隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053676

作品紹介・あらすじ

日本は朝鮮半島から離れられない――

激動の歴史の中で起きたさまざまな事件を追うと、
現代の絡み合った両国関係の背景が浮かび上がってきた。

35年に渡って韓国に暮らす著者は、終始、かの地に刻まれた「日本の足跡」が気になっていた。
韓国併合、敗戦と引き揚げ、国交正常化、南北対立――
激動の歴史の中で、日本は朝鮮半島へ押しかけ、押しかけられ、引き込まれ、そして深入りしてきたのだ。
そしてわれわれは今、韓国・北朝鮮との付き合い方に悩まされている。
少し時間をさかのぼれば、その理由が見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • とくになし。

  • 【隣国への「日本の足跡」を追い、探った結果としていえることは、かの地には「地政学的環境」から関心は持たざるをえないし、付き合わざるをえないが、しかし「足が抜けない」ほど深入りしてはいけない、そして海峡を渡って北に向かう時は慎重にかつ十分に用心しろーーである】(文中より引用)

    およそ35年にわたりソウルの地で記者として活躍した著者が、日本と朝鮮半島にまつわる数々のエピソードを紹介するとともに、日韓・日朝関係についての思いを綴った作品。著者は、共同通信及び産経新聞のソウル支局長を務めた黒田勝弘。

    朝鮮半島の近現代史に関する著作はこれまでにいくつか手にとってきましたが、本作はその中でも含蓄に富んだ一冊だったように思います。また、事件や関係者の取材をベースとして記述がなされているため、無味乾燥なものではなく生きた歴史を味わえる点も魅力的です。

    この著者の達観感を参考としたい☆5つ

  • ためになった、読みやすい。慰安婦がないのは?

  •  ハーグ密使事件から大韓航空機爆破事件頃までの日韓をめぐる様々な事件や人間模様を、筆者の取材や個人的な体験も交えて書いている。何しろ韓国との関わりが長い筆者のこと、方子妃に実際にインタビューしその葬列の場にも居合わせているといった具合に、生の情報量が多い。故に日韓を単純化していない。いわゆる嫌韓本では決してないのだが、韓国に厳しい記述もあるにはあるため、そのように受け取る向きもあるのだろうか。
     終戦前後に総督府博物館の所蔵品を守った日本人、日本軍の戦勝を伝えるニュース映画に熱狂する日本人化していた韓国人、北朝鮮軍と韓国軍を経験した残留日本人、と日・韓の二元的には割り切れない様々な人々が登場する。しかし筆者は、戦後韓国では、新しい国と韓国人を作るためにこういった複雑な面が否定され、反日・抵抗が強調されたと指摘している。
     また、筆者は戦後日本の「贖罪史観」から来る左翼幻想には、それが影響を与えた北朝鮮帰還運動も絡み、一貫して手厳しい。その時代の雰囲気を同時代で実感していたということもあるだろう。
     まとめ部分で筆者は、日韓は、隣に存在するという地理的環境が不変である以上逃げ出すわけには行かず、付き合わざるを得ない、ただし「足が抜けない」ほど深入りしてはいけない、と述べている。グローバル化が進み、韓国では(北朝鮮でも?)日本の重要性が低下していると言われる現在、以前ほど日韓は密な関係ではないのかもしれないが、筆者のこの指摘は過去を見返す上では興味深い。

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著者プロフィール

1941年、大阪生まれ。産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1964年、京都大学経済学部を卒業後、共同通信社に入社。1978年、韓国・延世大学留学後、共同通信ソウル支局長に。1989~2011年、産経新聞ソウル支局長兼論説委員。1992年、ボーン・上田記念国際記者賞、2005年には菊池寛賞および日本記者クラブ賞を受賞。著書に『韓国 反日感情の正体』『韓めし政治学』(角川新書)、『隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿』(KADOKAWA)ほか多数。在韓40年。

「2022年 『韓国語楽習法 私のハングル修行40年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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