂気的な物語であり、パノラマ島の異様で生々しい描写には作家の独特な感性と表現力の高さを感じる事が出来ます。

  • 表紙に惹かれて手に取った、久々の江戸川乱歩!子供の頃よく読んでいた。思えば私のミステリー好きはここが原点かも。
    40年以上前のワクワクがよみがえる。

  • 江戸川乱歩自身の理想郷のイメージ、正直言うとそれしか分からなかったかなあ…

  • 表題作はミステリというよりは怪奇小説として面白かった。
    色鮮やかでグロテスクな感じが乱歩っぽい。地上の様子も気になるけど、海底の様子が見てみたい!出てくる魚の画像を調べるだけでワクワクゾクゾクした。
    乱歩地獄で映像化されてそうだなと思ったけど残念ながらされてなかった。しかし漫画があるそうなので是非読んでみたい。

    石榴は2回目。無駄がなくて面白い。
    てかここでもサード侯爵的な人が出てきてたのか…。

  • 表題作を途中までなぜか村上春樹作品だと勘違いして読んでて (あれ?なんでこんな古風な言い回しなんだ?) と思ったら乱歩先生でした。でもそう思うくらい今まで読んできた乱歩作品とは雰囲気の異なるものだった。幻想的で耽美的。しかしラストの気持ち悪さに思わず笑い拍手してしまった。さすがっす先生。著者のエッセイでも書かれてたようだけど、パノラマ島の描写が確かに独特で想像力を要するので体力を使った印象。江戸川乱歩作品の推理やトリックを読みたい人にはあまりおすすめしないかも。
    同時収録の「石榴」はコレコレコレィ!となるザ・推理小説。最後に始まる大どんでん返しの連続に「あっそういう…えっ違うの!?」と振り回されっぱなしで楽しい。
    解説でも書かれてたけど、一人二役という共通点のある2作品を1つの本に収録してくださってることがおいしくてありがたい。

  • 乱歩ワールド炸裂


  • ミステリーやホラーというよりも
    ファンタジー小説を読んでいるように感じた。

    パノラマ島の描写は個人的には合わず
    飛ばし読みしたくなりつつも…耐えて読んだ。
    江戸川乱歩さんの文章が合わないのかもしれない。

    が、短編小説でありながら、物足りなさを
    感じさせないところは凄いと思った。
    かなり粘度のある文章だからだろうか。

    日頃からファンタジー小説を好んで読む方には
    かなり合うのではないかな、と思う。

    自分の好みには合わなかったものの
    やはりパノラマ島に関する文章の事細かさは、
    空想の世界として考えると惹かれるものはある。

    締めの呆気なさはむしろ良かった。
    あっさり終わったことでスッキリした。

  • 入れ替わりトリックを用いた殺人事件が題材。
    しなし、トリックそのものよりも奇怪、混沌、摩訶不思議に満ち満ちた人工島の描写にこそ乱歩の真骨頂があるのだろう。海底トンネル、錯視を利用した造形物、動物のように主人に傅く人間…人によれば桃源郷にも映る景色の数々を想像するだけで恐ろしいような、それでいてどこか心地の良さを感じてくるから不思議。

  • 入れ替わりトリック
    仕掛け自体はチープな感じが否めないが、
    パノラマ島の描写が個人的に好み。

  • 【概略】
     売れない作家である一見廣介は、ある日、学生時代の友人で自身と外見がそっくりの資産家・菰田源三郎の訃報を聞く。その死因は癲癇によるもの。死者と瓜二つであること、癲癇は死亡と診断された後に息を吹き返すことがあること、その土地は土葬の風習が残っていること、この3つの要素が一見廣介に壮大で淫靡な計画をもたらした。

    時期不詳        読了
    2019年12月20日 読了
    【書評】
     おそらくは小学校高学年、または中学生だった頃に読んだ記憶があるこの「パノラマ奇譚」。久々に読んでみた。
     「あれ?このM件S市(小説の舞台となった場所)って、三重県志摩市?」・・・という予感、どうやら当たったみたい。志摩市には江戸川乱歩の記念館があるそうだ。いつか訪ねてみよう。
     なんとも言えない淫靡な雰囲気、この空気感はなにをもってもたらすことができるのかなぁ。一度、写経とかしてみたら吸収すること、できるのだろうか?パノラマ島の中を(かりそめの)妻と練り歩く描写は、少し長いかなぁ~とは思ったけど、計画を思い立ってから実行に移したあたり、また、計画が実行された最初のあたりの雰囲気は、なんともいえない感覚に襲われた。
     おそらくは乱歩自身はそんな風に捉えてはいないと、そんな意図を含んではいないとは思うけど、パノラマ島での職人や芸術家に対する厚遇は、なんというか資本主義に対する、若しくは芸術や職人技術に対する冷遇へのアンチテーゼのようにも感じたなぁ。
     推理小説・・・というには設定が都合よすぎる、けど、人間の欲の膨張と、蟻の一穴と、人体(とりわけ女体)を想起させるパノラマ島に対する描写・・・ベルセルクの「蝕」の時間のような、そんな感じで耽読できた(笑)

全67件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江戸川乱歩の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×