鹿の王 1 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054895

感想・レビュー・書評

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  • 獣の奏者からファンなので、つづきではないけど同じ世界観のお話が読めて幸せです
    この話は別として、二十年待っても続きがでない話とかざらで、それはそれで面白いんだけど、だからこそ安定して読める幸せを噛みしめられる

    まず、とても難しい医学的な話をこんな風にファンタジーで書けるんだ!と驚いた
    次に、同時に人間の心に重きを置く宗教とからめることで深みを与えていると思う
    私は現代人で無宗教な日本人だから、命が助かるなら医師の言うとおりにすべき!と思っていたのに、
    話を読み進めるうちに神を崇めている人たちには、彼らにしかできない魂の救済、安寧があるんだってしみじみ感じられるようになった
    その過程を丁寧に、しかも沢山の登場人物を交えて描いていく上橋さんの物語は、本当に優しくて好き

  •  生命を巡る壮大なファンタジー冒険小説第1弾。

     作者は文化人類学が専門ということで、独特の世界や文化を創造し、その中で多彩な人物が自分の役割を果たしていく展開でした。

     その世界や文化は今の世界とは当然違いますが、人間模様や命を巡る考え方などは、今の世界の課題と通じるところがあり、いろいろと考えさせられます。

     この巻では、この世界観が少しずつ見えてきて、それぞれの人物が動き出していくところで、この後どのように展開していくのか、とても楽しみです。

  • 東乎瑠帝国に事実上併合されたアカファ王国。帝国からの支配と戦う戦士団「独角」の頭であるヴァンは妻と子を病で失い、奴隷として岩塩鉱に収容されていた。ある夜、不気味な山犬の集団が岩塩鉱を襲い、黒狼熱と呼ばれる病が発生する。山犬に噛まれながらも生き延びたヴァンは、同じく岩塩鉱で生き残った幼子を見つけユナと名付ける。生き残った血のつながらない2人の親子の冒険、天才医術師のホッサルが黒狼熱の治療法を探すという二つの視点で物語は進んでいく。

    まだまだ物語は始まったばかりで、登場人物を整理しながら読みました。

  • 表題や表紙からは想像もできない中身。
    上橋さんの本を「ファンタジーに浸りたい!」と思って読むなら違う。ただ、病気・感染症それを取り巻く医療、そして政治的思惑が複雑に絡み合う、医療フィクションとしては一級だ。(★4なのは、ファンタジーを読みたかった!という私のがっかりから)
    舞台は日本などとは全く違う異世界なのに、そこで巻き起こる現象が手に取るようにわかるのは、上橋さんの表現力と深い知識のなせる技だろう。ただ、医療技術だからなのか、ところどころ難しい。読むなら大人か、医療系フィクションを読み慣れた中高生か。
    物語最初、岩塩坑で働かされる奴隷たちが次々と獣に襲われ病にかかり、唯一生き残った者の逃亡から始まり、一体何が始まるんだ?と思っていた。本作は2人主人公で、一方は医療で名を馳せている者。この2人がどう絡んでいくのかというのは予想ができず、面白かった。
    また医療と政治という二つの思惑、そして宗教的思想が、いかに解決の障害となっているのかということに対しては、作中で度々憤り、もどかしい気持ちになった。
    純粋に生活を営みたい、人を助けたいという思いが、このような障壁によって困難になっていく。理不尽であるが、人の社会はそういうものであるのを、大人であれば知っている。
    だから、この本を読んで苦しい気持ちになりにくいのは大人だし、理解ができるのも大人だと思う。

  • 久しぶりに読んだファンタジー小説。
    まだ、導入部分だと思いますが、次からが楽しみです。

  • 人物が覚えられない
    これからかな

  • まだまだ、序章ですが続きが気になります。
    壮大なファンタジーで、世界観がしっかりしています。
    国同士の思惑、部族の暮らし、そして主人公ヴァンの想い、とスケールが違う話がうまくミックスされています。
    読みやすい文章で、サクサク読めました。

  • 再読。
    数年前に読み、今また読みました。

    上橋菜穂子さんのファンタジーは、読みながらスラーっとその風景・背景が脳裏に再現されるくらい読みやすい。
    ファンタジーだから、人物名は横文字だし、地名な風習など独自のものだけど、それが読んだそのまま想像するのが難しくない。
    「あるもの」として読めるところがいい。

    ネタバレです。

    コロナ禍を過ぎて読んだからか、また感じ方が違いますね。
    なぜならば伝説の病の発生に関しての物語だから。
    コロナは伝説ではなく、新しい病であるわけだけども。

    始まりから出てくる主人公のヴァンに感情移入するのか、それともホッサル側に感情移入するのか、どちらも同じ分量・熱量で描かれるので、ひとまずは感情移入することなく物語の流れを読み込みます。

    奴隷というものがない日本の中で、奴隷として働いてきたヴァンが自由を手にし、今後また捕まることに対する可哀想だと思う気持ちもあれば、
    新しい病のために、ヴァンがホッサルの元に行き、薬が開発されることを望む気持ちもある。

    ともあれ、ヴァンが逃亡したところから読んで、これからの平穏な暮らしを望み望まれ過ごしている様子を見ていると、ヴァンがこのまま見つからずにいけばいいなぁと思うわけです。

    そうはならないから、起承転結の「起」、一巻なのだけど。

    p.288
    オワタル人の生き方
    「他者を生かすことで、自分も生きる。他者を幸せにすることで、自分も幸せになる」
    それは祈りのように聞こえた。

  • 久しぶりに読みやすい本を読みました。めちゃくちゃ話が分かりやすいし世界観に入りやすい!面白い!
    早く2巻が読みたくなる終わり方で早速買いに行こうと思います。
    ヴァンの常人離れの技術に対して葛藤するところは人間臭くて親しみやすい。
    登場人物の心情が丁寧だから寄り添って物語を見守れる感じがした。
    ファンタジーはいいなぁ

  • 守り人シリーズを読んだ後に鹿の王シリーズを読んだのだが、鹿の王の方がよりリアルだった。
    医学をここまで繊細に、登場人物の感情と絡めあいながら詳しく描けるのが本当に凄いと思った
    コロナを経たので、余計ウイルスというものに関して深く考える機会になった
    上橋さんの死生観が大好き

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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